大阪の映像制作・制作技術会社 (株)写楽の社長 木内の気ままなブログです。                    (文章や写真を引用される場合はご連絡ください)
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テレビの音量(家庭での視聴音量)
地デジになってからテレビの音が聞きづらいという話をよく聞きます。
以前、技術屋が集まったある飲み会でそんな話が出まして、その後
自宅での視聴音量を測定した事がありました。

そのときは数人にメールで報告しただけでしたが、最近、また別の集
まりでもそんな話題が出ましたので、以前測定したデータを公開しと
きたいと思います。

SPL計はPHONICのPAA3という怪しげな機種です。
ハンディタイプのRTA付きで国家検定が付いているちゃんとしたSPL
計は60万円くらいします。うちでも設備施工用に購入しようかと考え
ていたんですが、検定無しのPAA3はほぼ同機能で4万円ほど。
PAA3

検定付きではありませんから騒音測定の業務に使用する事は出来ま
せんが、PAやSR、設備のスピーカー調整なんかではとても重宝して
います。うちではこれで十分です。
画面が見づらいんですが、パソコンにつなげると見やすくなります。

PAA3では、近年の騒音測定で国際的に使用されているLeq測定は
出来ません。しかしLeqでは(回数は少ないものの問題となるような)
ピークが見逃される事があったりするので国際的にも賛否両論があ
ります。
(私も色々と思うところはあるんですが、とりあえずLeqの特徴や有
 効性については今回は割愛します)

話は戻りまして、テレビの音が聞きづらい原因としては、薄型テレビ
のスピーカーが良くないとか、地デジではアナログほどタイトにDレン
ジを潰していないなど、色々な原因が語られているのですが、まず
測定データを並べちゃいます。



(測定:2008年5月27日)

・場所…うちのリビング(RT60=0.34sec)
・時間帯…夕食後、片付けの音などが少しある状況
・テレビ…地デジ各局
・スピーカー…テレビ左右にBOSEの101を2発 (EQなし)
・距離…テレビ正面 約2.5m(上下落差なし)
・他の音源…パソコンのファン(≒2m)、家族の会話等(≒1m)
・SPL計…Phonic PAA3 (カーブ:A特性、更新速度:125ms)

んでもっで実測値は以下の通りです。

今回は分かりやすく表現するために5値平均のAVGという値を勝手に
定義しちゃいます。(Leqと似たようなことしてますが…)

AVG=125ms間隔の5値平均 dB(A)
PK =125ms更新でのピーク dB(A)
(小数点以下四捨五入)

■環境
・暗騒音
 AVG=40dB、PK=42dB

・家族の会話
 AVG=58dB、PK=65dB (1m)
 (子どもの大きい声 PK=82dB 50cm)

・くしゃみ
 PK=94.6dB (50cm)

・電話のベル
 PK=76dB (1m)

■環境+テレビ音声
・ドラマ台詞
  (会話)AVG=48dB、(怒鳴り)PK=57dB  CX「絶対彼氏」

・サッカー中継
 (ベース)AVG=48dB、(歓声)PK=55dB、(実況) PK=53dB  TBS

・ニュース
 PK=55dB NHK

・音楽番組
 (トーク)AVG=50dB、PK=54dB、(音楽)AVG=53、PK=55dB
 (ガヤ)PK=58dB、(会場拍手)AVG=57dB YTV

暗騒音が40dBでテレビのピークが58dB。数値上は有効なDレンジは
18dBしか無いのですが、実際は暗騒音とテレビの声などは周波数
自体が違っているので、差が6dB程度でも内容を聞き取る事は可能
な状況でした。

このとき、感覚的にテレビの音量は「ちょっと小さいなあ」と思ってい
ました。ちゃんと見るときはもう少し音量は大きいですが、自宅での
「ながら視聴」の平均と言っても良いと思います。

しかし、「ながら視聴」での有効Dレンジが20dBしかない、というのは
なんとも恐ろしいですね。




私もFM時代は夜な夜な試験放送の時間を無理矢理作ってもらって
orbanの設定に血道を上げ(笑)、トーク中心の番組と音楽番組(クラ
シック、POPS、ROCK系など)で設定を変えたりしていました。
(メモリー読み出しで音切れするので番組間の無音部分で手動切り
替えしたり、パラメーターを途中で変えた事も…)
(もちろん当時その権限は持ってましたので問題はないです)

※orban…多くのテレビ・ラジオ放送局が放送用に使用している音声
       リミッターのメーカー名。特にFMラジオでは各局で設定が
       大きく違い、放送される音質の違いにつながっています。
      
ひとつの結論としては、いくらorbanでもひとつの設定で全てのジャン
ルを理想的な音にするのは無理です… (特にAGCとリリースなど)

当時は自動車内での聴取環境のSPL測定はしていたのですが、家
庭内での測定は今回が初めてでした。
ちなみに、個人的に部屋で音楽を聞いているときの心地よい音量は
70dB程(ピークは75dB)でした。わりと小さめですね。

地デジでも、聞き取りづらい局と、恐らくAGC範囲を広げて小さい音
を持ち上げている感じがする局もあるのですが、やはり音楽番組を
考慮してかそれほど持ち上がってはいません。
もちろん、持ち上げすぎるのも良いとは思いません。

しっかし、測定してみて環境音とテレビ音声の音圧の差がずいぶん
小さいのに驚きました。(自動車内よりは諸々マシですけど)

この数値が全てでは決してないのですが、家庭で視聴されるコンテ
ンツをMIXする上でのひとつの参考になるかもしれません。

現状、放送でorbanを使用している局は多いと思いますが、番組に
よって設定を変える事は基本的には出来ませんから、制作時のレ
ベル管理はやはり重要です。
しかし制作時のレベル管理だけでは対処しきれない部分もあると
も思います。

家庭用のテレビでは、地デジの音量を自動的に調整する機能が付
いているものがけっこうあります。どの程度の動作をしているかは
すべては調査できていませんが、メーカー側でも地デジ(または薄
型テレビのスピーカー)が視聴環境や条件によってはそのままでは
ダメだと認識しているということでしょうね。
20090204-2
トークですら頭がヘコヘコ潰れたり、あんまり良い感じではないです。

その他、比較的古いものではパソコンのWindowsMediaPlayerの自
動音量調整(静音モード)など、ドルビーデジタルのダイアログノー
マライズなどとはまた違った、制作者の意図と関係なく自動的に音
量をいじくる再生装置は増える一方です。

テレビやプレーヤーでこういった調整をするのが一般化する前に、
作り手、送り手側で何らかの対策をとらないと余計に混乱してしま
うのではないかと思うのは私だけでしょうか。

自動調整は音質もやっぱり良くないですからね。
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