大阪の映像制作・制作技術会社 (株)写楽の社長 木内の気ままなブログです。                    (文章や写真を引用される場合はご連絡ください)
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ふるーいVTR(統一Ⅰ型VTR) 復活への道 (その6)
ごぶさたしております。
ありがたい事にお仕事が忙しくてブログの更新が出来ませんでした。

たまにはお仕事をちょっと休憩して、今日は久しぶりに統一Ⅰ型のネタです。

何の事か分からない方のために説明しますと、ふるーいVTRを復活させてみようというネタです。(説明になってない…)
20090708-1
音声のオープンリールレコーダーではありません。
オープンリールのビデオです。

長いこと続きを書いていませんでしたが、統一Ⅰ型のことを飽きたり忘れたり、諦めたりしていたわけではなくて、ちょいと壁にぶち当たって思案していたんです。忙しいのにかまけて放置してたとも言う?


さて、簡単におさらいしますと、家庭用として市販されたビデオのフォーマットには、Uマチック(1970)やベータ(1975)、VHS(1976)などの前にオープンリールタイプのVTRがありました。
(私自身32歳なのでリアルタイムの経験ではなく、書籍や資料、OBや先輩の話を元にまとめています)

家庭用オープンリールビデオの多くはVHSやベータなどと同じ1/2インチ幅のビデオテープを使う規格で、最初は片フィールド記録のVTRに始まり、次第にカラー化も進みましたが、当初はメーカー間で規格が統一されておらず、特にカラー規格に関しては互換性が低かった時期がありました。
そんな中、1969年に家庭用の統一規格として登場したのが、この「EIAJ-1、統一Ⅰ型」です。

企業や学校ではそれなりに使われたようですが、扱いが楽なカセット式のUマチックに取って代わられ、本体やテープの価格が高かったので一般家庭にもほとんど普及しなかったようです。統一Ⅰ型は、私が知っている範囲では旧ソ○エトの宇宙飛行士訓練センターで1989年頃に使われていたというのが最新の情報です。

40年も前のVTR。今では再生装置を探すのもかなり難しい状況です。

「いつでもいいから、もし再生できたらダビングしてね」と知人からテープを預けられていて、箱に書かれたタイトルを見るとどうしても再生してみたい…。

そこで色々な問題にぶち当たりつつも、長い間倉庫に眠っていたVTRをなんとか復活させようというのがこのシリーズネタです。はい、仕事ではなくて趣味です。

(以前の再生テスト)


さて、なんとなく今まで「みんな知ってるだろう」と思って省略していましたが、最近「アナログのベーカムで撮ったことがない」というカメラマンやVEがちょいちょい増えてきてショックを受けたので(笑)、それよりはるか以前のビデオの初期の歴史を簡単におさらいしときましょう。

世界で初めて放送局用のVTRが発売されたのが1956年(米Ampex製 VR-1000)。2インチ(≒5cm)幅の太いテープ使うオープンリールタイプで、当初は東部と西部で時差のあるアメリカで番組を時差送出するために導入されましたが、程なくして放送前の収録用や記録用としても多用されるようになっていきました。

※動く映像の電子記録装置としては、英BBCが1952年に開発したVERA「ヴィェラ」(Vision Electronic Recording Apparatus)が世界初といわれています。テープ速度は5.08m/sec。1リールで15分録れたそうです。

VR-1000は比較的よく知られているので、ちょっとマニアックなVERA

技術解説も面白いですね

音声信号の200倍もの帯域が必要で、固定ヘッドなのでものすごいテープスピードです。これだけ早いと慣性で安定しそうな気がしますが、安定性と正確さが重要との事。


オマケ。世界初のカラーハンディカメラ(バックパック付き)
1969年のメキシコ五輪で活躍した機種だそうです。

プランビコンの2管式だそうです。現在、スタンダードカメラ(箱カメ)とハンディカメラの違いはレンズ性能だけですが、30年くらい前まではハンディ用カメラに切り替わると明らかに画質が落ちたそうです。


Ampex製の2インチVTRは国内では1958年頃から導入が始まり、当時の価格はVTR一式が2,000万円、60分テープが1本で10万円(当時、軽自動車が買える金額)だったそうです。

すこし新しいVR-1200(Ampex)


国内では、テレビ放送開始から1970年頃までの生放送、またはVTRで制作された番組は、(1958年以降の)2インチVTRのほか、高輝度ブラウン管をフィルムの(動画)カメラで直接撮影して記録するキネコ(キネスコープ・レコーダー)で記録されたものが残されています。

しかし当時はビデオテープが非常に高価だったため、放送済みのテープの多くは使い回しされていました。またキネコも1970年代初期まで使われていたようですが、映像の再使用など何か目的が無ければ録らないのが一般的だったそうで、残念ながら70年代前半頃までの生番組やVTRで制作された番組の多くは現存していません。

1970年代後半でも全てが残されているわけではなく、私が知っている範囲では、ある放送局では「全ての番組を残すようになったのが198X年」とか、他局では「基本的に生番組は(番組内で使ったV素材以外は)法定同録の期間を過ぎたら何も残らない」という話も聞いたことがあります。(放送局によって違いがあります)
個人的には自分が生まれる前の「8時だよ全員集合」がしっかり残っているのが嬉しいです。

しかし、放送局としては公式に残していない映像も、スタッフや出演者が私費を投じてビデオで同録(エアチェック)して残していたり、視聴者が録画して残っている場合がけっこうあります。年末恒例の某歌合戦(1960年代後期~70年代前半)で、家庭用オープンリールVTRで録画された映像しか現存していない部分や年があるのは有名な話ですね。

そんなわけで、統一Ⅰ型VTRで残された映像は貴重なものがけっこう多いんです。


過去5回、デッキの掃除、電源、ちょっとした回路の修理、テープ鳴きでの湿気取りなどを取り上げましたが、ずいぶん長いこと更新できずにいました。
(続きをご覧になりたいと仰っていただいた方々、すいませんでした)

今回も完結しませんが、微妙にちょっとだけ(笑)進展があったので状況報告です。

テープ鳴きの対策、ヘッドドラムへのテープの進入角度や位置などテープパス関連の調整(機種固有の資料がないのでトライ&エラー)をしてだいぶ改善できましたが、現段階ではこんな感じです。
音声はアナログベーカム並の音質ですが映像のノイズが消えません…。



よく見ると画面の右端に2インチVTR特有のヘッドの切り替えノイズが見えます。この番組は(外での取材撮影は16mmフィルムで)2インチVTRで収録(スタジオ完プロ)したものが放送されたようですね。(恐らく番組はカラー放送だったと思いますが、録画した統一Ⅰ型VTRが白黒タイプだったので白黒です)


そして、いろいろと確認していったところ新たな問題が浮上。これです。



ヘッドからの微細な信号を伝えるスリップリングが劣化(金メッキみたいなんだけど針が腐食)していて、回転軸もゆがんでいる様子。

これ、間違いなくノイズの原因になってるな…。

映像に出てくるBVU-800はU-maticテープの再生用としてキープ(自分でメンテ)しているものなので部品取りするわけにはいきません。

AV-5100のスリップリングの調整を試みましたが、うまくいかずノイズは消えません。これは、代替の部品を探すしかない…。(これで1年停滞)


その後、色々と調査したところ、某砧の技研さんでも統一Ⅰ型を復活させる際にスリップリングが劣化していたので代用部品を使ったとのこと。

やっぱりかぁ~と思いきや、あちらさんでは代用としてなんとHD D-5のVCRのスリップリングを用いたとの情報…。(いくらか知りませんけど)さすが財力が違いますね…。


費用をかけず腐食したスリップリングに代わるものを…

というわけで、カメラ部不調のBVW-400をタダ同然で入手。

20100604-9_broken400.jpg

おお、Rがおかしい。

かつての放送番組取材の定番BVW-400も、今では正常に使えたとしても仕事で使う機会は「ゼロ」。
しかもこれは不調。となれば分解して色々やってみたくなるのが性。

以前、引退したBVP-70ISやBVU-950を勉強用(?)としてバラバラにした経験(もう一台の70ISは超高感度カメラに改造して遊んだら白煙モクモクw)、DXC-537Aをニコイチで生き返らせた生兵法を生かし、今回もバラバラ。

BVW-400
20100604-3.jpg

かつて定価750万円だったというカメラも古くなって故障していたのでは産廃同然。私にかかるとバラバラです(笑)

アンプゲインが安定しません。CCD出力のカットオフもおかしい。
今回はサービスマニュアルも延長基板も無いので故障箇所の特定は無理っぽい。
というわけで、何回も抜き差ししつつ遊び半分で調整を試みます。

20100604-5.jpg

遊び半分でいくつかコンデンサーを交換。WFMとVECTORを見つつ、ちゃんとした映像が出るところまで行きましたが、やっぱりきちんとは安定しない感じなので終了。

しかし、BVW-400(F8)の画質ってこの程度でしたっけ? SDでも感度F11やF13、S/N=65dBなんかのDSPカメラに慣れていると、どう調整しても旧々世代の画質だなぁと思いました。

脱線しましたが、なんでBVW-400か?
20100604-1.jpg

これです。スリップリング! ピカピカです。
20100604-2.jpg

ちなみにこのカメラの現役時代、ヘッド交換には100万円以上かかったそうです…

まあ、これを外して統一Ⅰ型に付けることが可能かはまだ未知数なんですが、「そういえばBVW-400もスリップリング付いてたな~」という記憶を元に、(タダ同然で)入手できるチャンスを待っていたのです。

とりあえず、使えそうな部品を入手できました。
なんと今回はこれだけですが、統一Ⅰ型の復活は長ーい目でご覧ください。

なぜここまでして古いビデオテープを再生したいのか?
それは、そこにテープがあるからです(笑)。

映像制作/音響制作/制作技術
株式会社 写楽 www.sha-raku.co.jp

以前の記事は「統一Ⅰ型」のタグでまとめて見られます。
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