大阪の映像制作・制作技術会社 (株)写楽の社長 木内の気ままなブログです。                    (文章や写真を引用される場合はご連絡ください)
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テレビの音量(地デジの音量)
また久々の更新です。
今日はテレビ放送の音量のネタです。

一週間ほど前、アメリカの議会で音量が大きすぎるCMを規制するという法案が出されていましたが、日本の放送でもCMの音量が大きいという状況は似ていますね。

アナログ放送の時代から「CMになると音量が大きすぎる」という一般の方からの質問や苦情は各局に寄せられていたと思います。ラジオ局員だった当時、私も電話対応で説明した記憶があります。
最近、私の周囲では、(エンジニアではない一般の方から)テレビがデジタルになってからはCMの音量のみならず「チャンネルによって番組が聞き取りにくい」とか「しょっちゅうリモコンで音量を変えている」という話が聞かれます。
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米議会でやかましいCMの規制法案が出されているというニュースを見た後、ネット上で検索してみると日本国内でも同じ疑問を感じている方は私の周囲だけでなくかなり多いようです。
ネット上のQ&Aサイトなどでは番組とCMの音量の差を「モノラル番組とステレオCMの違い」だとする回答があったりしましたが、完全に間違っているとまでは言えないものの、主な原因とはかけ離れていますね。


かなり昔、CMは「音量が大きいのも小さいのも広告の趣旨であり演出である」という観点から、放送局に納品されたCM素材は、基本的に搬入テープに記録されている基準レベル(1kHz=0VU)に合わせるだけで、本編の音量に応じての調整はしないのがお約束でした。
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※本来は基準レベルに合わせれば、CM本編も適切な音量になるはず…

しかし、広告効果を上げたいがために他より音量を大きくして目立とうとするCMが増え、みんなが負けじと対抗したためにCMの音量は全般的に大きくなってしまいました。

かなり以前から、国内の業界内でもCM音量の適正化を求める声が上がっていましたが、残念ながら浸透はしていないようです。
アメリカではCM音量を規制する法案が審議を待っている状況ですが、具体的にはどんな内容なんでしょうね。


さて、現在の国内のテレビ放送においてですが、基準に従って適切な音量で制作されている番組(番組にも色々ありますが)に対しCMの音量が大きすぎるため、多くの放送局が非公式にCMの音量を調整しています。

「これ、言っちゃって良いの?」ですが、どの程度、どのように調整しているかを関連団体や局側が代理店や制作会社などに公表している例は聞いたことがありませんが、CMが放送時に音量調整されている事は以前から業界紙などに掲載されてきた事ですので、周知の事実と言って問題はないと思います。
私が確認できる範囲では20年ほど前にはすでに行なわれており、放送局によっても対応は異なるようです。具体的には局内制作の番組を○dBアップする、CMは一律で○dBダウンする、収録レベルが○○dBを越えるものは不良素材として返品するなどの対応がとられています
…やっぱり詳しくは書けません。すいません。

しかし、ある程度調整されている現在でも「番組よりCMの音量が大きすぎる」という話はよく聞かれます。あらかじめ音量を調整されることを前提にCM納品の音量がさらに上がっていたり…という悪循環もあるかもしれませんね。


音量を確認する場合、これまでは主にVUメーターが用いられてきました。VUメーターは本来「音量感」を表示するとされるメーターなんですが、実際に音を聞いた時に感じる音量感、聴感上の音量は、スピーカーやヘッドホン、環境や聞く人の感覚によっても異なるので、VUメーターだけではなかなか判断しにくいのが実際です。
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VUメーターはもともと電話機の基準レベルを監視するために開発されたメーターで(Wikipediaより)、規格として「信号が発生してから正しいレベルを表示するまで0.3秒」かかるようになっています。言い変えれば「音が0.3秒持続していなければ正しいレベルは表示されない」ため、突発的な音に対しては正しいレベルを表示しません。

また、エンジニアによっては「VU計が振れにくいイコライジングやリミッティングをして音量を上げている」と言っている人もいるとおり、VU計はある程度小細工できてしまう側面もあります。(小細工すると音質は…ですけどね)

また、ピークメーター(PPM)はレコーダーや伝送路のクリップ(飽和)を確認するためのもので、収録などの際は必要不可欠な存在ですが、聴感上の音量を計るメーターとしてはあまり役に立ちません。(後述)
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その他、映画業界では予告篇の音量がやかましすぎるということで、聴感補正カーブが入った一定時間内の平均レベル「Leq(m)」を表示するラウドネスメーターの使用が推奨されています。
Leqについては色々と思うところがありますが、このメーターでは「突発的な大音量の前後に無音部分を作って測定値を下げる」という小細工がほとんどできないようなので良さそうですね。



さて、最近、近畿ローカルでは放送音量に関してちょっと変更があったりなかったり……。ということで、個人的に検証してみました。
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各チャンネルの色々な番組の音をデジタル接続(PCM)でDAWに収録しておき、傾向やピークを見てみたところ、なかなか興味深いサンプルがたくさんありました。

アナログ放送の時代は過変調で不要波を出さない(笑)ためにもペッタンコにしていたので、チャンネルの違いによる音量差はそれほどありませんでしたが、地デジでは各社、一部の局を除いては音量がバラバラでとても驚きました。
一つの放送局でもネット受けやローカル送出、生放送や完パケ番組、CMなど状況によって様々な音量の差が確認できました。

興味深いものがいろいろあったんですが、本物を公開する事は出来ないのでフリー音源を使って、ある状況を再現してみました。

左がピークメーター、右の上の段がVUメーター、右の下の段が先日紹介したPPMです(-20dBFS=「4」)
VUメーターの0VUが何dBFSに設定してあるかは、某あたらすぃ基準という事で…。

00m00s ネット受け番組本編
00m13s 提供コール
00m25s ローカルCM
00m43s ネット受け番組本編
01m19s ローカルCM
(分かりやすく組み合わせています。実際にはこのような短時間のうちに同様の順序で切り替わることはありません)

00m00sから00m43sまではネット受けの番組が終わってローカルのステブレが入る時の状況。
00m43sでの変化はローカル送出のスポットCMからネット受けの番組に切り替わる時の状況。
01m19sの部分はネット受け番組から提供コール無しでローカルCMに切り替わった時の状況です。

注目すべきは、CMにありがちなやかましいコンプレッションではなくて、ピークメーターです。
(CM部分のコンプレッションですが、3360○で紋切り型仕上げ!! という感じの、詰めすぎで破綻しているような古臭い仕上げを作ってみました。マルチバンド機で上手に設定すればこんなには破綻しないんですけど、こういう音質のCMって皆無とはいえないですよね)

この再現では番組本編とCMのピークの差は基本的にたった2dB。提供コールとCMのピークは同じです。
(※たまたまサンプルとして確認した-14dBFSをピークにしている番組は特殊ですが、多くの場合ピークレベルだけで見れば番組もCMもそれほど変わりはありません)

極端な再現例ではありますが、コンプレッサーとリミッターの設定で、ここまで「聴感上の音量」は変わってしまうんですね。

また、再現ではローカルCMのピークを-12dBFSとしていますが、数分後のローカルCMのピークはちょくちょく-4dBFSまで行っていました。番組とCMの組み合わせによっては、聴感上の差は再現映像以上かも。
ローカル局としてはネット受け中の「番組とCM」の聞こえのバラツキも頭が痛いところでしょうが、この某局のローカル送出レベルはどう変わってしまったんでしょう…

全てが統一されるなら良いと思いますが、ネット受けとローカルで送出基準が違っていては、CM搬入のレベルが適正化されたところで、聴感上の激しい差は解消されないのでは…? (何か試行中だったんでしょうか?)

その他、-9dBFS、-6dBFSで止めているであろう局、生番組でくしゃみをしたらクリップしてしまう局など色々な状況が確認できましたが、大阪のいわゆるV局ではよくコントロールされていて全体的にまともと言えるのは数局。
その他では一般視聴者の方が「しょっちゅうリモコンで音量を変えている」という理由がとてもよく分かる結果でした。だめじゃん。


放送前の最終段では、以前紹介したOPTIMODなどで自動的に音量調整はされるんですが、最終リミッターを自前で調整していないところもあるようですし、どちらかと言えば音を詰めて音量を上げる機材なのでもともとコンプやリミッターで限界まで詰め込まれたCMの音は(ピークレベルとしてはそれほど違いがないという事もあって)自動的にはなかなか小さくはできないんですね。(レベルが高ければAGCで下がりもしますけど、ガンガンに詰め込まれたCM素材の聞こえ方は直りませんもんね)

結局、人が判断しながらフェーダー上げ下げしないとだめなのか…。というかマスターの仕組みを変えて数系統に分けて処理すれば自動で何とかなりそうなんですけどね…。


アメリカで審議予定の法案も「音量」の評価についてはなかなか難しいところだと思います。新しい規格のラウドネスメーターに期待でしょうか…。今後を見守りたいですね。


米議会のCM音量規制法案のほか、ネットでテレビの音量について検索していたところ、数日前のある音楽番組がびっくりするようなミックスで放送されていたのがかなり話題になっていました。私もちょうどBDレコで録画していたんですが、やっぱり一般の方も違和感を感じられた方が多かったのですね…。
途中から生で見だして、えっ? またメイン卓NGとか?? と思いきや、会場が変わっても…。

何度かクリアーな拍手が突然入ったりしていたので、もしやと思ってFFTで見たら拍手はMD出しのような感じでした。「素材出し」はアリだとしても、フェードも無しで素材の途中からいきなり拍手を「パーッ」と再生開始するっていうのは驚きです。ありもん?と最初に感じたのは無音状態からいきなり全開の拍手が聞こえ出した時だったんですが、生の拍手だったとしてもいきなりアサインONは無いですね…。
肝心の曲のほうはまともに聞けたのが再生音源系のみだったのが残念でした。

卓のアサインがフリーズしたとされるのが2年前。今年は何があったんでしょうか…。どなたか知りませんけど、頑張って来年こそリベンジしてくださ~い。
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