大阪の映像制作・制作技術会社 (株)写楽の社長 木内の気ままなブログです。                    (文章や写真を引用される場合はご連絡ください)
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ふるーいVTR(統一Ⅰ型VTR) 復活への道 (その5)
1回休みと言いつつ2回休んでしまいましたが、
EIAJ統一1型VTR AV-5100の復活作戦(その5)です。

さて、分解清掃して接触不良箇所を直したAV-5100ですが、50Hz地域専用のVTRだったということで、大阪の60Hz電源ではモーターの回転数が上がってしまい正常に再生できませんでした。

ということで、DC12V電源からAC100Vに変換するインバーター(たまたま持っていた矩形波出力タイプ)でAC100V 50Hzに設定して試してみたんですが、矩形波のAC電源では映像や音声にノイズが出てダメなようでした。

そこで用意したのが、こちら。
20090801-1
先日使った矩形波インバーターと同じメーカーの、今度は正弦波インバーター(メルテックSXCD-300、写真右)です。AC出力をテスターで計ったところ、AC99.6V、50Hz設定では49.97Hzと出ました。(ほとんど測定誤差ですね)

このインバーターは連続出力が300Wで、瞬間最大は500W。温度が上がると背面の空冷ファン(ちょっとうるさい)が作動します。

試しに安定化電源(写真左)で調整をして入力電圧をDC11VからDC15Vまで変えてみてもAC側の出力電圧は常に一定でした。
メーカーの技術さんに仕様を確認してから購入したんですが、このインバーターはなかなか優秀です。(出力波形まではまだ確認してませんけど)

あまり消費電力の大きいものは使えませんが、車でAC100Vの機器が使えますから、レジャー用、非常用としてもおすすめです。

ちなみに、私が乗っているミニバンに付いているバッテリー充電用のジェネレーター(発電機)は、ディーラーさんに聞いてみたところ、アイドリング中の最低出力で12V 8Aだそうです。
インバーターの変換損失などを考慮してもリチウムイオン(Vマウント)のチャージャー(1chタイプ)は通常のアイドリングのみで使えるようですね。

余談ですが、ロケ用機材のバッテリーを全てリチウムイオン(Endura)に変えて以来、HDVなどの小型カメラ以外は12V環境で充電できるチャージャーが無かったんですが、インバーターの導入で商用電源が確保できない場合でも簡単に車でチャージできるようになったので、ふだんの仕事でも(非常用として)役立ちそうです。


さて、話は戻りますがAV-5100には交流モーターが入っています。 そのため定格消費電力は95Wと本体に書いてありますが、電源投入時(再生開始時)の突入電流が定格値よりかなり大きく、再生を開始する時にインバーターのブレーカが落ちてしまうことがありました。
突入電流も考えて最大500Wのインバーターにしたんですが、それでも足りなかったようですね。

とりあえず、やっと用意できたクリーンな50Hz電源で再生してみましょう。




はいっ。 ということでまた新たな課題です…。

古くなったビデオテープ(特にこの時代のテープ)では、ベースフィルムに磁性体を接着しているバインダーなどの吸湿によって摩擦係数が増大してしまい、テープ走行に支障をきたしてしまう事があるそうです。(某大手磁気テープメーカーの部長さん談)

様々な方面の資料を調べてみると、私がテスト再生しているテープでは帯電防止用のバックコートのカーボンの吸湿が特に問題になっているようでした。テープの粉落ち(磁性体剥離)だと思っていたものは、バックコートのカーボンが剥がれ落ちていたもののようです。

また、何本か試してみると、同年代の他社製テープでバックコートのカーボンが無い未記録テープではキューキュー鳴かないものがありました。
バックコートの付いている高級タイプのほうが後に問題になるなんて…。 (1980年代に一部メーカーの音声用6ミリオープンリールの業務用テープであったバックコートのネバネバ事件とは状態が違いますが、状況的には近いものがありますね…)

摩擦係数の増大でテープ走行が不安定になったりドラムに張り付いたり…。またテープによってはバックコートが剥がれ落ちて数秒足らずでヘッドが詰まって砂嵐になってしまいます。

統一Ⅰ型は上下ドラムの間にあるヘッドディスクが回転するタイプで、ドラム全体が回転するVHSやBetamaxなど後世の方式より張り付きが起こりにくいとされているにも関わらずこれです。
(テープ自体が進化しているとはいえ、よりローディング機構が複雑にもなっている後世のVCRは今後大丈夫なんでしょうか…)


しかし、やるからにはとことんやりましょう。

実はこういった状態のテープを復活させる方法があります。俗に「焼き入れ」といわれる作業で、一定温度でテープを乾燥させ、一時的ではありますがテープの状態を改善することができます。
(ちなみに音声用6ミリのオープンリールでも鳴きが改善できるそうです。ただし、バックコートがネバネバの某テープやフィルムのビネガーシンドロームには効果ありません)

てなわけで、某大手磁気テープメーカーの部長さん直伝の「焼き入れ」(笑)
20090801-2

そうです。ふとん乾燥機です。(笑)

ダンボールの取っ手穴から温風を入れて、もう片方から排気です。(用途外の使用方法ですので自己責任でお願いします)

真空乾燥機でテストした例もあるそうですが、弱ったバインダーには少々の熱も加えたほうが良いのだとか…。「焼き入れ」たる所以でしょうか。

1時間後… ほとんど変わらず
2時間後… キューキュー鳴くのが減りました
3時間後… おお。鳴かなくなりました。粉落ちも激減!

笑ってしまうような方法ですが、某大手メーカーでも同じ方法でやっているそうです。カセットに入ったテープでも有効だとか。

しかし、磁気テープの「焼き入れ」作業に関しては、有料でやってくれる会社があるらしいという話は聞いたことがありますが、どこを探しても具体的な方法を説明しているところは無いみたいですね…。


(教えて下さった方には了解をいただいていますが)

こんなノウハウを惜しげもなく公開してしまって良いのか~(笑)
ふとん乾燥機って…。

続きはまた。
コメント
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2009/11/19(木) 17:58:02 | | # [ 編集 ]
コメントありがとうございます
残念ながらカメラ撮影のテープもオンエア同録も、モノクロしか手元にない状態で、カラー再生については十分確認できていません…。

一度SMPTEのカラーバーをテスト録画してみた際は、辛うじてカラーで再生画が出てきましたが、録画用の回路は正常ではないようでした。


>業務用のTBCだと細かいパラメータも指定できるんですね

そうですね。放送・業務用でもVCRに内蔵されているものと、今回使用したような単体TBCとでは少し用途が違ったりするので、一部の機能が異なっています。機種にもよりますが単体TBCのほうが設定は多いです。

確かに、家庭用のVHS同士などでTBCなしでダビングしたようなテープでは、業務用のほうがより強力に抑え込まれる感じです。
家庭用は入力信号の幅に対して許容幅が狭かったり、同期信号の入れ替えが不完全で余計に乱れてしまったり、映像に枠が付いたり縦横比が微妙に変化してしまうようなものがよくありますが、放送・業務用だとそういうことが少ないようですね。

DNRも付いているTBCなんですが、YNR、CNRも段階がいろいろあります。
2009/11/16(月) 07:58:28 | URL | 管理人 #SFo5/nok [ 編集 ]
返事ありがとうございます。
>AV-5100のMONO/COLORモード

AV-5100だと既にCOLORでも収録できるんですね。。お持ちのテープでカラー放送をエアチェックされた物もあるのでしょうか?(これほど古い磁気テープだとクロマ信号の劣化がかなり厳しいイメージがあるのですが、実際のところどうなんでしょうか?)

>民生VCRなどに搭載されているTBCと比べると信号の対応幅が広いようで、以前60Hz電源で2割増しの周波数になったNTSC(笑)ではモニターでは全く水平同期が取れないような状態でも何とか映像がフレームとして出てくるなどの違いがあるようです。

確かに、よくあの悲惨な(笑)信号であそこまで映像を抑え込めるなと思ってました。(また2台のモニターで比較できるので非常に分かりやすくていいですね)

>前回の設定ではTBC側でフレームフリーズ(同期断の時に静止画になる機能)をONにしていたので、スキップフレームが多いものの、より見やすくなっていたという違いもありました。

業務用のTBCだと細かいパラメータも指定できるんですね。。
最近の民生用レコーダのTBCだとフレームフリーズは常時ONになっている物が多いようです。確かにMPEGみたいな圧縮形式だと映像が破綻しなくていいんですが、古い素材を使う時に時々弊害があるので困りものです。。
2009/11/15(日) 02:45:58 | URL | bt6x #- [ 編集 ]
コメントありがとうございます。
古い機種だと映像と音声が一体化されたモニター接続用の角型のコネクターもあったりしますね。

FOR.AのTBCをつないでDVCAMで録画したんですが、そのTBCではAV-5100のMONO/COLORモードのうち、VTR側でカラーサブキャリアが付加されるCOLORモードのほうがより安定(映像をつかまえやすい)ようでした。
(記事内では書いていないのですが、CRT式と、ラスタライザーのタイプの波形モニターでも色々確認しながらテストしていました)

民生VCRなどに搭載されているTBCと比べると信号の対応幅が広いようで、以前60Hz電源で2割増しの周波数になったNTSC(笑)ではモニターでは全く水平同期が取れないような状態でも何とか映像がフレームとして出てくるなどの違いがあるようです。

前回の設定ではTBC側でフレームフリーズ(同期断の時に静止画になる機能)をONにしていたので、スキップフレームが多いものの、より見やすくなっていたという違いもありました。
2009/11/14(土) 03:51:10 | URL | 管理人 #SFo5/nok [ 編集 ]
ご返事ありがとうございます。
M型コネクターというのは意外でした。
以前ですが、物置で(多分初期の)ナショナルマックロードのVHSデッキを見つけて触ったことがあるのですが、背面の映像出力端子と入力端子が変った形状の端子だったので印象に残っているんですが、今思えばM型コネクターだったような気がしないでもないです。(今は廃棄してしまったようなので、分かりませんが)

>どちらもジッターが非常に大きいので、TBC(タイムベースコレクター)を通さないとダビングは厳しい感じです。

やはりジッターが大きいですか。(とは言っても動くだけでもスゴイのですが…笑)
私は民生用のVHSやDVRに内蔵しているTBCしか使ったことがないのですが、ジッター大きいと完全には補正しきれずに水平同期の一部が抜け落ちたような状態になったり、モニター上(TBCなし)では正常に映っている部分も巻き込んで映像が大きく乱れることがありますが、どの程度補正できているのでしょうか?
2009/11/13(金) 06:50:43 | URL | bt6x #- [ 編集 ]
コメントありがとうございます。
はじめまして。

なかなか忙しくて続編を書けていないのですが、また動画も含めアップする予定ですので気長に(笑)お待ちください。

AV-5100では映像端子がM型コネクターで、音声はミニジャック出力(-10dBV?)です。M型は今でもアンテナのコネクターとしては見ますが、映像用として使われているのは昭和50年代初頭の機種までだと思います。BVUの初期の機種でもM型コネクターだったかも(記憶が曖昧です)
信号としては今のBNCやRCA端子のコンポジットビデオ信号と同じです。

(廃棄してしまって手元に残っていないのですが)同年代の1/4インチオープンリールVTRのAKAIのVTシリーズでは、VHFの7ch?で出力していたと思います。

どちらもジッターが非常に大きいので、TBC(タイムベースコレクター)を通さないとダビングは厳しい感じです。

余談ですが、統一Ⅰ型は音声トラックが1mm幅しかありませんが、テープスピードが速めなのでアナログベータカム(オキサイド)のDOLBY OFFに近い音質です。
より新しい規格のVHSやBatamaxのリニア音声トラックの音質とは比較にならないほど良くて、はじめはちょっと驚きました。
2009/11/13(金) 01:03:52 | URL | 管理人 #SFo5/nok [ 編集 ]
はじめまして
U-Maticについて検索してる途中でこのページを見つけて、気付いたらこのシリーズ?の1~5まで、全部見てました(笑

私が生まれたころには既にU-MaticどころかBeta…VHS…S-VHS(これ以上言ってしまうと年齢がわかってしまいますね...)があった世代なので、(知識としては知っていても)統一Ⅰ型VTRの内部からオープンリールテープを掛けて実際に再生するところまでを見るのは初めてなので、非常に興味深くて面白かったです。私も少し民生機のVCRを修理した経験があるので久しぶりにワクワクして見てました。(少しVCRの知識があるとホントに楽しめますね。)

また続編がありましたら、記事を楽しみにしています。(気長に待っていますので

PS:
一つ気になったことがあるのですが、AV-5100は民生用のVTRですが、このころのVTRって、どのようにモニタへ接続していたのでしょうか?(RF出力?それともRCAもしくはBNCのコンポジ出力があるんでしょか?)
2009/11/12(木) 18:22:55 | URL | bt6x #- [ 編集 ]
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