大阪の映像制作・制作技術会社 (株)写楽の社長 木内の気ままなブログです。                    (文章や写真を引用される場合はご連絡ください)
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AudinateのDanteとは?? 気になったので調べてみました。
先日のサウンドフェスタ2009で展示されていたオーストラリアのAudinate社のDanteですが、ほとんど情報が無かったので調べてみました。
ネットワークオーディオ規格の備忘録を兼ねてたりして…

多チャンネル音声伝送用のデジタル規格では、同軸ケーブル(または光ケーブル)を使用するMADIという規格が1990年代前半からありましたが、(最近になってまた注目されていますが)以前は値段の高いメーカーの製品で採用されていた例が多かったためか、それほど目にする事はありませんでした。
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(c)STUDER

LANケーブルを使用して非圧縮の音声を伝送できる規格としては、古くからあるものとしては10年ほど前、アンプメーカーのQSCが発売した「RAVE」というものがありました。当時は大規模施設などでのアンプへの音声伝送用や制御用(RS232経由のAUXデータ利用)として紹介されていた記憶がありますが、これは現在の「CobraNet」と同じプロトコルなんだそうです。(今回調べるまで別の物だと思っていました)
CobraNetでは100Mbpsの回線で20bit、fs=48kHzの音声が64ch伝送できます。

また、CobraNetと同様に有名な「EtherSound」はフランスのDigigram社が開発した規格で、オーディオパケットが一体化されているためディレイが少なく同期した伝送が可能。また、機器やデータレートによって制限がありますが、FS=48kHz、96kHz、192kHzなど異なるサンプルレートの音声データを伝送できるという特徴があるんだそうです。伝送チャネル数に関わらず、常に一定のパケットが流れるのはそのための特徴ではありますが、ネットワーク機器に対する要求が高くなったり、スループットの良くないネットワークでは使えないなど多少柔軟性には欠けるところもあるかも…。
EtherSoundは1Gbpsの規格(ES-Giga)だと24bit、fs=48kHzで双方向256ch(計512ch)までの伝送が可能なんだとか。(RS-232のAUXデータも相互伝送可能)
EtherSoundに1Gbpsの規格があったとはこれまた知りませんでした…(笑)
512chて…。オリンピックくらいでしか使わないんじゃ…。

初期はやはり設備系での採用が多く、PAやSR、その他ライブや放送番組の収録用途など、あまり仮設現場で使っている例は多くはなかったと思うのですが、デジタルミキサーなどにダイレクトに接続できるボードやリモート操作対応のHA(マイクアンプ)、PC用のボードが発売されてからは、従来のアナログマルチケーブルに取って変わる存在として徐々に認知されつつありますね。


デジタル伝送では、従来のアナログマルチケーブル(特にステージ関係)で高い頻度で悩まされる電源系統などからの電磁誘導ノイズが乗らず、長距離でも信号減衰による周波数特性の劣化もありません。  いいよなあ~。
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(c)Sharaku Corp.

アナログマルチケーブルでは、経路の都合で照明用電源ケーブルと近接して平行したり、ついでに仮設のサイリスタ調光器の横を通ったりなんかするとそれはもう大変です…(泣)


また、ケーブルが細いLANケーブル(または変換して光ケーブル)なので、従来のぶっといアナログマルチケーブルと比べると敷設・撤収がはるかに楽になるメリットもあります。
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(c) Cirrus Logic, Inc.

ただ、CobraNetやEtherSoundの機器は少々値段がお高いので、単純にアナログマルチケーブルの代わりという感覚で購入するのはかなり微妙なところがありました。 (個人の感想です)
また、番組収録などの現場では8chマルチをわりと短距離で使ったり継ぎ足して延長したり、または2本引いて8ch+8chとして使うなど運用形態が様々なので、なかなか用途に合うデジタルスネークはありませんでした。

各社、全体的に値段の高いものが多いデジタルスネークですが、(先日の記事にも書いた)ローランドの「REAC」規格では、現在は16chセンド、8chリターンの小型タイプが販売されていて、100mケーブルとHAリモコンなどを含めても35万円ほどで導入できるので、チャネル数が足りる場合は他に比べてお手ごろです。
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(c)ROLAND

ただ、他のメーカーの製品にも言えることですが、必要な場合は専用ケーブルを使ってでもステージボックス側にAC電源が無くても使える仕様にして欲しいですね。LANケーブルと電源ケーブルを長く2本引くのもスマートではないし(ACを長くひくということは必ず継ぎ手ができるわけですからそこが心配)、また、何よりステージや屋外ではステージボックス用に安心できる電源を確保するのは容易ではないのです。「雑電」しかなかったり、電源だけ経路が別でややこしくなったり…。
ステージの場合、シンセやギター・ベースアンプ用の電源があるような時は良いと思いますが、例えば屋外やクラシックコンサートなどの場合「従来は必要なかったはず」の電源が必要になるわけですから、説明やらお願いやら色々手間が増えてしまいます。 それより何より、目の届かない場所での不慮の電源断が心配ですね。

一部の海外メーカーや放送局の音声中継車のシステムでは、カメラ用の(電源ケーブル複合の)光ケーブルなんかを使って出先に給電しているところもあるんですが、光とはいかなくても、AC電源とLANの抱き合わせケーブルとかは作れないもんなんでしょうか??


さてさて、また話が大きく逸れましたが、AudinateのDanteです。
Audinate社のサイトで登録すると、スライドショー形式でのデモが見られました。

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(c)Audinate

まず、機能的には従来からあるLANケーブルを使った伝送規格とそれほど違いは無いようですが、100Mbpsでも1Gbpsでも伝送チャネル数がちょっと少ないですね。
これには理由があって、Danteでは帯域に余裕を持たせる事によって、ある程度スループットの良くないLAN環境にも対応できるようになっているそうです。

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(c)Audinate

レイテンシーの設定はけっこう大雑把な感じ。
実際、どの程度のディレイが発生するかはよく分かりませんね。

既設のLANに相乗りできるとありますが、スループットがあまり良くない場合など、状況を数値で把握する方法はあるんでしょうか? またはネットワークに他の大きな負荷がかかった場合はどうなるんでしょう…。
やはり安心のためにも相乗りは基本的にしないほうが良いですよね。

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(c)Sharaku Corp.

従来規格より圧倒的に低価格にも関わらず、STPやRSTPにも対応。ミキサー用のプラグインボードではプライマリとセカンダリの2つのLANポートがあり、冗長性も考慮されているようです。

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(c)Audinate

しかし、RSTPを搭載していてもリアルタイムの音声伝送用としては万が一の場合に瞬断する可能性はあると思いますが、リンクアグリゲーションも搭載している模様。
必ず伝送路を二重にしておく必要が出てはきますが、Danteボードのリンクアグリゲーションがどのように動作するのかは気になるところです。

また、PCでサウンドデバイスとして認識するためのドライバ(PC/MAC対応)が提供される模様。収録用の分配なども簡単そうです。

Danteボードの冗長機能とは関係ありませんが、ある程度ネットワークの性能に対して許容幅があるようなので、機会があればVPNやワイヤレスLANでもテストしてみたいですね。チャネル数が少なかったら使える可能性があるかも。

さらに、Danteでは導入(設定)が簡単であることも大きなセールスポイントのようです。従来のネットワークオーディオでは「設定が面倒で分かりにくい」「トラブルでノイズが乗る」といったものがありましたが、そういった点が解消されていると良いですね。

さて、このAudinateのDante。従来規格と比べると低価格なようですが、実際の機能・性能はどんな感じでしょう。また、どんな展開をして行くのか興味深いところです。

ヤマハのミキサー用のボードはいつごろ発売になるでしょう。MY16-ATくらいの、実売4万円強が理想的ですね~。
11/16追記。

Dante-MY16-AUDという型番に決定したそうです。
仕様が次第に明らかになってきましたが、プライマリとセカンダリのLANポートで機能に若干違いがあるなど、当初明らかにされていなかった細かな制約もあるようです。しかし、レイテンシーは非常に短いようです。

サンプリング周波数は48kHz/96kHz、(96kHzではチャネル数が半減)で、44.1や88.2には対応していない模様。映像向けだと48kHzと96kHzで問題ないんですけど、CD用の収録ではちょっと面倒ですね。
実機が市場に出て安定した頃に(できれば半年くらい経ってから)買いたいです。

国内定価は税込で9万円ほどだそうですが、北米での定価で645ドルらしいなので、国内価格は若干高めですね。
代理店などからは国内の販売価格はまだ出ていないようですが、北米で550ドルで売られているのを見つけたので、輸入した場合は送料や国内消費税を入れても5万円台になりそうです。

メーカーが輸入販売するとなるとどうしても経費がかかるのは分かりますが、海外から直接買うのと価格の開きがありすぎると、個人輸入してしまいそうです。 6万円台なら国内かなあ。
コメント
コメント
コメントありがとうございます
> プロトコルさえ統一できれば、映像も音響もすべてネットワークが実現しそう

従来規格と互換性の無い後発規格は様々な点で改良されているものの、先鞭をつけたメーカーの製品にはユーザーもいますから、完全に勝敗が決まるまでの間は色々な規格がそれぞれの事情で続くんでしょうね…。

映像と音声を同時にネットワークで送れる規格としては、すでに数社の機器がちょくちょく使われてはいますが(IPコーデックを除く)、ネットワーク機器も進歩していますから、映像と同時に音声を16、48、96chと伝送できる規格もこれから出てくるんじゃないかと思います。映像もHD、SD含め双方向で複数送れたら色々使えますよね。

> もちろん品質を考えるとまた違う問題が出てくるのですが。

デジタルの規格って難しいですね。
各社から人が出向したりして1年ほどの検討期間?であっという間に決まってしまったデジタル放送の規格は、始まってすぐにレートが足りなくて画質が良くない(ブロックノイズがひどい)とか色々言われていますが、期限を切らなければ技術はどんどん進歩していきますから難しい話ですよね。
当時はいつまで待てばH.264が現実的に使えるか分かりませんでしたし、枯れたMPEG-2を使うというのも理に適ったことですから適正な判断だったと思いますが、数年経って「フルHD」(1920x1080)が家庭用テレビの宣伝文句になっているのに、地上デジタルが1440x1080なのは微妙な事ですね。

現状では、制作に使っているVCRの多く(主にHDCAMなど)が1440x1080だということもありますから、レートの問題を抜きにしてもごく自然な流れだと思いますが(後で変えられないこともないし)、ふらっと立ち寄った家電店の店員さんに地デジを受信しているテレビを指差されて「フルHDだと地デジも全く違いますよ。」と断言されてしまうとなんだか微妙な気持ちです…。BDじゃなくて地デジです。
もし、「テレビ内蔵のスケーラーがとても優秀なので…」と一言加われば「なんですと~」と食いつくんですが…。

マスモニ用途向けの液晶(??)では黒挿入までですが、最近の家庭用テレビでは残像低減のために中間フレームを生成したりとか、もう作り手側が出来る配慮や注意の範疇を超えてしまっている感がありますね。
(個人的には三菱のバックライト明滅方式に興味あり。ブラズマも見直されていますね。)

しっかし、デジタルって規格の浸透が一つのスタートであり終着点のような感じですね。

でも、現状のデジタル放送に関しては、将来どの時点で区切り打つのか今から気になるところです。もしH.264に対応させるならば現状のデジタル受信機も総とっかえしないといけない。将来的にサイマル放送が必要になったらアナログ時代より余計に帯域が必要になったりして…。
予定期間内のデジタル移行もどうかと言う時期に言う事ではないかも知れませんが、どう考えてもNTSCのように50年は持たないですよね…。
やっぱり、次次世代は電波は移動体向けのみになって、固定は光回線の有線配信になるんでしょうかね~。


「新しい規格にはすぐには飛びつかないぞ~」とは思いつつ、割と早いうちに飛びついてしまうほうかも…。
2009/07/07(火) 15:21:27 | URL | 管理人 #SFo5/nok [ 編集 ]
コブラネット
こんばんは、linear_pcm0153です。
ネットワーク伝送はプロトコルさえ統一できれば、映像も音響もすべてネットワークが実現しそうですね…。
私自身、世界で一番広大なネットワーク伝送を初めて見た時、自分の知らない世界がそこにあることに結構カルチャーショックを受けました…。
企業ホールでも、各階の映像・音響渡りをコブラネットで音声を、独自プロトコルで映像を送る事がまま増えているようです。
映像にしろ音響にしろマルチケーブルを敷設する労力を考えたら、イーサ・ケーブル引く方が簡単ですからね…。
もちろん品質を考えるとまた違う問題が出てくるのですが。

しかし、木内さん、アンテナ広いですね(笑)感服いたします。
2009/07/07(火) 00:02:20 | URL | linear_pcm0153 #- [ 編集 ]
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