大阪の映像制作・制作技術会社 (株)写楽の社長 木内の気ままなブログです。                    (文章や写真を引用される場合はご連絡ください)
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デジタルミキサーの操作性
また久々の更新ですが、今日はデジタルミキサーの話です。

デジタルミキサー(デジ卓)とは言っても、私が現在使っているのは局スタや中継車(音声中継車)で使われているようなSSLやSTUDER、最近大阪の局で流行っている? CALRECなどの大型卓ではなくて、もっぱらアナログインプットが24ch程度までの可搬型の小型デジタル卓。今回はそういったデジ卓の話です。

もとから機材が設置されているスタジオではなく、出先の仮設現場(収録・放送、PAなど)でもデジ卓を使うようになって10年以上になりますが、みなさん操作性に不満てないですか?

私が現場に入った頃は当然アナログ卓オンリーの時代、HAからEQ、AUX、BUS、PANなどなど全てのツマミがあって、どう設定されているか瞬時に全体が見えて、例えばインプットチャネルのフェーダーバランスを調整しながら、グループ送りのBUS MASTERを調整するとか、手が届けば同時に別々の項目を操作出来るのが当たり前でした。
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(懐かしのPM3000。HD25-1は1993年頃から使ってました)

Promix01(コンプは2ch×3系統)の時代は大型卓に入れる前のグループmix用に使ってたことも多かったと思いますが、02RはHAが少なかった(というか音質的に…だった)ので、不足する分を別のアナログ卓で一度まとめてから02Rに入れていたり、出力系は必要に応じて外部にアナログのMTXミキサーを用意していたりもしていたので、まあまあ色々見えていましたし、本体だけで複雑な使い方はしていなかったので困ることはそれほどありませんでした。
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(02Rとパッチ。私が使うとパッチだらけ…) 10年ほど前です。

ラジオ時代。某球場(中継)での02Rです。
よっぽと急いでセッティングしたんでしょうね… >私
かなりとっ散らかってますね。おはずかしい…。
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02Rの他はノートパソコンとMSD100(位相計)、右はMDプレーヤーとその下は何でしょう? 右下のミキサーはモニター関係(N-1)など用だったと思います。Y社のメーターブリッジはSTUDERのように+20シフトが無いので、OAレベルで使うとほとんど振れませんでした。持ち出しでは外したことが多かった記憶があります。EQのATTを使うとしても入力段でクリップして割れたら嫌だし…。
この時はパラボラじゃなくてガンで集音してました(笑)


昔のデジ卓は「便利な卓だね」という程度でしたが、今のデジ卓は大きく進化していて機能も格段に増えたので、一台で「全部入り」状態。
機能として「全部出来る」となれば当然他の機材は削減されて、「デジ卓一台で全部やってね」ということになっちゃいます。

しかし、一台で必要な機能が全て搭載されているのは良いんですが、設定値を確認するにも、何を操作するにも画面切り替えやレイヤー切り替えの操作が必要になってくるので、傍から見ると手先の動きだけは早いのに、実際のパラメーターの変更はアナログより1テンポ、2テンポ遅くて、あちこちのメニューを行ったり来たりで効率も悪い、という事が多くなっています。
ポスト作業ならほぼ関係ありませんが、プリプロの現場では例えばハウリングへの対応やコンプのスレッショルド変更などなど、瞬時に対応する必要がある時に1テンポ遅れるのは致命的だと言っても良いかもしれません。 便利だという反面、メニュー操作が多くてデジ卓は気苦労が多いと仰られるミキサーさんもいらっしゃいますね。

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(とある現場でのdbx160です。各ボーカルにインサートして使いました。他で何をしていてもゲインリダクションが一度に見えて設定も瞬時にアクセスできます。リハと本番では色々な点で大きく変わりますから、事前設定は目安。曲調や状況に応じて調整しないと話になりません)

同じ現場。160の下はDN360でした。(インサートで使用)
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DN360の設定値は笑うところです。
よっぽとブーミーな現場だったんですかね…。(笑)
1178と166A、SDE、SPX900と990も見えてますね。PC画面は収録送りのレベル監視と測定用マイクを繋いで色々やってました。PC画面がCRTで、PGMモニターがCX-65Mってとこが古い…。
最近は大型卓を使うような音の仕事からは離れてるのでちょっと懐かしいです。

話は戻ってデジ卓ですが、確かに、従来の同じチャネル数の放送用のアナログ音声卓より安いのに、全チャネルに自由にパラメーターを設定できるコンプ/リミッターやPEQが付いていて、MTXミキサーとしても使えたり、全パラメーターのシーンメモリー/リコールが可能という点は素晴らしいんですが、だからと言って操作性が良くない事が安いとか小さいという理由だけでチャラになるもんではないと思います。

まあ、デジ卓はDAWのコントローラーになったりマルチチャネルのデジタルインターフェースボードを後付けできたり、内部パッチも変えられたりしますから、とんでもなく便利になっている部分が多いのも事実なので、贅沢言い過ぎなんですけどね。

大型卓に関しては、海外の一部メーカーは独自の操作性を追求したりしていますが、一般化しなければ存在自体が微妙にもなります。ここ何年か、大型のプリプロ用デジタル卓ではアナログ時代に戻るような流れが(一部ではアナログ的になりつつも、今までのアナログ卓には無かったようなデジタルならではの工夫も)見られるようになってきました。
一時期、「デジ卓はツマミが少ないのがスマート」みたいな変な流れがあったような気がしますが、最近の大型卓は従来のアナログと全く同じではないものの、各社で原点回帰の方向性も増えてきているように思います。小型・中型のデジ卓でもこれからはより操作性が重要視されていくんじゃないかと思います。

放送・業務用のショルダータイプのカメラなどがメーカーが違っても基本的な操作スイッチの場所が同じになっていったように、各社各様のデジ卓の操作性や機能、インターフェースも次第に共通化されていく部分が出てくるんじゃないでしょうか。

海外の某メーカーでは、単に新機種を試用してもらったり、旧型ユーザーの意見を集めたり他のメーカーから人材を引き抜くだけでなく、現役の現場ユーザーに企画段階から開発チームに入ってもらうというところがあります。メーカー担当者の理解力の限界や思い込みのフィルターを通らず、慣例や既存の制約に縛られないユーザーの意見が反映された製品は、操作性だけではなく機能の面でもユーザーから見ると「よく分かってるよな~」と感心させられるものがあります。
奇抜なものは要らないとしても、メーカーさんには単に「デファクトスタンダードだから現状維持」という考え方からは脱却して、ユーザー側が感心させられるような使いやすい操作性や機能を探求していってもらいたいですね。(個人的にタッチパネルはかなり苦手ですが…)

しかーし、(この記事に登場しているメーカーの機種ではありませんが)操作性抜群の最新の大型デジタル卓でも、フリーズして音声断は困ります。自動車やトラックのように直接人命に関わるものではないにしても、例えば生放送などでの音声断は非常に重大なことです。他の業種でもオペレーターや会社にとっては死活問題にもなりかねませんから、発売後の製品に対しても信頼性を第一に考えてバグ修正などの対応をきっちりやってほしいですね。

ラジオ時代に経験したことですが、(新しい機材のバグなどでトラブルが起こること自体はある程度は仕方ないとは思うのですが)メーカーや代理店の対応如何でユーザーからメーカーに対する信頼感は数日にして180度変わります。メーカー担当者に「他では大丈夫だった」「調べても原因が分からない」「前例が無い」とか言われても説得力はありません。まさに「トラブルは現場で起こってるんだ…」と言いたくなっちゃいます。他にもメーカーの製品担当なのに実はロクに機材を理解していなかったとか、実は海外の現場で半年前に同じバグが出ていたとか、輸入代理店で国内には詳しい人が誰も居ないとか、その機材では出来ないことを出来ると言って買わせたり…まあ色々ありました。
で、一度信頼できないとなったらそのメーカーの製品や代理店からは会社として二度と買わないことに上のほうの会議で決まっちゃったりします。この業界は狭いですから、同業者間でもあっという間にそういう話は広がってしまいます。 まあ、至極当然のことなんですけど、どれだけ機材が進歩しても最終的には「人」なんですよね。


というわけで、前置きがかなり長くなりましたが(笑)、以前から試してみようと思っていたデジタルミキサーの外部からの操作です。 周囲に聞いても、webで世界中探しても同じことを試している例を見つけられなかったので出来るのかどうか不安でしたが、意外と簡単に設定できました。

(ロータリーエンコーダーのほうは…ですね)

リモート操作されている卓はYAMAHAのDM1000V2。操作している機器はBEHRINGERのBCF2000です。もともとBCF2000はDAW用に購入したんですが、モーターフェーダーがちょっとやかましくて敬遠気味でした。今回はMIDIフェーダーとして使ってみました。

今回はAUXとBUSマスターを操作するよう設定しています。DM1000ではインプットチャネルは一般的な仕様でフェーダーは-∞から+10dBの範囲ですが、マスター関係は-∞から0dBなので、上げきりで0dBですから、フェーダー上に数値目盛の無いBCF2000でもまあ気になりません。

ただでさえ少ないフェーダーをアサイナブルレイヤー機能でBUSのマスターフェーダーに割り当てたりして削ることなく、マスターフェーダーを外部ではありますが常に表に出しておけます。こりゃ便利。
その他、DM1000側の設定を変えれば、他のパラメーターも外部コントローラーから直接操作できます。内部エフェクトのリターンレベルフェーダーを外部フェーダーに割り当てたり、サラウンド関係でも便利そうです。

それぞれの説明書を全く見ずにテキトーにやったので、まだ色々とは試していませんが、DM1000とBCF2000を相互に連携させた場合、DM1000のフェーダーとBCF2000のロータリーエンコーダーは若干相性が悪いようなので、DM1000からはパラメーターを返さないように設定しています。
MIDIの制御が128段階というのが気になりましたが、フェーダー操作して音を聞いてみるとほぼ問題ないと感じました。

ただ、DM1000側は RXのみ有効にしているので、電源投入時とシーンリコール後、一度BCF2000側からフェーダーの上げ下げをしておかないとBCF側を操作した瞬間にパラメーターがジャンプしてしまいます。しかし、気をつけるところはその程度です。
それと、DM1000側でリコールセーフの設定をしておけば使用中のシーン呼び出し後のリセットは不要かもしれません(未実証)。

さらに、(BCF2000側の機能や設定をほとんど知らないのですが)BCF2000のMIDI設定が変えられれば、複数のBCF2000でDM1000をコントロールできるはずです。試したいのでどなたか持っていらしたら貸してくださ~い。

BCF2000とBCR2000(ロータリーエンコーダー32個)を何台もつなげたら、ラージコンソール並の操作性… までは無理でしょうけど、ミキサー単体よりも操作上のストレスは軽減できると思います。

それから、操作性も大事ですが、ディスプレイ出力が欲しいですね。最近は1920x1080の液晶が数万円ですから、そういった画面に大型卓みたいな見やすい表示が出せると良いなあ…。個人的には各チャネルのコンプのカーブ上にレベル表示のしるしが動くやつが是非ほしいです。(笑)
2009626-6
InterBEE 2006で見た「aurus」
他社も機能的にはほぼ変わりがありませんが、レベルメーターが(昔の)プラズマメーターに似てるので、個人的に良いなぁ…と(笑)。文字は小さいんですが、他社と比べると配色がとても見やすいと思いました。

やっぱりこれからは操作性と視認性も重要ですね。とりあえず国内メーカー各社さんには可搬型の機種が屋外だと(テント内でも)LEDと液晶画面が見えないという基本的なところから直していただいて…。
他社の映像スイッチャー開発での例のように部品メーカーも巻き込んで新規で部品から作らないと直せないんだとは思いますが、さんざん言われてるのに15年も放置ってのは…。これを直すだけでもけっこう売れませんかね? 暗幕かぶって卓の操作とか、リンホフかジナーかトヨビューかって笑えませんよ…。

ちなみに、屋外使用を意識したWENDTのポータブルミキサーのレベルメーターLEDは懐中電灯並みの明るさです(OFF/LOW/HIGHの切替可能)。LOWでもちょっと明るすぎで、屋内でHIGHにすると笑っちゃうような明るさですが、晴天の屋外では必須です。
コメント
コメント
コメントありがとうございます。
ご無沙汰しております。

> 会議レベルのオペでさえ、デジミキの不便さは変わりません。

現場の多くの人がそう感じているのに直らないのはなぜでしょうね。やっぱり、メーカー側にはユーザーの感覚は伝わらないんでしょうか…。

もっと競争原理がはたらけば進化のスピードは速まるんでしょうけど、現状、小型・中型、設備市場向けのデジタル音響機器は少数のメーカーの製品しか無いですもんね。

アナログの音響機材ではBEHRINGERなどの低価格メーカーが激安なのに機能的にも品質的にもかなり使える製品を出したために、大手メーカーでも低価格の商品群がかなり鍛えられた感がありますが、最近はデジタルでも似たようなことが起こりつつありますね。おそらく今後はそういった動きが加速していくと思います。

単なる「ダンピング」は市場を壊すだけですが、BEHRINGER社の社長がとあるインタビューでこう語っています。
「2000ドルぐらいのコンプレッサを分解して中身を見たんですが、部品の値段が全部で数百ドル程度だったんです。なのになぜこんなに値段が高いんだろうと疑問に思いました」
作る側からすれば、部品代以外にも開発・宣伝・流通・販売の経費、またそれら全てに人件費もかかりますから、部品代だけで製品を語られては大変だと思います。しかし、BEHRINGER社は全てにおいていかに無駄なコストを掛けないかと言う点に早くから取り組んでいたということがあります。

生産国によって品質が…と言っていた色々な製造メーカーも、不況の波を受けて生産拠点の移動・集約など、今になって同じような対応をするところが増えていますから、(品質的にはちょっと不安も出てきますが)
BEHRINGER社には先見の明があったということですね。(修理などのサービス体制がどうなっているかは知りませんけど…)

それと、あとは柔軟な考え方だと思います。かなり以前、BEHRINGER社のアナログミキサーを買った時、仕様にちょっと不満があったので、BEHRINGER社(本国)に「他社には無いこんな製品が欲しい」というメールを送った事があったんですが、しばらくしたら返事が来て、詳しく質問された事があります。
それは仕事としてではありませんでしたが、用途や仕様、必ず盛り込むべきだと思う点など、何回かやり取りがありました。
当然、他にも似たような意見が多かったからだと思いますが、その1年後に出てきたのがMXB1002という機種でした。
「こんなのが欲しい」と伝えたまったくそのままではありませんでしたが、やり取りした内容にかなり近いものだったので驚いた記憶があります。

MXB1002は型番を変え、現在はUBB1002として販売されていますが、同社のラインナップの中でも異彩を放っていますね。
ポータブルミキサーを作っている他社が同じ仕様で出したら少なくても10倍以上の価格になっていたと思います。

まあ、たまたまの話ではありますが、それ以来、「メーカーとかサービス業ってのはこうあるべきだな~」と思っています。


> 個人的にはこのアナログVSデジタルの違和感は一生消えることがないものだと思っています。

操作しづらい点が改善されるのが先か、デジタルしか知らない世代が台頭するのが先か、微妙なところですね。
デジタルは便利ですが、アナログの操作性の良いところも知っている世代にとって、現状の小・中規模のデジタル卓は絶対的に使いづらいと思います。

「ツマミが少ないほうが操作が簡単そうに見えるから売れるんです」とか、人をバカにしたような話もされたことがあります(笑)。それで本当に簡単になってるなら良いんですけど…ね。

デジタルへの更新需要や価格の関係など、選択肢が少ないので買う側はある程度仕方なく…。それに対して各メーカーは「こういうのが売れるんだー」となっている節があるような気がします。
やっぱり、改善されるまで文句言うしかないんじゃないかと思います(笑)

2009/06/27(土) 04:08:59 | URL | 管理人 #SFo5/nok [ 編集 ]
デジミキは…
こんばんは、linear_pcm0153です。
私は、どちらかというと(どうでも良いオペしかしたことありませんが…)デジミキ世代です。が、卓の覚え始めはアナログでした。
おっしゃる通り、各チャンネルのエフェクトもマトリクスも目視できたので感覚的に操作が出来ましたが、デジタルミキサでは素早い対応は不可能ですね…。
どうでも良い会社の会議レベルのオペでさえ、デジミキの不便さは変わりません。
ただ、音響設備においては、誰も操作する人がいない場合を考えたらオートノッチ&オートフェーダで完結する非常に便利なものでもあります。
VCAコントロール部分を長距離引っ張れるのも利点です。

個人的にはこのアナログVSデジタルの違和感は一生消えることがないものだと思っています。「生まれてからデジタルミキサしか触ったことがない世代」が社会に出てきたときに、杞憂でしょうが一体どうなるのかちょっと心配ではあります…。

設備においての、デジタルミキサはこの辺が多いみたいです。
http://www.toa.co.jp/products/d-901.htm
http://www.ecat.sony.co.jp/business/prof_audio/products/index.cfm?PD=12850&KM=SRP-X700P
2009/06/26(金) 23:18:50 | URL | linear_pcm0153 #- [ 編集 ]
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