大阪の映像制作・制作技術会社 (株)写楽の社長 木内の気ままなブログです。                    (文章や写真を引用される場合はご連絡ください)
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サウンドフェスタ 2010 に行ってきました。(その1)
今年も大阪国際会議場(グランキューブ)で2日間開催され、各地からたくさんの方が来られていました。

サウンドフェスタやInterBEEではふだんなかなかお会いできない方とバッタリというのが多いですね(笑)。

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今年は2日間とも行けたので、初日に展示を見てまわり、二日目は主にセミナーを聞きに行ってきました。独断と偏見で気になったものを何回かでレポートします。(全て個人的な感想です)

さて、まず気になっていたのがタックシステムの残響除去プラグイン「NML RevCon-RR」。
会場でバッタリ会った先輩のエンジニアさんに担当の方を紹介していただいて、実際に音を聞かせていただくことができました。

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(C)TAC System

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(C)TAC System

残響除去の処理では、まず「目的の音」と「残響成分」を分離するんだそうです。
例えばゲートやエキスパンダーでスレッショルド以下を落としてしまうと、もともと小さい音や残響ではないテイルなどが潜って消えてしまいますが、この残響除去プラグインは元の音と残響成分を分離する事によって、残響成分のみを効果的にリダクションできるんだそうです。すごいですね。

音声が解析され、抑圧のアタックやリリースのカーブやレベルを手動調整して、条件や目的に合わせた処理ができるようになっているそうです。

メーカーのWebに上がっているサンプルでは強めにかけられているようで、少しロボットボイスのような感じになっていましたが、手動調整で状況や用途に応じてバランスの良いところを探ればかなり有効に使えそうだと感じました。

劇場公開用で小声のセリフオンリーのようなシーンでは設定が少し難しそうですが、背景にSEやBGMがある場合、また想定する視聴音量がそれほど大きくないテレビドラマなどでは少し強めに掛けても十分耐えられると思います。

もちろん、収録時のマイク選択や集音方法の工夫で可能な限り良い素材を収録するのが大前提ですが、ロケでは(部屋の残響やフラッターエコーなど)音響的な条件が良くない環境で収録しなくてはならない事も多いのが実際ですから、これまで対応策がなかった残響成分の除去ができるこのプラグインは非常に画期的です。

Steinbergの波形編集ソフト「WaveLab6」に搭載されているような高度なスペクトラムエディタとこの残響除去プラグイン、その他AdobeのAudition(NR、クリップ修復など)を活用すれば、現状では世界最高水準の補正環境が構築できると言っても過言ではないでしょう!


たた、実際に使ってみたエンジニアさんのお話では、現時点の「残響除去プラグイン」では、残響条件が変化する素材には正確には追従できないとの事。

ガンフォローやピンマイク、複数マイクがミックスされた素材で残響条件が刻々と変化する場合、(実際やってみないとうまくいくかどうか分かりませんが)細切れにして段階処理・個別処理すれば何とかできるかもしれませんね。


これは私の単なる思い付きですが、今後の機能として、残響条件が変化しない場合に関してはサンプリングリバーブのようにロケ場所で残響測定用の素材を録っておいて、それを元に残響除去できたら面白いんではないでしょうか。
簡易に手を叩くとか、または全方位SPとは言わず簡易にどこにでもありそうな小型スピーカーでパルス(パルス的なスイープ)を出して収録する程度なら、編集用のルームトーン(暗騒音)を録るついでにできますよね。

まあ分離の理論を全く知らない私の妄想はさておき、元々の音と残響成分を分離できる機能を応用して、残響成分のみを取り出すという処理も聞かせていただきました。

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音楽の2chのステレオソースから残響成分を分離してリアの2chに配置すると、(ステレオエンハンスなどで)位相をいじくってリアに配置してみたり、リバーブ(エフェクト)をリアに飛ばしたのようなものとは次元の違う自然さでした。

おかしなな位相だったり、それっぽい音がリアから聞こえるような「なんちゃってリア」とは違って、とても繋がりが良くて包み込まれるような音場ができていました。

残響除去も画期的ですが、この使い方もまた素晴らしいですね。
正直、この使い方は秘密にしておきたい(笑)



それから、ノイマンのTLM102。
こちらも初めて実際の音を聞かせていただきました。

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最近流行?のフラムが1枚でカーディオイドのみのラージダイヤフラムマイクです。国内では6万円強だそうで、定番のU87の1/5ほどの価格ですが、87にも引けをとらないです。

もちろん87と同じではありませんが、おいしい感じでミッドハイが立って、プレゼンスブーストも利いたノイマンらしい音でした。

ショックマウントがありませんが、内部のフラムがゴムマウントされているそうです。また、ローカットがありませんが、もともと87ほどのローは出ない感じ。
ただ、ローてんこ盛りの大音量な音源の場合、HAやミキサーのローカットだけで行けるかな~?
一般的に条件によってはマイク側でLCFを入れないと厳しい場合もありますから、ちょっと気になります。

しかし、2~3万円の中○製の低価格ラージダイヤフラムコンデンサー(うちでも何本か使っていますがw)ではやっぱり出せない音だなぁと感じました。
低価格のラージコンデンサーでは低湿度で保管していても数年でごく微妙にリップルが乗ってきたり、サラサラ言い出したり、フラム部分の経年劣化で音質が変化して同型機種でバラツキが出てくるものがけっこう多いん(かなり微妙なので気付きにくい?)ですが、TLM102はドイツで製造していて上位機種と同様にフラムのテンションを手作業でネジで固定しているので、経年劣化に関しても優れているんだそうです。

2~3万円のラージコンデンサーで「けっこうイケる」と妙に納得してみたり(泣)、何本か乗り換えて散財(泣)するよりは、TLM102を選択すべし。>私


U87のカーディオイドと比べると指向性が少し広め、声でテストした感じでは87より若干オフでも、また若干オフアクシスでもf特が変化しにくい感じでした。

楽器録りに関しては使ってみないと分かりませんが、ナレーション収録用としてはダイナミクス(87とはちょっと違う印象だった)を上手に処理すれば87の代わりに使っても何ら問題なさそうです。指向性が広めで微妙に距離が変わっても音が変わりにくいのはナレ録りでは便利でしょう。

ただ、風防のネットの関係なのか、個人的には87と比べると薄いベールがかかっているような印象を受けました。

それと、耳に毒なので(欲しくなるので)隣のTLM67は試聴しませんでした(泣)



続いてオーディオテクニカのリボンマイク。

残念ながら、私自身はスタジオレコーディング畑の人間ではなく歳も若いので、リボンマイクを使った経験は数えるほどしかありません。

Colesの4038はすばらしいマイクだと思いましたが、77DXやBK-5Bはどんなコンディションなのかよく分かりませんでした。昔の同録で聞くBK-5Bの音は好きです。

それとALTECの639Bを個人的に1本だけ所有していて全ポジションでちゃんと音も出ますが、正直なところリボンの状態がどうなのかはよく分かっていません。

その他、映像収録に行った時に、とあるホールのカゲアナをラインで聞いて「この音はなんだろう?」と小屋の音響さんに聞いたらアイワのリボンだった…くらいしか経験がないのですが、AT4080とAT4081を聞かせていただきました。

AT4080とAT4081
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(C)Audio-Technica

AT4080のローのふくよかさと丸さは他のダイナミックやコンデンサーにはない感じです。私の貧弱なリボンマイクの知識で説明しますと、AT4080はColesの4038にちょっとだけミッドハイの硬さを足したような感じかと…。

それと、(ファンタム給電で動く「プリアンプ?」が入っている)リボンなので仕方ないですがラージのコンデンサーほどのS/Nはありません。4080で70dBくらいです。ハイ落ちもリボンらしい感じ。
ミッドハイの微妙なピーク感は、声(風邪のガラガラ声)で試した感じでは(BK-5Bのようなミッドの張りは強くなく、BK-5Bより若干ハイが)少し硬めという印象でした。色んな楽器に使ってどう聞こえるのかは使ってみないとわからないですが、男性Voに使ってみたいところです。

ただ、「リボンマイクはソフト」というイメージを良くも悪くもひっくり返されたR○YERのリボンほどの強烈な印象はありませんでした。R○YERはちゃんと使いこなせる人には素晴らしいマイクなんだと思います。

AT4081は200Hz以下がけっこう落ちている感じで、ごく簡単に表現すると、C-38BをV2ポジションにして5kより上をシェルピングで緩やかに落としたような感じ? 音質的に似ているマイクを無理に挙げればMD441かなぁ。

うーん、ちゃんと表現しきれないです。音の傾向を正確に説明するのって難しいですね。それと、f特だけでマイクを語っても仕方ないですから、実際に試さないといけませんね。
(デモで借りると欲しくなっちゃうんで、デモ依頼はほとんどしませんw)

本物のリボン経験が皆無に等しいので、すぐには最適な用途が思い浮かびませんが、AT4080は良い感じです。ステージ現場に持ち出せるColesの4038ライクなマイクが欲しかった方にはとても良いんではないかと思います。

昔、某局のラジオスタジオで常設していたM88RP(FOSTEX)(プリンテッドリボンという名のダイナミック)を(朗読録り用などのバリエーションとして)いつか欲しいと思ってたんですが、M88RP→AT4080に変わりました。個人的にM88RPは時々ディップがあるように聞こえるんですよね。

M88RPと似ている(さすがプリンテッドリボン!)ではなくて、ローもミッドハイの張りも、それと実使用でのS/Nも4080のほうが明らかに良いです。4080も4081も、開発者がリファレンスにしたマイクが何だったのかとても興味があります。

指向性はAT4080、AT4081とも綺麗な8の字型の指向性でオフアクシスはローもバッサリ聞こえないです。これほどローからハイまでオフアクシスが綺麗に落ちるマイクは少ないと思います。

個人的には双指向じゃなくてカーディオイドだと使いやすいんだけどなぁ。
(私には本物のリボンマイクをレビューできる見識がありません…orz)

これまで、個性を主張しないマイクが多かったテクニカですが、今回のリボンマイクのような面白いマイクをどんどん出してほしいですね。
次は灰色でおなじみ弦向きのロングチューブのマイクとか…。最近ゼンハイもロングチューブ出してますし。


うちの会社ではグーズネックやらバウンダリーやら何だかんだでオーディオテクニカのマイクが約40本あります。製品群としては地味ですが、ここ数年のAEシリーズなどは特にS/Nが良くなっていて、数万円のスティックタイプのコンデンサーマイクが海外製の定番スタジオコンデンサーマイクを凌駕しているような仕様だったりしています。
実際の音も使い勝手もなかなか素晴らしいですよ。

同じフラムのAE3000とAE5100(ともにフラムはφ24.3mm)では、比較してみたところAE3000のほうが良いと感じましたが、うちの会社(映像制作がメイン)ではウレタンやソフタイ、カゴなど風防関係の自由度が高いAE5100を気に入って使っています。

海外の映画録音エンジニアがダイアログ収録で条件に合わせてカーディオイドのCMC(Schoeps)を使ったりするように、うちの会社でも条件によってMKH-816をAE5100に換えて録ることがけっこうあります。個人的にCMCだと実際の音源には無いガサガサ、ツヤツヤがたまに気になるんでAE5100なんです。CMCは高いですしw
真似したわけではなくて海外の事情を知らないうちから色々試したらそうなったんですよ~。


Eラーニング用の音声収録でAE5100を使用した例
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こういった条件の場合、ラージダイヤフラムの大型マイクでは視界の邪魔になってしまう事がありますが、AE5100だと質を落とさず小型化できる感じです。スタンドはTOA製です。

このときは音声のみ収録。とある映像スタジオだったので若干残響はマシでした。AE5100(距離20cm)で行きました。周囲の残響が大きければBeta57Aにしたかも。

最終的に16bitの32kHzや22kHzサンプリングなどにする場合でも、マイクが良いほうが上がりは良いです。もちろん、質の良いHAとセットで使いましょう。

個人的な感想ですが、AT4060や4040、AE5100やAE3000の印象として、テクニカのラージは他社と比較すると全般的にオフマイクになった時の音量の減衰が大きいと思います。

これを欠点ととるか特徴と考えて利用するかによって評価が分かれると思いますが、マルチマイク時のカブリを整理しやすい点は便利だと思っています。

また、条件によりますが、音質が良くてもかなりデッドな環境でないと残響を拾いやすかったり無駄にザワザワしてしまうことがある他社の定番ガンマイクと使い分けるのも良いですね。


テクニカは色付けの少ないマイクが多いのでつまらないと言う方もいますが、フラットなマイクはどんな用途でも変なクセが耳についたりしにくいので良いと思います。
強烈な個性が無い方が便利と感じるか、つまらないと思うかはマイクに何を求めるかで違いますが、個人的にはクセが少ないマイクは音作りがしやすくて使いやすいと思っています。

無論、ローカットとリミッタしかないようなロケミキサーでは音作りなんてできませんから、ちゃんとした音声卓とアウトボードを現場で使うか、MAやTD(MIX)での処理が必須です!

まあしかし、ブリブリなボーカルとかブライトなピアノ、弦や木管・金管の雰囲気を変えたい場合や吊りは他社マイクで行きましょう。私もテクニカのマイクだけで全て成立するとは思ってないです。
マイクの選択はエフェクター的な部分も大きいですからね。

ブリブリなマイクも大好きですよ。ゲッフェルで録る木管の陰鬱さも「イィー」ので酢。



おまけ。(サウンドフェスタで映像機材なのでおまけ扱いですw)

今回の展示会が初公開というローランドのマルチビューワー「MVS-12」。

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SD(VBS)を最大12系統入力して、HD(最大1920x1080 59.94i)(RGB/HDMI)出力できる画面分割コンバーターです。

最近の小型HDスイッチャーではモニターへのマルチ画面出力ができる機種が増えてきていますが、まさにその部分が単体になった感じです。
※この機種はSD(VBS)入力のみです。

MTXアウト(VBS)も4つ。MTX選択中の4ソースをQUAD出力(VBS)できる機能も搭載されていました。

従来、数多くのSDソースをHD出力で多数分割できるコンバーターは数百万円していました。また、少し前までHD出力の4分割コンバーターでも50万円ほどでした。

うちの会社でもバラシ運用で現場に持ち出す映像モニターを減らしたい場合など、画質やアイリスを調整するビデオエンジニア以外のスイッチャー用のソースモニター用としてSDの4分割コンバーターを何台か使ってLCDの20インチ(複数)で見ることがあるんですが、コンバーター出力がSDなので解像度が落ちるのが気になっていました。
(まあ、ソースモニターに6インチCRTとかHRでない9インチCRTを使うと考えればそれほど大きな差はないですが)

SDソースの解像度をしっかり見たい場合、HDでも4画面程度が限界ではありますが、12ソースまで一度に対応できるというのは非常に便利ですね。配置のほか、ソース名の表示変更も可能。

まだ価格が決まっていないとの事でしたが、たぶん20万円以下?ということでした。
ここ4年ほど、ローランドの映像機器に関する目の付け所と価格設定には目をみはるものがありますね。




さて、次回は注目しているSteinberg製品(先日発表されたNUENDO5と近くVer.7が出るというWaveLab6)などのレポートの予定で~す。

これ、私の「備忘録」と「欲しいものリスト」になってますね。


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ふるーいVTR(統一Ⅰ型VTR) 復活への道 (その6)
ごぶさたしております。
ありがたい事にお仕事が忙しくてブログの更新が出来ませんでした。

たまにはお仕事をちょっと休憩して、今日は久しぶりに統一Ⅰ型のネタです。

何の事か分からない方のために説明しますと、ふるーいVTRを復活させてみようというネタです。(説明になってない…)
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音声のオープンリールレコーダーではありません。
オープンリールのビデオです。

長いこと続きを書いていませんでしたが、統一Ⅰ型のことを飽きたり忘れたり、諦めたりしていたわけではなくて、ちょいと壁にぶち当たって思案していたんです。忙しいのにかまけて放置してたとも言う?


さて、簡単におさらいしますと、家庭用として市販されたビデオのフォーマットには、Uマチック(1970)やベータ(1975)、VHS(1976)などの前にオープンリールタイプのVTRがありました。
(私自身32歳なのでリアルタイムの経験ではなく、書籍や資料、OBや先輩の話を元にまとめています)

家庭用オープンリールビデオの多くはVHSやベータなどと同じ1/2インチ幅のビデオテープを使う規格で、最初は片フィールド記録のVTRに始まり、次第にカラー化も進みましたが、当初はメーカー間で規格が統一されておらず、特にカラー規格に関しては互換性が低かった時期がありました。
そんな中、1969年に家庭用の統一規格として登場したのが、この「EIAJ-1、統一Ⅰ型」です。

企業や学校ではそれなりに使われたようですが、扱いが楽なカセット式のUマチックに取って代わられ、本体やテープの価格が高かったので一般家庭にもほとんど普及しなかったようです。統一Ⅰ型は、私が知っている範囲では旧ソ○エトの宇宙飛行士訓練センターで1989年頃に使われていたというのが最新の情報です。

40年も前のVTR。今では再生装置を探すのもかなり難しい状況です。

「いつでもいいから、もし再生できたらダビングしてね」と知人からテープを預けられていて、箱に書かれたタイトルを見るとどうしても再生してみたい…。

そこで色々な問題にぶち当たりつつも、長い間倉庫に眠っていたVTRをなんとか復活させようというのがこのシリーズネタです。はい、仕事ではなくて趣味です。

(以前の再生テスト)


さて、なんとなく今まで「みんな知ってるだろう」と思って省略していましたが、最近「アナログのベーカムで撮ったことがない」というカメラマンやVEがちょいちょい増えてきてショックを受けたので(笑)、それよりはるか以前のビデオの初期の歴史を簡単におさらいしときましょう。

世界で初めて放送局用のVTRが発売されたのが1956年(米Ampex製 VR-1000)。2インチ(≒5cm)幅の太いテープ使うオープンリールタイプで、当初は東部と西部で時差のあるアメリカで番組を時差送出するために導入されましたが、程なくして放送前の収録用や記録用としても多用されるようになっていきました。

※動く映像の電子記録装置としては、英BBCが1952年に開発したVERA「ヴィェラ」(Vision Electronic Recording Apparatus)が世界初といわれています。テープ速度は5.08m/sec。1リールで15分録れたそうです。

VR-1000は比較的よく知られているので、ちょっとマニアックなVERA

技術解説も面白いですね

音声信号の200倍もの帯域が必要で、固定ヘッドなのでものすごいテープスピードです。これだけ早いと慣性で安定しそうな気がしますが、安定性と正確さが重要との事。


オマケ。世界初のカラーハンディカメラ(バックパック付き)
1969年のメキシコ五輪で活躍した機種だそうです。

プランビコンの2管式だそうです。現在、スタンダードカメラ(箱カメ)とハンディカメラの違いはレンズ性能だけですが、30年くらい前まではハンディ用カメラに切り替わると明らかに画質が落ちたそうです。


Ampex製の2インチVTRは国内では1958年頃から導入が始まり、当時の価格はVTR一式が2,000万円、60分テープが1本で10万円(当時、軽自動車が買える金額)だったそうです。

すこし新しいVR-1200(Ampex)


国内では、テレビ放送開始から1970年頃までの生放送、またはVTRで制作された番組は、(1958年以降の)2インチVTRのほか、高輝度ブラウン管をフィルムの(動画)カメラで直接撮影して記録するキネコ(キネスコープ・レコーダー)で記録されたものが残されています。

しかし当時はビデオテープが非常に高価だったため、放送済みのテープの多くは使い回しされていました。またキネコも1970年代初期まで使われていたようですが、映像の再使用など何か目的が無ければ録らないのが一般的だったそうで、残念ながら70年代前半頃までの生番組やVTRで制作された番組の多くは現存していません。

1970年代後半でも全てが残されているわけではなく、私が知っている範囲では、ある放送局では「全ての番組を残すようになったのが198X年」とか、他局では「基本的に生番組は(番組内で使ったV素材以外は)法定同録の期間を過ぎたら何も残らない」という話も聞いたことがあります。(放送局によって違いがあります)
個人的には自分が生まれる前の「8時だよ全員集合」がしっかり残っているのが嬉しいです。

しかし、放送局としては公式に残していない映像も、スタッフや出演者が私費を投じてビデオで同録(エアチェック)して残していたり、視聴者が録画して残っている場合がけっこうあります。年末恒例の某歌合戦(1960年代後期~70年代前半)で、家庭用オープンリールVTRで録画された映像しか現存していない部分や年があるのは有名な話ですね。

そんなわけで、統一Ⅰ型VTRで残された映像は貴重なものがけっこう多いんです。


過去5回、デッキの掃除、電源、ちょっとした回路の修理、テープ鳴きでの湿気取りなどを取り上げましたが、ずいぶん長いこと更新できずにいました。
(続きをご覧になりたいと仰っていただいた方々、すいませんでした)

今回も完結しませんが、微妙にちょっとだけ(笑)進展があったので状況報告です。

テープ鳴きの対策、ヘッドドラムへのテープの進入角度や位置などテープパス関連の調整(機種固有の資料がないのでトライ&エラー)をしてだいぶ改善できましたが、現段階ではこんな感じです。
音声はアナログベーカム並の音質ですが映像のノイズが消えません…。



よく見ると画面の右端に2インチVTR特有のヘッドの切り替えノイズが見えます。この番組は(外での取材撮影は16mmフィルムで)2インチVTRで収録(スタジオ完プロ)したものが放送されたようですね。(恐らく番組はカラー放送だったと思いますが、録画した統一Ⅰ型VTRが白黒タイプだったので白黒です)


そして、いろいろと確認していったところ新たな問題が浮上。これです。



ヘッドからの微細な信号を伝えるスリップリングが劣化(金メッキみたいなんだけど針が腐食)していて、回転軸もゆがんでいる様子。

これ、間違いなくノイズの原因になってるな…。

映像に出てくるBVU-800はU-maticテープの再生用としてキープ(自分でメンテ)しているものなので部品取りするわけにはいきません。

AV-5100のスリップリングの調整を試みましたが、うまくいかずノイズは消えません。これは、代替の部品を探すしかない…。(これで1年停滞)


その後、色々と調査したところ、某砧の技研さんでも統一Ⅰ型を復活させる際にスリップリングが劣化していたので代用部品を使ったとのこと。

やっぱりかぁ~と思いきや、あちらさんでは代用としてなんとHD D-5のVCRのスリップリングを用いたとの情報…。(いくらか知りませんけど)さすが財力が違いますね…。


費用をかけず腐食したスリップリングに代わるものを…

というわけで、カメラ部不調のBVW-400をタダ同然で入手。

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おお、Rがおかしい。

かつての放送番組取材の定番BVW-400も、今では正常に使えたとしても仕事で使う機会は「ゼロ」。
しかもこれは不調。となれば分解して色々やってみたくなるのが性。

以前、引退したBVP-70ISやBVU-950を勉強用(?)としてバラバラにした経験(もう一台の70ISは超高感度カメラに改造して遊んだら白煙モクモクw)、DXC-537Aをニコイチで生き返らせた生兵法を生かし、今回もバラバラ。

BVW-400
20100604-3.jpg

かつて定価750万円だったというカメラも古くなって故障していたのでは産廃同然。私にかかるとバラバラです(笑)

アンプゲインが安定しません。CCD出力のカットオフもおかしい。
今回はサービスマニュアルも延長基板も無いので故障箇所の特定は無理っぽい。
というわけで、何回も抜き差ししつつ遊び半分で調整を試みます。

20100604-5.jpg

遊び半分でいくつかコンデンサーを交換。WFMとVECTORを見つつ、ちゃんとした映像が出るところまで行きましたが、やっぱりきちんとは安定しない感じなので終了。

しかし、BVW-400(F8)の画質ってこの程度でしたっけ? SDでも感度F11やF13、S/N=65dBなんかのDSPカメラに慣れていると、どう調整しても旧々世代の画質だなぁと思いました。

脱線しましたが、なんでBVW-400か?
20100604-1.jpg

これです。スリップリング! ピカピカです。
20100604-2.jpg

ちなみにこのカメラの現役時代、ヘッド交換には100万円以上かかったそうです…

まあ、これを外して統一Ⅰ型に付けることが可能かはまだ未知数なんですが、「そういえばBVW-400もスリップリング付いてたな~」という記憶を元に、(タダ同然で)入手できるチャンスを待っていたのです。

とりあえず、使えそうな部品を入手できました。
なんと今回はこれだけですが、統一Ⅰ型の復活は長ーい目でご覧ください。

なぜここまでして古いビデオテープを再生したいのか?
それは、そこにテープがあるからです(笑)。

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以前の記事は「統一Ⅰ型」のタグでまとめて見られます。
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