大阪の映像制作・制作技術会社 (株)写楽の社長 木内の気ままなブログです。                    (文章や写真を引用される場合はご連絡ください)
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ふるーいVTR(統一Ⅰ型VTR) 復活への道 (その6)
ごぶさたしております。
ありがたい事にお仕事が忙しくてブログの更新が出来ませんでした。

たまにはお仕事をちょっと休憩して、今日は久しぶりに統一Ⅰ型のネタです。

何の事か分からない方のために説明しますと、ふるーいVTRを復活させてみようというネタです。(説明になってない…)
20090708-1
音声のオープンリールレコーダーではありません。
オープンリールのビデオです。

長いこと続きを書いていませんでしたが、統一Ⅰ型のことを飽きたり忘れたり、諦めたりしていたわけではなくて、ちょいと壁にぶち当たって思案していたんです。忙しいのにかまけて放置してたとも言う?


さて、簡単におさらいしますと、家庭用として市販されたビデオのフォーマットには、Uマチック(1970)やベータ(1975)、VHS(1976)などの前にオープンリールタイプのVTRがありました。
(私自身32歳なのでリアルタイムの経験ではなく、書籍や資料、OBや先輩の話を元にまとめています)

家庭用オープンリールビデオの多くはVHSやベータなどと同じ1/2インチ幅のビデオテープを使う規格で、最初は片フィールド記録のVTRに始まり、次第にカラー化も進みましたが、当初はメーカー間で規格が統一されておらず、特にカラー規格に関しては互換性が低かった時期がありました。
そんな中、1969年に家庭用の統一規格として登場したのが、この「EIAJ-1、統一Ⅰ型」です。

企業や学校ではそれなりに使われたようですが、扱いが楽なカセット式のUマチックに取って代わられ、本体やテープの価格が高かったので一般家庭にもほとんど普及しなかったようです。統一Ⅰ型は、私が知っている範囲では旧ソ○エトの宇宙飛行士訓練センターで1989年頃に使われていたというのが最新の情報です。

40年も前のVTR。今では再生装置を探すのもかなり難しい状況です。

「いつでもいいから、もし再生できたらダビングしてね」と知人からテープを預けられていて、箱に書かれたタイトルを見るとどうしても再生してみたい…。

そこで色々な問題にぶち当たりつつも、長い間倉庫に眠っていたVTRをなんとか復活させようというのがこのシリーズネタです。はい、仕事ではなくて趣味です。

(以前の再生テスト)


さて、なんとなく今まで「みんな知ってるだろう」と思って省略していましたが、最近「アナログのベーカムで撮ったことがない」というカメラマンやVEがちょいちょい増えてきてショックを受けたので(笑)、それよりはるか以前のビデオの初期の歴史を簡単におさらいしときましょう。

世界で初めて放送局用のVTRが発売されたのが1956年(米Ampex製 VR-1000)。2インチ(≒5cm)幅の太いテープ使うオープンリールタイプで、当初は東部と西部で時差のあるアメリカで番組を時差送出するために導入されましたが、程なくして放送前の収録用や記録用としても多用されるようになっていきました。

※動く映像の電子記録装置としては、英BBCが1952年に開発したVERA「ヴィェラ」(Vision Electronic Recording Apparatus)が世界初といわれています。テープ速度は5.08m/sec。1リールで15分録れたそうです。

VR-1000は比較的よく知られているので、ちょっとマニアックなVERA

技術解説も面白いですね

音声信号の200倍もの帯域が必要で、固定ヘッドなのでものすごいテープスピードです。これだけ早いと慣性で安定しそうな気がしますが、安定性と正確さが重要との事。


オマケ。世界初のカラーハンディカメラ(バックパック付き)
1969年のメキシコ五輪で活躍した機種だそうです。

プランビコンの2管式だそうです。現在、スタンダードカメラ(箱カメ)とハンディカメラの違いはレンズ性能だけですが、30年くらい前まではハンディ用カメラに切り替わると明らかに画質が落ちたそうです。


Ampex製の2インチVTRは国内では1958年頃から導入が始まり、当時の価格はVTR一式が2,000万円、60分テープが1本で10万円(当時、軽自動車が買える金額)だったそうです。

すこし新しいVR-1200(Ampex)


国内では、テレビ放送開始から1970年頃までの生放送、またはVTRで制作された番組は、(1958年以降の)2インチVTRのほか、高輝度ブラウン管をフィルムの(動画)カメラで直接撮影して記録するキネコ(キネスコープ・レコーダー)で記録されたものが残されています。

しかし当時はビデオテープが非常に高価だったため、放送済みのテープの多くは使い回しされていました。またキネコも1970年代初期まで使われていたようですが、映像の再使用など何か目的が無ければ録らないのが一般的だったそうで、残念ながら70年代前半頃までの生番組やVTRで制作された番組の多くは現存していません。

1970年代後半でも全てが残されているわけではなく、私が知っている範囲では、ある放送局では「全ての番組を残すようになったのが198X年」とか、他局では「基本的に生番組は(番組内で使ったV素材以外は)法定同録の期間を過ぎたら何も残らない」という話も聞いたことがあります。(放送局によって違いがあります)
個人的には自分が生まれる前の「8時だよ全員集合」がしっかり残っているのが嬉しいです。

しかし、放送局としては公式に残していない映像も、スタッフや出演者が私費を投じてビデオで同録(エアチェック)して残していたり、視聴者が録画して残っている場合がけっこうあります。年末恒例の某歌合戦(1960年代後期~70年代前半)で、家庭用オープンリールVTRで録画された映像しか現存していない部分や年があるのは有名な話ですね。

そんなわけで、統一Ⅰ型VTRで残された映像は貴重なものがけっこう多いんです。


過去5回、デッキの掃除、電源、ちょっとした回路の修理、テープ鳴きでの湿気取りなどを取り上げましたが、ずいぶん長いこと更新できずにいました。
(続きをご覧になりたいと仰っていただいた方々、すいませんでした)

今回も完結しませんが、微妙にちょっとだけ(笑)進展があったので状況報告です。

テープ鳴きの対策、ヘッドドラムへのテープの進入角度や位置などテープパス関連の調整(機種固有の資料がないのでトライ&エラー)をしてだいぶ改善できましたが、現段階ではこんな感じです。
音声はアナログベーカム並の音質ですが映像のノイズが消えません…。



よく見ると画面の右端に2インチVTR特有のヘッドの切り替えノイズが見えます。この番組は(外での取材撮影は16mmフィルムで)2インチVTRで収録(スタジオ完プロ)したものが放送されたようですね。(恐らく番組はカラー放送だったと思いますが、録画した統一Ⅰ型VTRが白黒タイプだったので白黒です)


そして、いろいろと確認していったところ新たな問題が浮上。これです。



ヘッドからの微細な信号を伝えるスリップリングが劣化(金メッキみたいなんだけど針が腐食)していて、回転軸もゆがんでいる様子。

これ、間違いなくノイズの原因になってるな…。

映像に出てくるBVU-800はU-maticテープの再生用としてキープ(自分でメンテ)しているものなので部品取りするわけにはいきません。

AV-5100のスリップリングの調整を試みましたが、うまくいかずノイズは消えません。これは、代替の部品を探すしかない…。(これで1年停滞)


その後、色々と調査したところ、某砧の技研さんでも統一Ⅰ型を復活させる際にスリップリングが劣化していたので代用部品を使ったとのこと。

やっぱりかぁ~と思いきや、あちらさんでは代用としてなんとHD D-5のVCRのスリップリングを用いたとの情報…。(いくらか知りませんけど)さすが財力が違いますね…。


費用をかけず腐食したスリップリングに代わるものを…

というわけで、カメラ部不調のBVW-400をタダ同然で入手。

20100604-9_broken400.jpg

おお、Rがおかしい。

かつての放送番組取材の定番BVW-400も、今では正常に使えたとしても仕事で使う機会は「ゼロ」。
しかもこれは不調。となれば分解して色々やってみたくなるのが性。

以前、引退したBVP-70ISやBVU-950を勉強用(?)としてバラバラにした経験(もう一台の70ISは超高感度カメラに改造して遊んだら白煙モクモクw)、DXC-537Aをニコイチで生き返らせた生兵法を生かし、今回もバラバラ。

BVW-400
20100604-3.jpg

かつて定価750万円だったというカメラも古くなって故障していたのでは産廃同然。私にかかるとバラバラです(笑)

アンプゲインが安定しません。CCD出力のカットオフもおかしい。
今回はサービスマニュアルも延長基板も無いので故障箇所の特定は無理っぽい。
というわけで、何回も抜き差ししつつ遊び半分で調整を試みます。

20100604-5.jpg

遊び半分でいくつかコンデンサーを交換。WFMとVECTORを見つつ、ちゃんとした映像が出るところまで行きましたが、やっぱりきちんとは安定しない感じなので終了。

しかし、BVW-400(F8)の画質ってこの程度でしたっけ? SDでも感度F11やF13、S/N=65dBなんかのDSPカメラに慣れていると、どう調整しても旧々世代の画質だなぁと思いました。

脱線しましたが、なんでBVW-400か?
20100604-1.jpg

これです。スリップリング! ピカピカです。
20100604-2.jpg

ちなみにこのカメラの現役時代、ヘッド交換には100万円以上かかったそうです…

まあ、これを外して統一Ⅰ型に付けることが可能かはまだ未知数なんですが、「そういえばBVW-400もスリップリング付いてたな~」という記憶を元に、(タダ同然で)入手できるチャンスを待っていたのです。

とりあえず、使えそうな部品を入手できました。
なんと今回はこれだけですが、統一Ⅰ型の復活は長ーい目でご覧ください。

なぜここまでして古いビデオテープを再生したいのか?
それは、そこにテープがあるからです(笑)。

映像制作/音響制作/制作技術
株式会社 写楽 www.sha-raku.co.jp

以前の記事は「統一Ⅰ型」のタグでまとめて見られます。
スポンサーサイト
ふるーいVTR(統一Ⅰ型VTR) 復活への道 (その5)
1回休みと言いつつ2回休んでしまいましたが、
EIAJ統一1型VTR AV-5100の復活作戦(その5)です。

さて、分解清掃して接触不良箇所を直したAV-5100ですが、50Hz地域専用のVTRだったということで、大阪の60Hz電源ではモーターの回転数が上がってしまい正常に再生できませんでした。

ということで、DC12V電源からAC100Vに変換するインバーター(たまたま持っていた矩形波出力タイプ)でAC100V 50Hzに設定して試してみたんですが、矩形波のAC電源では映像や音声にノイズが出てダメなようでした。

そこで用意したのが、こちら。
20090801-1
先日使った矩形波インバーターと同じメーカーの、今度は正弦波インバーター(メルテックSXCD-300、写真右)です。AC出力をテスターで計ったところ、AC99.6V、50Hz設定では49.97Hzと出ました。(ほとんど測定誤差ですね)

このインバーターは連続出力が300Wで、瞬間最大は500W。温度が上がると背面の空冷ファン(ちょっとうるさい)が作動します。

試しに安定化電源(写真左)で調整をして入力電圧をDC11VからDC15Vまで変えてみてもAC側の出力電圧は常に一定でした。
メーカーの技術さんに仕様を確認してから購入したんですが、このインバーターはなかなか優秀です。(出力波形まではまだ確認してませんけど)

あまり消費電力の大きいものは使えませんが、車でAC100Vの機器が使えますから、レジャー用、非常用としてもおすすめです。

ちなみに、私が乗っているミニバンに付いているバッテリー充電用のジェネレーター(発電機)は、ディーラーさんに聞いてみたところ、アイドリング中の最低出力で12V 8Aだそうです。
インバーターの変換損失などを考慮してもリチウムイオン(Vマウント)のチャージャー(1chタイプ)は通常のアイドリングのみで使えるようですね。

余談ですが、ロケ用機材のバッテリーを全てリチウムイオン(Endura)に変えて以来、HDVなどの小型カメラ以外は12V環境で充電できるチャージャーが無かったんですが、インバーターの導入で商用電源が確保できない場合でも簡単に車でチャージできるようになったので、ふだんの仕事でも(非常用として)役立ちそうです。


さて、話は戻りますがAV-5100には交流モーターが入っています。 そのため定格消費電力は95Wと本体に書いてありますが、電源投入時(再生開始時)の突入電流が定格値よりかなり大きく、再生を開始する時にインバーターのブレーカが落ちてしまうことがありました。
突入電流も考えて最大500Wのインバーターにしたんですが、それでも足りなかったようですね。

とりあえず、やっと用意できたクリーンな50Hz電源で再生してみましょう。




はいっ。 ということでまた新たな課題です…。

古くなったビデオテープ(特にこの時代のテープ)では、ベースフィルムに磁性体を接着しているバインダーなどの吸湿によって摩擦係数が増大してしまい、テープ走行に支障をきたしてしまう事があるそうです。(某大手磁気テープメーカーの部長さん談)

様々な方面の資料を調べてみると、私がテスト再生しているテープでは帯電防止用のバックコートのカーボンの吸湿が特に問題になっているようでした。テープの粉落ち(磁性体剥離)だと思っていたものは、バックコートのカーボンが剥がれ落ちていたもののようです。

また、何本か試してみると、同年代の他社製テープでバックコートのカーボンが無い未記録テープではキューキュー鳴かないものがありました。
バックコートの付いている高級タイプのほうが後に問題になるなんて…。 (1980年代に一部メーカーの音声用6ミリオープンリールの業務用テープであったバックコートのネバネバ事件とは状態が違いますが、状況的には近いものがありますね…)

摩擦係数の増大でテープ走行が不安定になったりドラムに張り付いたり…。またテープによってはバックコートが剥がれ落ちて数秒足らずでヘッドが詰まって砂嵐になってしまいます。

統一Ⅰ型は上下ドラムの間にあるヘッドディスクが回転するタイプで、ドラム全体が回転するVHSやBetamaxなど後世の方式より張り付きが起こりにくいとされているにも関わらずこれです。
(テープ自体が進化しているとはいえ、よりローディング機構が複雑にもなっている後世のVCRは今後大丈夫なんでしょうか…)


しかし、やるからにはとことんやりましょう。

実はこういった状態のテープを復活させる方法があります。俗に「焼き入れ」といわれる作業で、一定温度でテープを乾燥させ、一時的ではありますがテープの状態を改善することができます。
(ちなみに音声用6ミリのオープンリールでも鳴きが改善できるそうです。ただし、バックコートがネバネバの某テープやフィルムのビネガーシンドロームには効果ありません)

てなわけで、某大手磁気テープメーカーの部長さん直伝の「焼き入れ」(笑)
20090801-2

そうです。ふとん乾燥機です。(笑)

ダンボールの取っ手穴から温風を入れて、もう片方から排気です。(用途外の使用方法ですので自己責任でお願いします)

真空乾燥機でテストした例もあるそうですが、弱ったバインダーには少々の熱も加えたほうが良いのだとか…。「焼き入れ」たる所以でしょうか。

1時間後… ほとんど変わらず
2時間後… キューキュー鳴くのが減りました
3時間後… おお。鳴かなくなりました。粉落ちも激減!

笑ってしまうような方法ですが、某大手メーカーでも同じ方法でやっているそうです。カセットに入ったテープでも有効だとか。

しかし、磁気テープの「焼き入れ」作業に関しては、有料でやってくれる会社があるらしいという話は聞いたことがありますが、どこを探しても具体的な方法を説明しているところは無いみたいですね…。


(教えて下さった方には了解をいただいていますが)

こんなノウハウを惜しげもなく公開してしまって良いのか~(笑)
ふとん乾燥機って…。

続きはまた。
ふるーいVTR(統一Ⅰ型VTR) 復活への道 (その4)
さて、シリーズ化してしまった古いVTRのネタです。

前回、50Hz専用の統一1型オープンリールVTRを60Hz(商用電源)と50Hz(矩形波インバーター)でテストした様子をアップしましたが、ブログを見てくださっている方から「いきなりテストして動いたんですか?」とご質問をいただきました。

えー、実は前回のブログではかなり飛ばしていた部分があります。ちょっと順序が逆になりますが、省略していた部分をご紹介しようと思います。

ぶっちゃけますと、私の場合、(周囲の)同業さんと比べると、新旧、映像・音声問わず機材に関して多少マニアックな部分が多いので(笑)、あんまりややこしい方向に行き過ぎないようにと省略していたんですが、このブログは私の想像以上に様々な方面の方にご覧いただいているようなので、一応、技術屋(私は使ってお仕事するほうがメインですけど)のブログとしては後学のためにも変に簡単に見せようとしたりせずにちゃんと書く事にしま~す。反省…。(笑)

VTRの機構などに関しては「小型VTR 統一型のしくみと録画の実際」(1972)と「新テレビジョン技術教科書」(1964)。それから同年代の国内外の放送機器メーカーの他の規格のVTRのカタログや仕様書 (何でそんなものが色々とあるかは機会があれば…)、その他、海外の筋金入りのマニアさんのWebサイトなどを参考にしています。 (私自身は1977年生まれですよ。)
20090710-4
機種は違うものの、当時のVTRの例を見ることが出来たのでかなり参考になりました。
20090710-5


まず、2月に書いた分解清掃ですが、本体上面のテープ走行機構に続き、お掃除の続きがありまして…

ひっくり返してカバーオープン~。
本体カバーは木製でした。時代を感じますね~。
20090710-3

ヘッドディスクモーターとキャプスタン用(兼その他のテープ走行系用)のモーターが2つ(2つともシンクロナスモーター)。それから電源トランス(50Hz用)と基板が大きく分けて(映像変調・復調、サーボ・トラッキング?、、音声、不明など)5枚ほどありました。掃除機にブラシをつけて、部品を曲げたりしないように気をつけながらお掃除していきます。それにしてもすごいホコリ…。
木の葉も2枚出てきました。(・・?)
20090710-1

ヘッド回転用モーター(右)とヘッドディスクの軸です。ベルト駆動ですがベルトは伸びたりしていません。試しに触れてもかなり良いテンション。水拭きしたら新品と区別が付かない感じです。
20090710-2
ヘッドディスクの軸に付いているのはブレーキサーボ用の電磁ブレーキでしょうか?

さらに、計100個ほど使われているコンデンサーは一つも膨らんだり液漏れしたりしているものがありませんでした。
これを見ると他のオーディオ機器や映像機器のベルト切れとかコンデンサーの容量抜けはいったい何なんだと思ってしまいますね…。


一つ訂正があります。これまで海外の数ヶ所のWeb情報を鵜呑みにして、「まあそのあたりかぁ…」ということで何度も「1971年製のAV-5100」と説明しておりましたが、基板を見てみると…
20090710-6
昭和44年。1969年に作られています…。 確かに、統一Ⅰ型の発表は1969年です。すいませんでした~。
とういわけで、37年前ではなくて、まさに40年前のVTRです。


さて、このVTR、使わなくなってからかなりの年月が経っています。
実際にテープを再生してみる前に、電源が入るか、また映像出力などが出るか(基板が生きているか)テストをしてみます。

とりあえず60Hz電源ですが、電源は入りました。
余談ですが、使わなくなっておよそ4年ぶりに通電してみたBVP-70ISのように白煙は出てきませんでした。(笑)
次に、テープの有無を検知するスイッチを手で押さえて再生動作のテストをしてみました。
おお~。左右のリール(巻取り、バックテンション)、キャプスタンもヘッドも良い感じ~。

しかし、映像出力は砂嵐が不定期に途切れ途切れになります…。 砂嵐、真っ黒、砂嵐、真っ黒。
むむ~。テープを実際に再生してはいないので画像は出ず、無変調の砂嵐の状態を見ての判断なので微妙な感じでしたが、コンデンサー不良なんかでの挙動と言うよりは、どこか何か接触不良の感じ…。

VTRの外装をトントン、トントン、…バシィッ!!とひっぱたくと状況が変わります。やっぱり…。
と言うわけでハンダのクラック(接触不良)の捜索大会です…。

ヘッドからのケーブルをたどって、それらしき基板を~。
20090710-8
ケーブルが直接ハンダ付けされているので外せません…。

見ても分からなければ色々と突っついてみましょう。ツンツン。 (感電注意)

意外と早く、10分もかからずに判明。右下のボリュームの根元でした。
20090710-9
(後で判明したことですが、このVRはホワイトクリップ調整用のようです)

と言うわけで、モーターや機構、基板は生きている模様。次回はテープをかけてみましょう。




あ゛~、汚い機材の内部写真ばっかり見ていると精神衛生上よろしくありませんね。

というわけで、記事とは関係ありませんが、秋田県にかほ市、平沢漁港で
撮影した美しい夕日をどうぞ。('06/3 A7D 100mmMACRO F2.8)
20090710-10
きれいですね~。
ふるーいVTR(統一Ⅰ型VTR) 復活への道 (その3)
えーと。もう5ヶ月も放置していたネタの続編であります。

倉庫から引っ張り出して分解清掃したオープンリールVTR(ソニー、統一Ⅰ型 AV-5100)ですが、復活作戦のその後をお伝えします。

これから書いていきますが、まー色々ありまして…、「分解清掃」から「復活への道」というタイトルに変えてみました。(笑)

20090708-1

さて、1971年発売のこのVTR、元々は仙台の実家に置いてありました。そして、私が今住んでいるのは大阪…。

VTRの分解清掃をしている間に「これは…!?」と思っていたんですが、電源入力端子のほか、内部にも色々なところに「50c/s」の文字が…。このVTR、50Hz地区用なのです…。
20080708-2

ご存知の通り、商用電源(電力会社から供給される電源)の周波数は、静岡を境に(正確には糸魚川静岡構造線と言われています)、東が50Hz、西は60Hzです…。
このVTRは50Hz電源専用ですが、大阪のコンセントは60Hzなんです…。

昔は電子レンジや洗濯機も50Hzと60Hz地区用で別だったりしましたが、これは交流モーターを使用している機器で回転速度や出力などが変わってしまうからです。動作はしますが仕様通りに動作しないので、買い替えや部品交換などが必要でした。

同じ交流モーターを使うものとしては、扇風機やエアコンがありますが、50Hz/60Hz共用のものがほとんど。これは回転数が多少変わっても問題無い(60Hz地域のほうが性能アップ)ので両対応となっているんですね。

しかし、オーディオ機器なんかでは50/60Hz両対応でないものでは回転数が変わってしまうので使えません。このVTRも多分そうでしょう…。

まあとりあえず簡単に故障はしないでしょうから(笑)、動くかどうか60Hz電源でテストしてみましょう。


ふーむ。やっぱり60Hzじゃだめですよね。(当たり前)

と言うわけで、50Hz電源を用意するには…。

50Hz/60Hz/100Hz/120Hzと変換できる(旧)信濃電気のパワーコンディショナーは交流モーターの使用が禁止されているし…

キャンプ用のこれがありました!! (DC12V to AC100Vインバーター)
但し、矩形波出力…。
20090708-3

と言うわけで、早速。


やっぱり矩形波インバーターでは映像にはメダカノイズ、音声にもノイズが乗ってしまいます。
テープが古いので粉落ち(磁性体剥離)もすごいです。

まずは正弦波インバーターを用意するしかないですね。。

と言うわけでまた磁界。いやいや、次回。
ふるーいVTRの分解清掃(その2)
さて、倉庫から引っ張り出してきた1971年製のVTR「AV-5100」ですが、通電する前に内部を点検して清掃・注油をします。

VTR内部の駆動機構は部品が入り組んでいてお掃除はなかなか大変。と言っても現代のVCRのメカのような極小サイズのギアや部品が高密度に組み合わされている… という感じとはぜんぜん違って、まるでからくり人形の内部のよう。

ひとつのモーターの回転が、機構を介して色々な機能に使われているのが分かります。あーなって、こーなって、回転が…えーっと。。
20090216-1

製造から37年。内部はかなりよごれて、部品もかなり劣化しています。金属製のバネなどが錆付いていますが、なんとか機能している様子。ゴムローラーへの影響を考えて、薬品を使った錆取りはしない事にします。

はじめのうちはキムワイプ(毛羽立ちにくいペーパータオル)と綿棒で丁寧に作業していましたが、そこかしこでグリスが飛び散った汚れがしつこくて、拭き取りだけでは歯が立ちません。綿棒なんか1センチ拭っただけで真っ黒。
結局、無水エタノールとキッチンペーパーを一巻。割り箸の先にキッチンペーパーを巻いた巨大綿棒でガシガシ掃除しました。

固着したグリスはドライバーで剥がして掃除機で吸い取ってから新しく塗りなおします。もし付着しても周辺のゴムローラーを劣化させにくいシリコングリス(25gで2,000円!。たまたま高いのしか手元になかった…)を惜しげもなくぬりぬり…。

動力を伝達するローラーの周囲がゴム製で、微妙な摩擦力や滑りを利用しているものが多く、劣化が心配でしたが、ゴムローラーは思ったほど経年劣化していないようです。。ゴムベルトは伸びて空転していましたが、テープカウンターの動作用にしか使われていないようなので、再生には影響ないでしょう。

電源が入るかも分からないうちから分解してお掃除をしていますが、これは内部の点検を兼ねての事で、実はメモをしながら色々な確認をしています。

こういった特殊な機構で構成されている古い機種では、電源が入ってモーターが回っても、その瞬間に劣化部品が壊れて動作しなくなる事があります。

電源が入るかとっとと確認してみたいところですが、動作テストを安易に行なうと、溶けたゴムベルトが絡んだり、小さな部品が欠けて落ちたりしてきた時に「このベルトはどことどこをつないでたの?」「これ、どこの何の部品?」「もう、分からん(泣)」のパズル大会になってしまう可能性があるので、内部の状況を記録しておくわけです。


これなんだか分かりますか?

20090216-2

答えは映像を記録・再生するヘッド(ヘッドドラム)です。

左にちょこんと載っているのは現在も販売されているHDV規格のVCRのヘッド。こんなに大きさが違います。 技術の進歩ってすごぃ…… というか、小型化、高密度化はしていても基本的な記録方法(ヘリカルスキャン方式)が40年間変わってないって事に驚きました。


さて、長くなりますので続きはまた次回。
(これ、何回シリーズになるんでしょうね…)

統一Ⅰ型VTRのレポートなんて、WEB上では私の知る限り世界中探しても無かったんで、そういうのも楽しいかも。 しかし、うちは修理屋じゃないですから、ふだんはこんな事やってませんので間違っても修理依頼とかはしないでください。(笑)

ふるーいVTRの分解清掃(その1)
ふるーいVTRのメンテをしました。

テープがカセットに入っていないオープンリールタイプなので、VCR(ビデオカセットレコーダー)ではなくVTR(ビデオテープレコーダー)です。
20090215-1

仕事で使っているVCRのメンテなら、絶対自分で分解なんかせずにメーカーにお願いしますが、このVTRはあまりに古すぎるのでメーカーでは修理もオーバーホールも受け付けてはくれません。ですから全部自分でどげんかせんといかんのです…。(数年前、メーカーに聞いてみたら資料も残っていないですとの返答…)

今回、分解清掃を行なったのは1971年製の「統一Ⅰ型(とういついちがた)」「統一カラー方式」のソニー製「AV-5100」という1/2インチオープンリールテープを使うVTRです。
当時、家庭用として販売されていた機種なんですが、やたら重たいので計ってみたら27kg…。ほんとに家庭用?

1971年というと、私はまだ生まれてません…。ALTECの639Bを持ってたり、RCAのTKシリーズの資料を持ってたり、変に古い機材を微妙に知ってたりしますが、意外と若いんですよ。


このVTRは以前、ある方から個人的に譲っていただいたもので、数年前に通電チェックをして以来、ずっと倉庫に保管したままでした。

高校時代の恩師から「昔撮影したオープンリールのビデオなんだけど、どこに頼んでも再生できないとか無理と言われて、再生を試すだけで映像が出なくてもけっこうな費用がかかると言われてやめたんだ~」という話を聞いて、そういえばあったよなあ…というのがきっかけで倉庫からひっぱり出してきました。
お~、それってもしかすると、うちの会社で変換ダビングのお仕事になったりするんじゃなーい? といういやらしい皮算用もしつつ。(笑)

しかし、あまりにも古い機種。はたして動くかどうか…


さて、いきなり電源を入れてぶっ壊れたら大変ですから、最低限の点検と、お掃除と注油などなどをすることにしましょう。

メンテマニュアルも取扱説明書も何もありませんが、まあ、捨てるはずだったBVU-950をメンテマニュアルを見ながら3日がかりで修理したり、捨てるはずだった家庭用VHSビデオのヘッド交換を資料もなしで半日かかって意地で調整し切った経験はありますので、今回もなんとかなるんじゃないですかね~。(ほんとアホです)

とりあえず、ばらして中を見てみましょう。ドライバーと六角レンチで諸々はずしていきます。ワクワク。

ガバッ
20090215-2

おっ。 うわ~。

えらいもんを開けてしまったな…


さすが製造から37年…。金属が錆びたりゴムベルトが伸びたり、グリスは変色して固着してます…。
おまけにテープから落ちた粉(磁性粉)やら隙間から入ったホコリやらで、繊細な精密機器の内部としてはちょっとした地獄絵図…。
やはり37年という年月は半端じゃありません…。(笑)

(上の写真は、実は掃除した後の写真なんです。あまりの衝撃でホントに撮るのを忘れました…)


さて、このVTRは復活できるのでしょうか!!
ちょっと大変そうなんで、数回に分けてレポートします…。
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。