大阪の映像制作・制作技術会社 (株)写楽の社長 木内の気ままなブログです。                    (文章や写真を引用される場合はご連絡ください)
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小型軽量の8ch SDHC MTR/ZOOM R16を使ってみました
先日、対談の収録がありました。
今回はその時に使った音声機材についてです。

うちの会社が撮影・録音を担当する対談や座談会・インタビューは、素材を放送番組やプロモーション映像、Web配信で使用する場合が当然多いんですが、その他として専門誌の取材やメーカーのカタログ作成、市場調査などの資料用として記録したりする(映像や音声素材を直接は公開しない)場合があります。

また、会議や団体間の交渉などの記録、記者会見の音声分配を依頼される事もあります。

(バウンダリーマイクを7本設置した状況) ※以前の別の現場です
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バウンダリーマイクは目立たないので便利です。

映像制作分野も様々な方面からご依頼いただいていますが、対談や座談会、市場調査の撮影、インタビュー撮影などの分野は、国内外の製薬会社・医療機器メーカー、農薬関連、通信販売大手、Web制作会社、他の映像制作会社さんから主にご依頼いただいています。

変わったところでは、海外の調査会社が日本国内各地で調査する際に弊社が記録担当として同行したり、裁判員制度開始前の法曹関係者向けの研修で、別室での評議を大阪高等裁判所の大法廷に生中継(映像・音声)したことがあります。

対談や座談会などの収録や中継は、放送番組の収録や中継とそれほど変わりない(バラシ運用のEFP)ですが、中小規模の映像制作会社では体制としてマイク数本のENGロケ以上の音声にはすぐに対応できないところが多く、また、映像と音声が同時に必要とされるのでPA・SR・録音関係の会社さんだけでは対応できないというニッチな部分でもあります。

うちの会社では、通常の映像制作のほか、対談や座談会などの収録も行なっています。マイクはガンマイクやピンマイクのほか、卓上グーズネックマイク(AT857QMa/12本)や
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バウンダリーマイク(AT871R、T961R/7本)などなど、状況に応じて色々使い分けています。
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(バウンダリーマイクの設置例)
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特に資料用の記録や中継は予算的にも内容的にも厳しい場合が多いですから、大手の制作技術会社さんでは割に合わず、複数社で役割分担するのも難しい場合がよくあります。

機材やエンジニアとしても臨機応変な対応が求められるので、うちのような小回りのきく(小回りしかきかない!?)会社が向いているんだと思います。
それと、私はラジオ局にも居ましたから、生ミックスはお任せあれ(笑)


今回の対談収録は紙媒体用の資料で、ある分野で世界的に有名な方たちが新しい機器について話し合うというものでした。
卓上で機器を手に取って部分部分を示しながら、操作もしながら話が進んでいったので、単純にICレコーダーで録音しただけでは後から音だけ聞いても全く要領を得ない状況になっていたと思います。

専門用語が次々と飛び交いますが、一般のICレコーダーでは距離があったり話者の声が小さいと言葉が聞き取れなかったり、誰の発言なのか正しく判別できなくなってしまうこともよくあります。
あるクライアントさんから伺ったお話では、一般のICレコーダーでは話者の声が小さくて録音状態が良くないと、文字起こしのプロに依頼しても「聞き取れず」とか「話者不明」という箇所が多発して大変なんだそうです。

うちの場合、スタジオ収録の放送番組の音声品質を標準として考えているので、一般的なグループインタビュールームや裁判所の公式録音よりはるかに明瞭度が高くクリアな収録が可能です。
当然ではありますが、うちが収録した素材では「聞き取れず」とか「話者不明」といったことは今までありません(笑)

グループインタビューの専用施設は東京・大阪以外にはほとんどないので、市場調査の収録をしたいという地方の企業さんや調査会社さんからご依頼いただくこともよくあります。


さて今回はビデオカメラが1台、使用したマイクはワイヤレスピンマイクが2本とバウンダリーマイクが4本(うち2本はワイヤレスの予備用)でした。紙媒体なので同時に写真撮影も入りました。

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(ピンマイクECM-77B)
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(バウンダリーマイクAT961R、円卓だとこんなふうに置くことも)
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ふだんは参加者が数名以上の場合、予備回線やEQ、ダイナミクス処理等も考慮してミキサーはYAMAHAのデジタルミキサーDM1000V2を使っています。
YAMAHAのDM1000V2は在京・在阪のテレビ中継制作(スポーツ中継など)でもよく使われている16chのデジタルミキサーで、小型ながら自由度が高く、非常に多機能な音声卓です。

(YAMAHA DM1000V2、他の現場にて)
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いつもはDM1000V2ですが、今回は資料用としての収録で音声を公開用としては使用しないので、試みとしてZOOMのR16でいってみました(笑)

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ZOOMのR16は昨年発売された機種で、SDHCカードに同時8ch録音できるミキサー内蔵のデジタルMTRです。

昨年、このR16が発売されるまで、CFやSDHCなどのメモリーカードで収録するタイプのMTRでは同時録音が4chまでの機種しかありませんでした。
(2010/4現在、TASCAMがメモリーに8ch収録できるポータブル機を2機種リリースしています。今後発売されるDR-680に興味があります)

ZOOMのR16の市場価格は、普段使っているDM1000V2と比較するとなんと1/20以下の3万円台…
今回の対談、DM1000V2ではなくR16にしたのは予算の都合ではなくて…

YAMAHA DM1000V2…21kg 梱包重量…36kg(車輪付きハードケース)
ZOOM R16      …1.3kg 梱包重量…2.5kg(PCバッグ)

という理由です。R16の梱包重量はDM1000V2の1/14以下…

このR16、もともとは今まで現場収録のDAWのバックアップとして使ってきたTASCAMの8ch MTR(DA-88、DA-38)を引退(+軽量化)させる目的で導入しました。

R16を選択したのは、今後AudinateのDanteカード(ネットワークオーディオのデジタルインターフェース)をDM1000V2に装着し、HUBで分配してDAW(16ch)と予備DAW(16ch)、さらにR16を2ndバックアップ収録機(アナログBUS OUT 8chから接続)として、2MIXをHD-P2で別収録する体制(主に音楽ライブやステージなどの収録)で使おうという算段だったので、ワードロックもTC同期も無しで独走させる、安くて手軽な予備MTRという基準でした。

民生機を仕事用に導入する事はあまり無いんですが、あまりの軽さに…。

R16のHA(ヘッドアンプ/マイクアンプ)は高価な業務用ミキサーと比較してしまうと低ノイズで音質が良いとは言えませんが、外部からラインレベルで入力する分にはなんとかなると思います。

しかしR16、なかなか侮れません。単体MTRモードではfs=44.1kHzのみ(16/24bit変更可)ですが、AudioI/FモードではASIOドライバで24bit 96kの8ch RECに対応。Mackie Controlのエミュレート(フェーダー)も可能なほか、DAWソフトのCubase LE4まで付いてきます。
なんというCPの高さ…。ZOOMのサービス精神はすごいです。

贅沢を言うとPANやEQ、ダイナミクスなどはこんなふうに操作子が出ていると良いんですが…
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これだとR16が150台くらい買えるお値段です…。(YAMAHA PM5D)
YAMAHA製品が高いと言っているのではありません。ZOOMが…(笑)


また、R16は収録レベル(HAゲイン)とは関係なく、録音中にもフェーダー操作でモニターミックスを作れます。トラックダウンやピンポン用だけとしてではなく「ミキサー内蔵のMTR」としては当然求められる仕様だと思いますが、以前検討していた他社のレコーダーでは収録だけに特化して小型化されている関係で自由なモニターミックスができませんでした。

ZOOMの製品はどれも低価格ですが、細かい設計思想がとてもしっかりしていますね。

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R16のフェーダー(45mm)は、DM1000V2(100mm)と比較すると音量変化の段階が粗いのが気になりますが、実際の使用(対談など)ではなんとか無視できるかも…。
ENG用の4chミキサーにオプションユニットを付けて、ロータリーフェーダー8つでMIXするよりは格段に楽で素早い操作が可能です。

このR16ですが、やはりDM1000V2と比較してしまうと音声卓としての音質や操作性はだいぶ劣ります。
個人的には収録素材を放送やVP、Webなどで使用するのであれば、やはりDM1000V2などの機材でMIXすべきだと思います。しかし、ちゃんと使えばR16でも記録用としては全く問題ない品質で収録できました。

肩掛けはできませんが、電池駆動可能でこれだけ簡単・軽量な8ch MTRがあると、今までMTR収録をしていなかったような現場でも気軽に使えそうです。


今回、R16(ファンタム給電は5/6の2つのチャネルのみ可)ではファンタム電源が足りないので、ソニーのマイク電源AC-148Fを追加使用しました。R16で各マイクをMTR収録(テスト収録)しつつ、R16のMIX OUTをWENDTのNGS-X3(3chミキサー)に入れてレベルを確認して、カメラとHD-P2(予備レコーダー)に分配しました。

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映像はカメラ本体での収録のほか、PCでMPEG2収録しました。対談終了後、撤収している間にPCでDVD-Rを数枚作成して即座に納品。初めてのクライアントさんだとびっくりされる方もいらっしゃいます。(現場納品は機材の関係であらかじめご依頼があった場合に限ります)

バックアップ機材が多めですが、ワイヤレスマイクやミキサー、レコーダーなど主要部分に冗長性を持たせるのは放送現場にいた頃からの習慣です。セッティング時間もそれほど変わりません。

バックアップ収録は当然として、万が一いづれかの機材にトラブルが発生しても組み替えれば即座に最低限の機能を維持できる体制になっています。これも大事なポイントですね。

その他、クライアントさんから特に指定がなくても、万が一の商用(電源)断でもバッテリーや電池で収録を継続できるような機材をあらかじめ選択していたり、そのために仕様変更していたり… と少々やりすぎの感もありますが、このあたりもうちの考え方であり品質の一部なんです。


今回の収録現場、ホテル32階から見た神戸ポートタワー。
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改修で2ヶ月ほど休館していたそうですが、3/19から営業再開したそうです。工事用の足場は4月中旬に撤去予定だとか。こんな姿も珍しいですね。


映像制作/音響制作/制作技術
株式会社 写楽 www.sha-raku.co.jp
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ワイヤレスマイクの比較(UWP-V1)
最近、技術ネタを書いていなかったので、今日は音声機材(ワイヤレスマイク)のネタです。

ソニーの低価格ワイヤレスUWP-V1(送受セットで約5万円)と、WRTシリーズのワイヤレスマイクの音質比較をしてみました。

比較したのはSONY UWP-V1
20100209-UWP
(C)SONY



20100209-WRT
TX SONY WRT-822
RX SONY WRR-861 です。
(ブツ撮りついでに撮ってみた写真w 色温度の高い外光が表示部に反射しててNGですね…)

さて、画質や音質の評価は人によって様々ですので、今回は「音声伝送路」としての電気的な比較をしてみることにしました。

測定には、パソコン用のオーディオインターフェース(以下、Audio I/F)の性能を測定する、Right Mark Audio Analyze(以下、RMAA)というソフトを使います。
20100209-RMAA00

このソフトは、Audio I/Fのアナログ出力からテスト信号を出力して、そのテスト信号をAudio I/Fのアナログ入力から再び録音する事によって、Audio I/Fの性能をテストをするというものです。
(フリー版ではASIOに対応していないので、シェア版を購入しています)

本来はAudio I/Fのテストをするソフトですが、今回はワイヤレスマイクの送・受信機をつないでテストをしてしまおうという寸法。

今回のテストでは、Audio I/FにMOTUの828mk3
20100209-828

ワイヤレス送信機への入力レベル調整用としてWendt(ウエンツ)のNGS-X3(ポータブルミキサー)を使いました。
20100209-NGS
写真中央の3chミキサーです。(撮影現場で撮った写真から)

20100209-RMAA01
テスト信号はAudio I/Fとミキサー通過でも音質が変化しますので、それぞれの単独での数値もテストする事にします。

さて、それではテストしてみましょう。

20100209-RMAA02
正確な測定のため、テスト信号のレベルを調整します…。

…と、困ったのは、ワイヤレス送信機への入力レベル。
送信機~(電波)~受信機出力→Audio I/Fで、ワイヤレス送信機の入力レベルをサイン波で設定すると、断続的な音声信号が入力されるテスト中に受信機の音声出力が厳密には安定せず測定NG…。
入力する信号を他の測定器を使って送信機の規定入力レベルに合わせてみても、受信機出力が変動?して測定NG…。
どちらの送信機でも似たような状況でしたが、WRTの方が変動幅が大きい感じ…。うむむ。

ワイヤレスの送信機って、勝手にAGCのような挙動をするんですね…。
送信機に最大周波数偏移を制限するIDC(リミッター)が付いてるんでしょうか?

現場でワイヤレスマイクを付ける人の声量によって送信機のATT(入力レベルの減衰量)を設定する時に、受信機側で音質を確認しながら設定を詰めていっても「有線みたいにしっくり来ないなあ」と感じていたのはこのせいかも。
20100209-att

試しに、明らかに過大なレベルで送信機に突っ込んでみても、有線と比較してほとんど歪まず「これって一体…」ってありません? 
TXのピークLEDも多少点灯しても良いのか、(A/Dのように)全く点灯しないように調整したほうが良いのか分かりにくいです。(規格としてS/Nがそんなに良くないですから)ギリギリまで突っ込みたいのに天井が分かりにくいのは不便ですね。あんまり小さくてもボソボソですし…。

※コンパンダ方式…
電波帯域の狭いワイヤレスマイクの音質改善に用いられている方式。送信機側で音量の大小の幅を圧縮し、受信機側で伸長する事によって、音声回線の見かけ上のダイナミックレンジを拡大しています。国内のほとんどのA、B帯などのアナログワイヤレスマイクで使用されていて、メーカーによってコンパンダの方式が異なるため、異なるメーカー間の送・受信機では基本的に互換性がありません。コンパンダの特性の関係で完全に元通りにはならないため、音質は微妙に変化してしまいます。海外製品ではコンパンダやEQ処理をDSPで行っているアナログワイヤレスの送・受信機もあります。


というわけで、仕様や受信機出力のレベルを何度も確認しつつ、なんとかRMAAの許容範囲に収まるように送信機への入力レベルとAudio I/FのHAゲインを調整して測定しました。

よって、今回のテスト結果は、送信機への入力レベルや受信機出力レベルがUWPとWRTとで完全に同一ではないので、項目によって「機器が出せる最高の結果じゃないかも」、「実使用ではこんなに安定しないかも」、「厳密な比較とは言えないかも…(泣)」という条件付きの参考値としてご覧下さい。

※併記しているMOTU 828mk3とNGS-X3の単独での結果も、今回の測定のために調整した状態のものなので、それぞれのベストな値ではありません。


電池は新品。送信機は共に法定最大の10mW。送・受信機は10mほどの距離に置き、RFレベルが安定した状態で測定しました。

このテスト、MOTU 828mk3から出したテスト信号を、NGS-X3(ミキサー)でマイクレベルに落としてワイヤレス送信機に入力、ワイヤレス受信機の出力(マイクレベル)をMOTU 828 mk3のHAで増幅して測定しています。

したがってワイヤレスの測定値は原理的にNGS-X3単独での測定値より全項目において劣るはずですが、面白い事に、逆転している部分がありました。
これは、コンパンダによって無音時の暗騒音が圧縮されたりして、受信機側で元通りに戻っていないという事ですね。帯域によっては受信機側でのカットオフもありそうです。


コンパンダは動作原理が似ているDOLBY NRやdbx NRと同様に、多少ですが音質に影響が出ます。ワイヤレスが「声がバサバサする」とか、「有線のようにリニアリティが良くない」と言われる原因でもあります。
(国内では数社のワイヤレスで実際にdbx NRが使用されています)

他社のワイヤレスでは、一般的に放送用から一般設備用(C帯を除く)の全てのワイヤレスで同じ方式のコンパンダーが使用されていますが、ソニーの場合、WRTシリーズとUWPシリーズでコンパンダが違っています。

今回の比較は、発売からすでに約20年経過しているものの放送用としても現行のWRTシリーズと、発売から5年程度と新しいもののかなり低価格なUWPシリーズのコンパンダの違いを比較してみようと思ったのがきっかけでした。


測定結果のPDFはこちら

20100209-RMAA04


このRMAAですが、機会を見つけて他の機材の測定にも使ってみようと思います。Audio I/Fとデジタルでつなげば、デジタルミキサーやレコーダーのD/A、A/Dの性能も見られますし、ASIOドライバが使えるZOOMのR16なども面白そうですね。暇があれば…。
20100209-RMAA03



さて、話は戻りますが、UWP-V1では、旧機種のUWP-C1と比べ本体が小型・堅牢になったほか、付属のピンマイクも新しいものになっています。
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(左:UWP-V1付属マイク、右:ECM-77)

写真にはありませんが、旧機種のUWP-C1ではECM-44のような大きなピンマイクで、音質も良くはありませんでした。
しかし、UWP-V1に付属されているピンマイクは、放送でもよく使われているECM-77を目標にして開発されたそうで、以前より小型化されて音質もだいぶ向上しています。

ただ、当然価格も違いますし、音質はECM-77には及びません。

そのため、うちの会社ではUWPでもWRTと同じECM-77を使っています。

20100209-77BMP

このECM-77は端子を自分で付け替えたわけではなく、海外でECM-77BMPとしてUWPシリーズの発売前からWRT-824用などとして販売されているものです。
ECM-77BMPはマルチリンガルの説明書付きで、当初は日本でも販売される予定だった事が伺えますが、数年前にソニーさんに聞いた話では、国内市場で販売する予定は無いとのことでした。

※UWPシリーズのミニ端子はT:HOT,R:COLD,S:GNDになっているため、家電店で流通しているステレオミニプラグのマイク(T:L+,R:R+,S:GND)は使用できません。端子を変えても給電回路が違うのでプラグインパワーは不可でしょう。

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UWPの送信機はおなじみWRT-850のケースに入れています(笑)

ちょうどUWP-V1を購入した時に対応していただいた○ystem5のN島さんが大学の後輩で、UWP-V1の送信機がWRT-850のケースにピッタリ入る事を教えてもらいました。(はじめは気が付きませんでしたが、送付状の名前を見てびっくり!!)販売店に現場出身のエンジニアがいるのは心強いですね。


現状、UWP-V1は小型カメラ専用として使っているため、到達距離や安定性などをWRTと比較した事は無いんですが、機会を見つけてテストしてみたいと思います。

ちなみに、WRT-850(SONY)とWX-TB840(RAMSA)をアシスタントさんに両方付けてもらい、歩いて遠ざかって行ってもらったテスト(WRR-860とWX-RJ800で受信、ともに1/2λの標準ホイップアンテナ)では、ダイバーシティの切り替わりの状況や使用可能な距離はほとんど同じような感じでした。

しかし、アクティブアンテナを外付けして延長する設備などでは、アンテナ側で低い周波数に変換して伝送する方式のほうが良い場合もあるかもしれません。また、他社ではブースター内蔵のアンテナもよく使いますし、どうなんでしょうね。
個人的に複数メーカーのラック型受信機を同時に使った事はあまりないのですが、機会があれば比べてみたいですね。



今回はワイヤレスマイクの比較のネタでしたが、個人的にはワイヤレスは極力避ける派です。とは言っても使う機会は多いわけですが、現場での私は虎視眈々と「有線にしようよ」と言い出すタイミングを探しています(笑)。

ロケの際、リクエストが無くてもほぼワイヤレスは用意していきますが、着座で動かない場合など、有線マイクが使える場面では音質面と安定性重視で可能な限り有線を使いたいですね。
(うちの会社では瞬時に切り替えできるようにWRTとECM-77BC、DC-78をセットにしています)

ENGロケ専門の音声さんの中には、どんな場合でも無条件にワイヤレスを使おうとする方がいらっしゃいますが、現状のワイヤレスは(デジタルを除き)どんな機種でも有線マイクの音質には及びません。これは最終納品が何であれ、明瞭度やMAでの調整可能範囲にも関係してきます。

アナログベーカムの時代はリニアトラックのS/Nが60dB程度でしたから、ロケでは現場の音声さんがある程度割り切った音質で録るのが当たり前でしたが、現在は全てがデジタル化されて音声にも質が求められる時代ですから、場面に応じて対応する必要があると思います。


おまけ。

国内ではB帯(800MHz帯)のデジタルワイヤレスが(やっと法制化されて)製品として出てきたところですが、海外の一部では、2.4GHz帯を使用する比較的低価格なデジタルワイヤレスが使われ始めています。

国内の大型イベントや番組などでは、イベント会場内や近隣施設との運用調整で、使用可能本数が限界に達している例が散見されますが、海外の2.4GHz帯のデジタルワイヤレスでは、オペラのテレビ生放送で60波同時使用の例があるそうです。
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(C)SABINE

近い将来、日本国内でも現在とは違う手軽なデジタルワイヤレスが使えるようになるかもしれません。
60波使えたら、48人とかのグループでも全員に本物のマイクが持たせられますね(笑)。

それと、某海外メーカーが、2.4GHzでデジタルステレオ伝送ができる送受セット(マイク接続可)を国内向けに販売しているようですが、どなたかテストされた方いらっしゃいません?
あれって、ちゃんと技適取ってるのかな……


もひとつおまけ。

うちの奥さん用のBluetooth受信機+ヘッドホン(HFI-15G)
家事をしながら音楽を聞いてます。
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規格では10mとありますが、20mくらいまで安定受信できています。

デジタル圧縮はかかるものの赤外線方式のコードレスヘッドホンより安定受信できるので、収録現場で制作さんの音声モニター用として用意したら喜ばれそう。
アナログ入力のA2DP送信機も市販されていますから、検討の価値ありですね。


制作技術(映像制作・音響制作)
株式会社 写楽
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タリー連動 インターフェースの製作
先日、ある会社さんからのご依頼で、スイッチャーのタリーインターフェースボックスを作りました。

トップカバーをあけたところ。(チェックボタンつき)
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このブログをご覧いただいている方はご存知の方が殆どだと思いますが、「スイッチャー」とは、テレビや映像制作の現場で映像を切り替える機材のことです。
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それから、タリー(タリーランプ)というのは、カメラが選択されている時に点灯する(一般的には赤い)ランプのことで、スイッチャーから出力されるタリー信号をCCU(カメラコントロールユニット)のタリー入力に接続しておくことで、スイッチャーで選択されているカメラのタリーランプが点灯し、出演者やカメラマンに「このカメラが選択されていますよ」と知らせるものです。

今回作成したのは、そのスイッチャーのタリー出力を使って外部機器を制御するためのインターフェース。このタリー連動はキー局や準キー局のスポーツ中継、選挙特番などで使われています。

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今回の発注元さんが展開しているシステムは、既存の他社システムより低価格かつ圧倒的に高機能・高品質。今後はいままで導入できていなかった地方局や制作会社、ケーブル局などでも導入が進んでいくと思います。
(今回は特定機種のI/Fを弊社が作っただけで、弊社が開発したんではありません)


スイッチャーついでに、懐かしのBVS-3100シリーズ。
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きっちり調整しようと思うと時間がかかって面倒でしたね…。特性は悪くないんですが、特に丸ワイプが真円にならなくて…(笑)。
左手前はDFS-500。これまた懐かしい。

右奥はBVE-2000のキーボードです。弊社ではノンリニアへの移行でBVE-2000は早くに廃止(売却)していたんですが、やっぱりリニアのほうが手っ取り早い作業も…ということで、BVE-2000V2はBVW-75とともに今年になって再配備しました(笑)。


それから、技術の進歩で今や小型スイッチャーでもDVE(デジタルビデオエフェクト)内蔵が当たり前ですが、昔はPinP(ピクチャーインピクチャー、縮小画面)をやろうと思ったら、スイッチャーに加えてこんな効果機が必要でした。

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かつて弊社のリニア編集システムで使っていたFOR.AのMF-2000(操作部)
(MF-2000はずいぶん前に売却しました)

本体ご開帳~。
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MF-2000の本体は6Uで重量は20kg以上…。学会や展示会など、昔は中継映像制作で持ち出していたこともありましたが、その頃はカメラ関係とVCR、スイッチャー周りだけで軽い引越しみたいな感じでした(笑)。

今はテーブルにちょこんと置ける小型スイッチャーで、この機種以上の事が簡単にできちゃいます。しかもHDで。
HD対応の小型タイプで2M/E機がほしい今日この頃です…。


さて、昔話はさておきタリーインターフェースですが、スイッチャーから出力されるタリー信号、実はスイッチャーのメーカーや機種によって信号規格や端子はバラバラ。

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今回作成したタリーI/Fのリアコネクター。(DFS-700、MVS-8000などに対応)

スイッチャーのメーカーによって規格が違ったりするほか、同じメーカーの機種でコネクターが同じでも、信号やピン配列が違うものがあるので、様々なスイッチャーに対応するインターフェースを作る場合はそれぞれの機種の仕様を全て確認しないといけません。

各社、各機種のサービスマニュアルやセットアップマニュアルを確認していくと、あまりの統一性の無さにだんだん腹が立っ… もとい、コネクターのピン配列ひとつとっても「分かりやすいように」というそれぞれの設計者の実に細やかな配慮が見えてきます(笑)。

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今回のI/Fは、対応させるスイッチャーの機種が限定されていたので、わりと単純だったのですが、周辺ケーブルやコネクター、端子部分も含めると細かいハンダや導通チェックが100ヵ所ほど。
専用工具があるとはいえ、大量のAWG28の被覆剥ぎ取りや細かいハンダはけっこう大変でした。ちょうど編集で日程が詰まっていた時だったので、I/F作りは夜から朝までの作業が3回(笑)。
(間違った線を切ると爆発する仕掛けは入っていませんよ。笑)


もっと簡素化出来なくもなかったんですが、私の手を離れて使われることを考慮して耐久性の高いボックスに収め、ハンダ部分や圧着部分は全て熱収縮チューブでカバーしておきました。当初の予定にはありませんでしたが、実はおまけで今後の拡張にも容易に対応できるよう将来用のケーブルも結線して入れてあります。テストスイッチも当初の発注内容や見積もりには無かったんですが、「あったほうが便利では?」と提案しておまけとして採用。

耐久性や拡張性、見えないところこそしっかり作る!!。神は細部に宿るのです。…いや、ハンドニブラーで開けたコネクター用の穴と、ハンドドリルで開けたスイッチの配置は見ないでください(笑)。

このタリーI/F、私は今年は行かなかったんですが、先月11月中旬、とある場所で3日間無事に機能していたとのことです。よかった。


えー、私は今回のように市販されていないような周辺機器を作ったり、TMやTD、カメラマンとして複数の会社が絡む制作に参加したり、他社さんの制作システムの構築や更新・改修にも関わったりしていますが、うちの会社の特徴は撮影・録音、編集など制作技術の質のほうです!(笑)



おまけ。食欲の秋!

私の実家(仙台にいる両親の趣味の畑)で採れたさつまいも。
やきいも にしておいしくいただきました。
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私の両親もそうですが、うちの奥さんのお父さんも趣味で畑をしていて、しょっちゅう畑で採れた野菜をもらっています。農薬をほとんど使わないで育てた野菜っておいしいですね。感謝感謝。
マルチバンドコンプ
今日はマルチバンドコンプの話です。

前職時代、私がorban OPTIMODの設定にハマっていた(笑)のは過去の記事で書いたことがあったんですが、今日はそれに少し近い話題です。

orban OPTIMOD 8500FM
私がいた局にあったのはこれより古い下位機種でしたけど。
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(C)orban.com

※orban OPTIMOD…
放送局用最終音声(マルチバンド)リミッター。国内のテレビ・ラジオ放送局では8割程度に普及していると言われ、法定で定められた変調度を逸脱しないように制御する役割のほか、放送音量の適正化や音質の色づけに使われています。一部ではテレビの伝送回線(裏送り)用に使用しているところもあります。
設定によって音質が大きく変わるため、FMラジオ放送では音質面でのステーションキャラクターを決める大きな要素になっています。


なんで私が設定にハマっていたのかですが、ご多聞にもれず、どこの国でも地方でも、民放FM放送というと音圧競争で必要以上に大きく聞こえる音(パンパンに圧縮されて詰まった音)が良いとされる傾向があります。そんな状況に個人的には一石投じたいと思っていたんです(笑)。
(私は番組でかける音楽のジャンルによって時々設定を変えていました。当時、他局では例がないと思います。笑)

放送、特にFMラジオ放送では、他局より音楽に迫力を出したいとか、スタジオトークの部分を聞こえやすくするという目的で、各局さんとも常に音量が大きくなる設定が多くなっています。ロケで地方に行った時など、まれにびっくりするような極端な音になっている放送局さんも…。
(これはDOLBY NR-Cのテープをデコード無しで再生してんのか?とか、ステレオエンハンスしすぎで逆相の音像になってる…というような…)

その他、音声多重化したときの設備をまだ使っているなどで、某地方局では日ごとに設備が切り替わると、これで問題にならないの?…というようなひどい音になっていたり…(ry。
まあ、大都市でもピークリミットが甘くてアナログ地上波のステレオ受信がよくはずれるテレビ局も…(ry )


この、放送時の自動音量調整ですが、小さい音量で聞いている時は視聴者が音量調節をしなくても音楽もトークも平均的に聞こえるので便利な面も多いのですが、音楽ではROCKやPOPSでも曲の静かな部分、クラシックでは全般的に必要以上に音が大きくなったりして良くない事が多いほか、ある程度の音量で聞いていると常にやかましくて疲れてしまいます。

一般の方でも、自分が持っているCDとFM放送では同じ音源でもずいぶん音質が違うなあと感じたことがある方がいらっしゃると思います。(公共放送さんのFMを除く)

多少の平滑化とエンハンス程度であれば聞きやすくするための措置としては良いのですが、一般的に設定値は固定なので、常にベストとは限りません。アーティストさんによってはFM放送で音質が変わることをとても嫌っていらっしゃる方もいます。

音楽をミックス(MTR音源をトラックダウン)する際、たいていのエンジニアは曲によってマイクごとやグループ、全体のコンプ・リミッターの設定を変えますが、放送では常に同じ設定で持ち上げてから叩いてしまうので、全ての音源に対して常に理想的な音にはできないんです。

とは言っても放送局に納品される番組やCMはMA済みでも音量はバラバラ。生放送でもミキサーさんによってずいぶん違いがあるので、マスター(主調)での自動音量調整とリミッティングは欠かせません。

最終リミッターでどうせ叩かれるだろうと思って過度なピークを放置していたり全体的に大きすぎると、番組に限らず登録時に必要以上に全て下げられたりしますから良くありません。返品されなかったと安心してはダメで、むしろよく返品する放送局のほうが良心的なんです。(>MAエンジニアのみなさん)
それと、やかましいCMは視聴者の印象が悪いという事を認識しないといけません(>制作さん、代理店さん、スポンサーさん)

「音なんてなんとなく聞こえてりゃいいんだよ」という方針でない限り、リミッティングの設定はどこの局さんも悩むところだと思います。また、自動調整の幅が小さくなった地デジ放送が「聞き取りにくい」といわれるのはまた逆の問題でもあり根が深いですね。
地デジの音量に関しては局間でも色々違いがあるので、アナログテレビ放送のカラー化の際に放送局間で調整を行なったように、地デジの音量に関しても何らかの協議が必要でしょう。
(放置しておくと、受像機側での不完全な自動調整が普及しちゃいますよ!)


というわけで、OPTIMODで実験…。したいところですが、2バンドの最低機種でも80万円ほど。一般的に民放局で使われている機種だとウン百万円ですので、現用で使っていても検証機を用意するのは無理(涙)。 現職時代、私は深夜の試験放送で色々テストさせてもらいましたが、いつでも誰でも簡単に実験はできません。


そこで、何か似たようなVSTプラグインでもないかなあと探していた時に見つけたのがこちら、
単体ソフトの「MultiMAX」(Vector シェアレジで\2,200)です。
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(2005年に購入。現行はVer.3.24です)(wavファイル読込み・出力に対応。オンエアモードでは音声入力への生の処理にも対応)

OPTIMODとは設定項目が異なりますが (一般的なVSTプラグインなどのマルチバンドコンプとも違います)、帯域ごと、設定によって音がどう変化するか試してみると面白いですよ。

このソフトの開発者さんは、オーディオメーカーで家庭用コンポの開発を担当していた時、FMラジオ放送に似たエフェクトを作ったそうで、その時の経験などを生かしてこのソフトを開発されたとの事です。


プリセットがいくつか入っていて、FMラジオ放送でよくあるようなパンチの効いた(苦笑)エンハンスとリミッティングが試せるほか
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自分で作った設定を3つまでメモリーする事もできます。
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(この設定は私が車で音楽を聴く時用の設定です。ちょっとハイ上がりですが、前段のAGC幅が広くてリリースも遅めなのでアタックも潰れすぎず良いですよ~)

音楽のジャンルや曲調、入力レベルによっても最適な設定は変わるので、破綻のない無難な設定を作るのはOPTIMODと同様に簡単ではないのですが、設定内容を理解すれば自然な音量アップも容易です。設定次第では楽曲のマスタリングにも向くと思います。
エフェクター(!?)として設定しても数百万円のOPTIMODにひけをとりません。

古いCDやインディーズCDでは音量やミックスバランスがあまり良いとは言えないものもありますが、MultiMaxを通すと好みの音質で聴きやすいオムニバスアルバムが作れちゃいます。EQとして使っている部分も大きいですね。

当初は車で聴くためのMD作りなんかで使っていたんですが、設定次第ではお仕事でも使えます。

MAの際にはBGMの聴感の統一やナレーション(レベル)のケバ取り、ステムミックスの平滑化などに使うと便利です。BGMのステムミックスへの軽いエンハンス(Lowの音量感UPなど)に使うのも便利です。(ただしパラメーターは手動設定必須で、それぞれ別々にファイル処理)

必ず使うかと言われるとそうでもなく、MAをこのソフトで仕上げているわけでもないんですが、一般的なダイナミクスプラグインとは一味違う効果が得られるのでお気に入りです。
個人的には(サイレント認識やアイドル、バンドごとのリリースタイムなど最新のOPTIMODのような)もっと細かい設定ができたり、NUENDO4で使用できるVSTプラグイン化して5.1chにも対応(chごとパラメーター自由で、リンクもパラメーターごとに指定可能なマニアックな仕様に)してほしいなぁ…と思っています。
Sys○em6000を「あぁ、なんちゃって5.1化がついてるシ○ート向けの?」と一蹴してしまえるくらいに…(笑)。


話は戻りますが、放送番組の納品の場合でも、必ずしも放送局側のリミッターを通さずそのまま電波に乗せてもばっちりな音にしておくまでの必要はありませんが、全国には様々な設定のリミッターが存在していますから、納品レベルが悪いと放送波に乗った時にひどい音になる可能性はあります。
そうならないためにも、納品時にしっかりしておくのは大事ですね。

また、一部のCS局などでは、マスターに放送用の音声リミッターが無く!、納品素材がそのまんまストレートにOAされてしまう局もありますから、そういった場合は納品時にテレビ視聴に適したダイナミクスにしておかないと話にならない場合もあります。
(以前、番組納品する際、そのチャネルでは聞こえにくい番組や音が大きすぎる生放送やCMが混在していたため局側に問い合わせて判明。 バンク登録時の調整はせず常にNAB規準通りで、不良素材に関してはアナログVU計でピークの過度な張り付きのみチェックして返品していたとの事。う~ん。)

まあ、納品前にOA予定のCSチャネルを自分で視聴契約して他番組まで確認する私もやりすぎですけどね…。


その他、VPや市販用のDVDソフト、Web配信ではダイナミクス処理を伴う音声のレベル管理はもっと大事です。そのまんま視聴されるわけですからね。
各分野での運用上の適正レベルに関しては、安易に表にしてしまうと色々問題あるので…、直接お話しましょう。

しかし、他社さんの事情はよく分かりませんが、NAB規準のままで市販DVDを作ったり、単に音量を上げてしょっちゅうクリップしていたり、お手軽リミッターでペッタンコに潰れた音を良しとしているような映像制作会社さんは少なくないようです。
ちょっと信じられませんけど…。ノーマライズしただけとか、無頓着なところは多いようですね。


話はちょっと逸れますが、一般の方が映像制作会社を選択される際など、音に対する配慮と言う点でも比べてみると良いかも知れません。

なかなか発注してみないと分かりにくい部分ですが、映像制作における音声の品質は、映像も含めエンジニアの技術水準や姿勢が如実に現れる部分だと思いますから、一つの指標として見て良いと思います。
ダイナミクスの処理は、ミキサーの実力も見えてくる部分ですね。

ハイビジョン映像には質の高い音声が必須です。
うちの会社は音も良いですよ~っと (笑)



それからついでにレベルメーターですが、デジタルミックスやデジタル納品がほとんどになった現在、VU計は実際のところあまり役にはたたなくなっています。実際、プロでも詳しくない人のほうがVU計をむやみに神聖化している気が…。

収録やOA用ミックス、MAでは、最終的なピークが気になるものですが、ピーク監視・レベル監視には主にヨーロッパで使用されているこちらのピークメーターが便利です。(国内では一般的ではありませんが、個人的におすすめです)

ヨーロッパの放送局ではこのメーターがよく使われているそうです。
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(C)BBC 英TSL社製。日本ではmtc扱い。

しかし、(たぶん)高そうだし、持ち歩きも不便そう…。

ということで、私のおすすめはフリーソフトのこちら。
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(C)www.darkwood.demon.co.uk

国内では馴染みのないメーターですが、このPPMについてはこちらをどうぞ。(wiki英語版)

「EBU規準」とガッカリすることなかれ、このフリーソフトではリファレンスレベルが変えられるのでNAB、DVD、Webなどのミックスの際にも自分の基準に合わせて使えます。(規準レベルはご自分で設定してください)
反応も早いし見やすくて便利です。フリーのVSTプラグインのVUメーターの類よりも実用的だと思います。
このPPMは3年ほど前から使っていますが、ノートでも動作するので持ち出しでも便利です。デジタルI/Fでつなげれば設定も楽。「4」が0VU。一目盛りが4dBです。
ピークをどこまで許容するかは自己責任でお願いします(笑)。


また、一般用途に適するレベルメーターではありませんが、英BBCの研究所が開発した時間平均のレベルを表示できるメーターソフトが配布されています。
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(C)BBC R&D  「baptools」

サンプル長の異なる時間平均で表示され、音声レベルの平均を視覚的に確認できます。名称はラウドネスメーターですが、ITU-R BS.1770-1771とは異なるようですね。(1770-1にbaptool同様の規格が含まれているかは未確認)
あまりにマニアックだったのではじめは紹介していなかったんですが、業界でもご存知の方は少ないようなので、せっかくなので。
放送用マスターリミッターの設定や、番組全体、番組間の音声レベル傾向の分析に便利だと思います。 (非力なPCだと固まります。C2D以上推奨)


なお、ミキサーやレコーダーなどハードウェアに搭載されているピークメーターでは、放送・業務用でもメーカーや機種によって1/100sec連続、1サンプルでもピーク到達で点灯、ピーク到達サンプルが(n)回連続で点灯、-3dBFS、-1dBFS超えで点灯など様々な仕様のものがありますので注意してください。
私も以前はピークが点灯しやすい機種とそうでもない機種とか、現場で違和感を感じる場合がけっこうあったんですが、メーカーの方に質問してなるほど、と思いました。
(たいていはマニュアルにも書いてありませんので必要な方はメーカーに確認してください)


ITU-R BS.1771のラウドネスメーターについては機会があれば。
(個人的にはあまり必要性を感じていませんけど…)


その他のダイナミクスとしてはsonnox oxford、33609、1178、DPR-402、contour付きのdbxは何でも好きです(笑)。
マニュアルズームのねばり
さて、おかげさまで超忙しい日々が続いています。
なんと、あっという間に1ヶ月以上更新していませんでした。

…ギョーム連絡
編集をお待ちの皆様。もうちょっと待っててください…。納期は大丈夫だと思います。。編集機が4台ともレンダリング中でちょっと暇が出来たのでブログを書いておりますです。



今日はレンズのマニュアルズームのねばりです。

弊社で使っているENGカメラでは、以前はキヤノンの放送用や業務用レンズを使っていましたが、現在はフジノンのショートズームレンズ(13倍)を使うことがとても多くなっています。

どのENGレンズもマニュアルズームにはねばりというか適度なトルクがあってマニュアルでのスローズームも問題ないのですが、最近よく使うハンドヘルドのパナソニックのAG-HMC155では、標準状態ではマニュアルズームリングがスカスカで、滑らかなマニュアルズームには期待できませんでした。

HMC155ではHVX200よりもさらに軽くてスカスカなんですよね。
(まるでIF化以降のキヤ○ンの業務用レンズのような…)

先日、とある撮影でHMC155のスカスカのマニュアルズームに嫌気がさしたので(笑)、他社のグリス(樹脂用)を調達して塗り替える事にしました。
(実は2度目で、以前塗り替えたものより粘性の高いグリスです)

事前に、他にやっている人はいないもんかなあと思って海外型番のAG-HMC150や151でもかなり検索してみたんですが、これまた実例は見つけられませんでした。


まず、レンズ前面の円形のプレート(ネジ2つ)を外し、マニュアルフォーカスリング(ネジ4つ)、中間リング(ネジ3つ)、マニュアルズームリングの順に外していきます。

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(フォーカスリングまで外したところ)

この際、フォーカスリングとズームリングの間にある部品についているフレキシワイヤー(フォーカスリングの回転検知センサー用)を切らないように注意が必要です。(写真左)
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このフレキは基板直付けでとても短く、回転検知センサーの基板もなかなか外せそうになかったので、上の写真のように外さないままで慎重に作業を進めていきました。

それから、上の写真ではグリスがモリモリになっていますが、これは一度試し塗りしてどのように広がるかを確認している時の状況で、この後、余分なグリスは除去しています。


と言うわけで、キヤ○ンの業務用レンズのようにスカスカだったHMC155のマニュアルズームリングに適度な粘性をつけることができました。現在の重さは、例えて言うならばZ1Jと同等か、ほんの少しだけZ1JやZ5Jよりは重い感じです。

マニュアルのズームリングがついていても実際のレンズ駆動がサーボになっているZ1JやZ5J、キヤノンの業務用HDVカメラでは、ズーム開始と停止がどうしても機械的になってしまい、超スローズームにも対応できませんが、HMC155のカム式のマニュアルズームに適度な粘性が備われば、あとはカメラマン次第です!?

レンズ自体は分解せず、周囲のフォーカスリングとズームリングをいったん外すだけですので、光学的な影響は皆無。また、フォーカスリングはセンサーによる回転検知なので、位置あわせは不要です。

以前、J13x9を分解してマクロ域までフォーカスできるように改造した時は、ろくに確認せずに分解してしまったので、フォーカスの位置あわせ(ギアの噛むところ)をあわせるのに苦労しました…。
(ENGレンズではプロクサーを付けるよりM.O.D.を短く改造したレンズのほうがマクロ撮影の画質は良好です。マクロ域では不可能なズームの使用も可)


「レンズがスカスカでも気合でなんとかする」と仰る方もいらっしゃいますが、ダメな三脚とスカスカズームだけはカメラマンの力量ではカバーしきれないと思います。下手に見えたり雑に見えたり…。
VFや9インチ、編集室の大きくないモニターでは微小に見える揺れやムラでも、HD化に伴って家庭や上映など最終的に見られる画面は大きくなる一方ですから、今まで以上に配慮が必要ですね。

私もVP、OAなどなどカメラマンとしてENGカメラを数千時間回してますが、もし私自身の力量のせいでヘタだと思われたとしたら仕方ないですけど(涙)、機材の問題で「ヘタ」「雑」と思われるのは困ります。
やっぱり、家庭用ビデオカメラ用のスカスカな三脚は絶対使わないのに、レンズはスカスカでも良いってことはないですよね(笑)

IFになってから、キヤ○ンさんは放送用も標準状態だとかなり軽いズーム・フォーカスになってますが、あれも軽すぎますよね。重くすると高速なサーボ駆動が出来なくなるというような話を聞いた事がありますが、ENGレンズをサーボオンリーでスタジオ仕様にして使う例は少ないと思いますし、カメラマンとしてはENGレンズでサーボを使うのはスローズームくらいですから、サーボではスローズームの他には全域を2~3秒程度でズームできる速度があればまず問題ないと思うのは私だけでしょうか?

私の周囲では、ズームは軽めが好きだというカメラマンはいますが、スカスカズームが良いというカメラマンは一人もいません。また、フォーカスリングも軽すぎるとちょっと指が触れただけで動いてしまうので良くないですね。特に望遠時は致命的です。
たとえば、1mから10m程度へ最速でフォーカシングする場合、軽くても多少重くても(分かりやすく言えばキヤ○ンIFとフジ○ンIF)所要時間はほとんど変わりがないですから(実撮影のサンプルで確認すると8~15フレ程度)、フォーカスも回転の軽さにメリットはほとんどないと思います。

同じキヤ○ンさんでもシネレンズのねばりは良いのになぁ…。スカスカ仕様はリモート(フルサーボ)でENGレンズを使う場合か、バラエティ番組なんかでスカスカズームを求める方だけの専用仕様にしてほしいですね。
レンズ性能の進歩もありますが、主にスカスカと軽さを嫌って常用のENGレンズをフジノンに移行したプロダクションさんもいくつか知っています。

話は逸れますが、スイッシュパンで振り回すようなカメラワークって、タイミングが良いカメラマンだとまだ見ていられますけど、下手な人が真似してやってるだけだと、(つい仕事目線で見てしまうと)制作的にも技術的にもぜんぶ使えない素材だし、見ていてとても疲れますね。 うちの家族はチャネル変えちゃいます。



それから、HMC155のワイドアタッチが届きました。国内で買うと8万円弱ですが、円高の影響もあって海外から買うと送料と国内消費税を入れても半額以下でした。IDXのバッテリーも150ドルほど。

ノーマルの最広角(135換算 f=28mm)
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x0.6倍のワイドアタッチ(135換算 f≒17mm)
Century Precision Optics .6X WA HD ADAPTER f/AG170/150
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(左右の黒線はブログ用のリサイズで乗っちゃいました。元素材には縦線は入ってないです)

0.6倍なのでけっこう歪みはありますが、実景ではそれほどひどくは感じられません。ケラレも皆無で周辺ボケもほとんど感じられません。
専用のワイドアタッチなのでねじ込みではなくフード取り付けと同様に装着できます。

ENGでショートズームを日常的に使っているので、135換算の28mmでは屋内だと狭く感じることが多かったんですが、全景ショットが欲しい時などに便利になりました。 (ワイドコンバージョンではなくワイドアタッチなので常用はしません)

ズーム域としては最広角の3.9mmから22mmあたりまで使えますが、ワイドアタッチなので焦点距離の変動があるため、(AFだとサーボズーム程度の速度まではなんとか追従してはきますが)連続的なズーム動作は基本的にはNGです。
絞り込めば22mmを少し越えても合焦はしますが、周辺が流れます。

それと、固定方法がないので無理やりですが、このワイドアタッチを前後逆さまに付けると、なんちゃって円周魚眼ふうに撮れます。180度は写りませんが、効果として面白いですね。
波形モニターの修理
最近忙しすぎて更新できていなかったので軽いネタを1つ。

盆明け、スタジオ撮りに「念のため」で波形モニター(ラスタライザー)を持っていったら、数日前までずっと使っていたのに電源が入らなくなってました…。(泣)

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うちの会社では持ち出し用には外部のモニターテレビに波形を表示する、軽くて持って行きやすいラスタライザーというのを使っています。
以前は同じ機種が複数あったのですが、HD化を控えて余剰分は処分してしまいました。

波形モニターが壊れた時、撮影自体はほぼ固定でのカット撮りだけだったので、カメラのゼブラ表示の輝度設定を何度か変えて顔や背景の輝度を確認しつつ…で事なきを得ましたが、持ち出し用の波形モニターが無いのは困ります。


最近、一部の液晶(ピクチャー)モニターでは簡易波形表示機能が付いているものもありますが、拡大も調整もできず、(多くでは)ベクトル表示もできないので、液晶画面の輝度の再現性の悪さを補う程度。撮影時の細かな調整用としては力不足です。
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最新機種でも、10インチ程度ではHRのCRTを越える液晶は無いですね。最近まで、各社の最高グレードの小型液晶モニターは某一社の同じパネルでしたし。
液晶の場合、基本的にD93、D65の切り替えもLCDパネルの部分でシミュレートしているだけですから、白だけは何となく合ったとしても、色に関しては正確性に欠けるんですよね…。

液晶にはもっともっと進歩して欲しいと願いつつ(笑)、故障したラスタライザーのメーカーに電話してみると…
「故障内容を問わず標準修理で10万円です」との事。

(私の心の声)
「どひゃー。中古の5850と5860のセットだったら3セットくらい買えるじゃん…」

うちの会社ではもっと高級な(笑)一般的なブラウン管式の波形モニターもあるんですが、重さは15kg以上…。やっぱり持ち出し用としては軽くて便利なラスタライザー(1kgくらい)を使いたい…。


以前、他社の波形モニターが故障した際、中を見たら電源部のヒューズが飛んでいたことがあって、「何か異常があるんならヒューズ交換だけしても良くないな。ちゃんとメーカー修理に出して見てもらおう。」と思ってメーカー修理に出したら、「ヒューズ交換しました」だけで5万円。
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(写真と内容は関係ありません..)

修理報告書を見て「えー?」と思って確認したら、やっぱり他のチェックは一切何もしてくれてない…、という事があったので、今回は自分で修理できないか見てみる事にしました。

いまさらですが、ヒューズ交換だけなら自分でやれば100円で済んだのに…
代理店がだいぶ上乗せしたのかもしれませんが、その後、そのメーカーの製品はうちでも買わず、システム構築をする際にも選ばなくなりました…。


さて、今回故障したラスタライザーですが、校正も最近で、それまでは何の問題もなく正常だったので…
まずは電源ユニットのヒューズを…。 切れてない…。 ふむ。
というわけで次に電源ユニットの出力電圧を…。 出てない。 おお。

正常に使えていたとき、通電した瞬間に電源ユニットからわずかな音が出ていたのが、故障してからは聞こえなくなっていたので、「電源ユニットだろうなあ」とは思っていましたが、やっぱりそのようです。

校正や調整を伴う修理であれば私もメーカーに依頼しますが、ユニット交換だけなら誰でもできますから、自己責任ならやっても良いですよね。
このラスタライザーに関してはサービスマニュアルも持っているので自分でも校正できなくはないですけど…。


電源ユニットが別メーカーの汎用品だったので、ネットで探して即注文。
\9,000-弱なり。アジアの某国から一週間で届きました。
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(左が故障したもので、右が新品)

電源ユニットの部分で使われている星ネジのドライバーも買ってきておいたので、早速自分で交換しました。
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はいっ。 ということで修理完了。 正常に動作しています。


大げさな話ですが、これも経費を節約する企業努力の一つだと思います。

うちの会社は映像制作会社・制作技術会社として低価格だけではなく仕事の品質や信頼性をとても重視しているのですが、当然、経費の節約ができれば制作費にも反映しますから、お客様もうちの会社もハッピーなのであります。

選択と集中は重要ですね。
おすすめヘッドホン (その2)  おすすめと、そうでないものも…
さて、今日はヘッドホンの第二段です。

前回はお仕事で最も使用頻度の高い密閉型のヘッドホン(HD25-1,MDR-7506)を紹介しましたが、今回はその他の機種や目的別のおすすめを書きたいと思います。例によってぜんぶ私の個人的な感想です。

さて、テレビ取材のクルーなどがこんなヘッドホン(写真左)を使っているのを見かけた事はありませんか?
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写真左はエレガのDR-631C、写真右はソニーのMDR-Z400と言う機種です。ともに密閉型です。

■DR-631C (エレガ)の特徴
この機種は30年以上前からあったそうですが、今でも販売されています。弊社にあるのは「FUJIKI ELEGA」時代のかなり古いものです。(あるOBから譲り受けました)
そのルックスは某ヘッドホン読本の表紙に描かれたほど独特ですが、音質も非常に独特。ローもハイもばっさりありません。
極めて稀にまあまあ聞けるソースもあるんですが、このヘッドホンで音楽を聞いて「良い音質だ」と感じる方はほとんど居ないと思います。
分かりやすく言うと、電話のような狭帯域の音です。原音とかなり違う音質で鳴ってくれるので、そういった意味では識別用として適しているのかもしれません。

お使いの方からは「声の収録のみに特化しているんですよ」と説明されることがあります。確かに第一、第二フォルマントあたりの特性や解像度は良いと思うのですが、個人的には声のみの収録でももっとローもハイもしっかり確認しておきたいので、ほとんど使いません。また、DR-631Cは音楽鑑賞にもおすすめはしません。

ただ、ベテランミキサーの中にはこのヘッドホンで音楽番組のミックスができる人もいるそうです。

どのヘッドホンを使う場合でも言えるのですが、収録やミックスでヘッドホンを使う時に重要なのは、自分が基準にしているスピーカーと、その時に使っているヘッドホンから聞こえる音の「音質の差」を、普段から聞き比べをしておくことによって、いかに自分の感覚として変換または補正できるかなので、慣れ親しんでいる方ならばDR-631Cでも色々な用途で使えてしまうんでしょうね。
DR-631Cでまともに音楽番組のミックスが出来るとはにわかには信じられませんが、最近のフラットテレビの音の聞こえにくさを再現する一種のシミュレーターとして考えると、最終段階でちょっと聞いてみるのもありかも。


■MDR-Z400(ソニー)の特徴
写真右は1994年頃に購入したソニーのMDR-Z400で、現在は廃盤です。DR-631Cと並んで同じ写真に出ている意味は特にありません。(笑)
ルックスは現行のMDR-Z150やZ300に似ていますが、ヘッドバンドの長さ調整部分がZ150やZ300と違って金属なので、軽く踏んでしまっても破壊しません。音質もZ300やZ500DJより自然だと思います。
MDR-Zシリーズの上位機種のような「大きな最大入力」への対応はできませんが、音質とサイズのバランスが良い機種です。(個人的にヘッドホンで3W入力とかが必要な意味はよく分かりません)

樹脂製のハウジングで中域にクセがありましたが、ゼンハイザーのHD25-1の中身を模して同じような吸音材を詰めたらかなり改善され、「使えるヘッドホン」に変身してしまいました。

少々古い機種ですが、「音が自然で聞きやすい」「軽くて疲れない」と言われて、弊社ではディレクターや監督のモニター用ヘッドホンとして長らく好評です。


さて続いてはこちら
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写真左がオーディオテクニカのATH-M30、写真右がソニーのMDR-CD770です。

■ATH-M30(オーディオテクニカ)の特徴
現行品(2年前に購入)です。密閉型。モニター用として販売されているヘッドホンの中では最も安い価格帯で、実勢価格で\5,000-ほど。
デザイン優先の同価格帯の民生ヘッドホンと比べると、価格対性能はとても良いと思います。
こちらもHD25-1の中身を模して吸音材を詰めたら、アタック感や篭りが改善できました。

しかし、やはりテクニカのクローズドは音楽観賞用としてはクラシックなどには向かず、ジャカジャカ鳴る系に向いている感じ。
ぱっと聞いた感じはATH-SX1の方向性に近い印象を受けますが、ローは違います。同社のPro5、Pro6のように変なところで共振がある篭ったローではありませんが、ATH-M30もローは明らかに出すぎ。

使っているうちにローは減っていきますが、それと共に高域は濁っていきます。価格や品質としては、素材チェック用や予備用として編集室に転がしておくにはちょうど良い感じ。
個人的に嫌いではないんですが、音楽のミックスに使うとスピーカーに切り替えた時にバランスが悪いんです。(たぶん、この機種に慣れていないからだとは思いますが…)


■MDR-CD770(ソニー)の特徴
1997年頃に購入した密閉型。廃盤機種です。価格は1万円ほどでした。
ごく一般的な音楽観賞用のヘッドホンです。
薄めの樹脂製のハウジングなので遮音特性もフラットではありません。ミッドに少しピークがありハイがちょっと耳につきますが、ユニットの口径が大きいのでクラシックの録音用などとしてたまに使ってみたりしていました。外部からの音があり、オープンタイプの大型ヘッドホンだと多少不安になるような時にちょうど良い感じでした。こういうタイプのヘッドホンもたまに収録用として便利に感じる時があります。


続いてはこちら。
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写真左がベイヤーダイナミックのDT811、写真右がゼンハイザーのHD414です。

■DT811(ベイヤー)の特徴
10年ほど前に購入。仕様としては密閉とオープンの中間の「セミオープン」タイプです。有名なゼンハイザーの大口径オープンほどの開放感はありませんが、密閉型ともまた違う印象です。
録音やミックス用としてはまず使わないのですが、ジャズやジャズボーカル、クラシックの観賞用としてはけっこう良いと思います。
ローがちょっと豊か過ぎますがハイが綺麗に落ちるので、~35,000Hzまで再生できるという仕様ながら、ハイが突き刺さらない自然な感じです。
DT811は廃盤ですが、ベイヤーのセミオープンタイプはDT880シリーズが現在も販売されています。

■HD414(ゼンハイザー)の特徴
1990年代後半に販売された、HD414の復刻版です。HD414は世界初のオープンエアータイプとして1967年に発売された機種で、知る人ぞ知る機種。これもまた某ヘッドホン読本の表紙になっているそうです。
見た目はチープですが装着感が良く、自然で聞きやすい音です。ローはあまり出ず軽めですが、オープンタイプで外の音も自然に聞こえるので、ラジオの出演者用や、レコーディングでは演奏者のモニター用としてもよく使用されています。音漏れがマイクにかぶりやすいんですけどね…。
スポンジのイヤーパッドは交換部品が入手しやすいので、今でもよく使っています。
一度、妻に貸してからは、「このヘッドホン良いね」ということで、ほとんど妻専用になっています。

HD414は現在はもう買えないのですが、一度使うと欲しいと仰る方が多くて、譲ってほしいという話もけっこうあったのですが、私も気に入っているので何度かお断りしました。
どうしても欲しい方にはこちら↓のHMD410-6をおすすめしています。(何人か購入され、端子を付けてあげました)
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テレビのスポーツ中継などでアナウンサーや解説者がつけているやつです。

厳密にはHD414ではなく、同じく廃盤のHD410にマイクが付いたヘッドセットだと思われますが、新品で入手できる中では最もHD414に近い機種です。
HD414と比べると、HMD410-6は業務用として販売されているので価格は高いのですが(定価5万)、ラジオDJさんやアーティストさんにはマイクも付いているほうが便利かも。。
HMEはまだマシですがHMDはちょっと鼻声になりますけどね…。

余談ですが、ヘッドウォーンマイクはCOUNTRYMANのISOMAX Headsetがとても良いです。ラジオ時代はよく使いました。(ただ、試しに付けてみたら私の頭には小さすぎてすごく痛かったですけど…)


と言うわけで、色々なヘッドホンをご紹介しましたが、全て私個人の感想ですので参考にはならないかもしれません。ヘッドホンは「慣れ」でも大きく変わるので、音質の感想は人それぞれです。
長い間、HD25-1を越えるヘッドホンを発見できていないので、皆様のおすすめヘッドホンを教えていただけるとうれしいです。

それから、インイヤーのタイプ(カナルタイプ)は、ヘッドホンステレオ用としてソニーの機種をよく使っているのですが、最近流行の海外製品などは試したことがないので良く知りません。こちらも皆様のおすすめヘッドホンを教えていただけるとうれしいです。なんとかリサーチ社のんが良いとか?!

あ、HD25-1Ⅱの事を書くのを忘れました。。
おすすめヘッドホン (その1)
えーと、またVTRのネタはちょっとお休みで、今日はヘッドホンのお話です。

仕事柄ヘッドホンをよく使いますが、ヘッドホンをしているとクライアントさんなどから「おすすめのヘッドホン」を教えてほしいというお話をよく伺います。

十中八九、音楽鑑賞用のヘッドホンをお探しだと思うのですが、私たちが収録現場や編集で使うヘッドホンはどちらか言うとモニター用途向けが多いので、音楽観賞用として使うにはちょっと不便なところもあったりします。
また音楽観賞用のヘッドホンは、音質はもちろんのこと通勤中に使いたい方は音漏れの少なさ、また長時間使いたい方は装着感を第一に選択されたり。それぞれ重視するポイントが違うのでなかなか難しいですね。

しかし、「おすすめはありません」「ご自分でお好きなものを探してください」と言ってしまっては面白くないので、お仕事で使っているヘッドホンではありますが、個人的なおすすめをば。
(音楽観賞用は数が多すぎてよく分かりません…)

まずは弊社の収録現場で最もよく使っているのがこの2つ。
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ゼンハイザーのHD25-1(ドイツ製時代のもの)とソニーのMDR-7506です。

■HD25-1(ゼンハイザー)の特徴  (私個人の感想です)
(ドイツ製時代のHD25-1です)
HD25-1は片耳モニター機能などの特徴から、DJ用などと分類されて販売されていましたが、音量を大きくしなくても音質や解像度が非常に良く、セリフ収録だけではなく様々なジャンルの音楽ミックスにも使えます。

例えばオーケストラで全ての楽器が鳴っている中で特定の楽器の旋律を追えたり、他のヘッドホンではボケてしまうような音でもバランスの良いモニターが出来ます。ノイズやソースの良し悪しもはっきり聞こえてしまいますが、個人的には鑑賞用にも良いと思っています。

装着感は側圧が強めで耳たぶを潰す形になるので、長時間使うと耳が痛くなることがありますが、遮音性能は密閉型ヘッドホンの中でも高いほうです。
ただ、ヘッドホン自体の音質に強いクセがないためか、ライブ会場内などで収録用ミックスを作ったりする場合など、条件によっては外からの音とヘッドホンで鳴っている音の区別が付きにくくなることがあります。そんな時は音量を上げたり、音量を絞りきって外から入ってくる音を聞いたり、ヘッドホンを外して状況もよく確認しておかないと、ローが不足がちの収録ミックスになっちゃったりすることがあります…。
まあ、どのヘッドホンでも言えることですが…。

また、コードはスチールワイヤー入りで頑強ですが、ストレートで長さが1.5mしかないので大型卓で使う際はヘッドホン用の延長コードがないと困ります。端子はL字のステレオミニプラグ(標準変換付属)です。
ユニット、イヤーパッド、ケーブル、ヘッドバンド、ヘッドクッションはそれぞれ部品としても買えます。イヤーパッド(\3,000-)は2年程度で交換している感じです。

HD25-1にはいくつかのバージョンがあるらしく、1980年代後半から1997年頃まではドイツ製、正確には分かりませんが1999年前後からはアイルランド製に変わっています。ドイツ製とアイルランド製では全く音質が違い、ドイツ製ではミッド~ミッドハイにメリハリがあってとても聞きやすいのですが、アイルランド製はドンシャリで音量を上げないとディテールが聞こえず、さらに歪みっぽくなっている気がします。
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個人的にはドイツ製時代のものに慣れているので、アイルランド製のHD25-1には違和感を感じます。初めてアイルランド製のHD25-1を聞いた時は完全に別物だと感じました…。

HD25-1を使い出したのはけっこう昔で、高校生の頃、地元の県域FMラジオ局に(当時、高校生が企画・制作・出演する番組があって)出入りしていた1993年、モニター用として良いヘッドホンが欲しくてエンジニアさんに質問したりしていたんですが、当時勧められたのはAKGの確かK270 Playbackという機種。しかし実際に聞かせてもらうとかなり大きな音量を出さないとバランスが良くないと感じたので結局買わず、少しして秋葉原に行った際にヘッドホンが100台ほど試聴できる店に行って時間をかけて選んだのがHD25-1でした。
小一からピアノを習っていたり音楽をよく聞いていたので耳が鍛えられていたのかもしれませんが、今考えるとほとんど何の予備知識も無いままよくこの機種を選んだもんだと思います。
数年後に、HD25-1が国内のある放送局でロケ用標準モニターやMA室用の標準ヘッドホンとしても使われていることを知り、時間をかけて選んだ意味があったなぁと思いました。

仕事でも使うようになって13年経ちますが、今でも最も信頼できるヘッドホンとして使い続けています。(現在は後継のHD25-1Ⅱも)

(後継のHD25-1Ⅱについては別の機会に)


■MDR-7506 (ソニー)の特徴  (私個人の感想です)
元は海外向けに販売されていた機種ですが、国内販売される以前から国内の一部の放送局では標準機として使用されており、数年前からは国内でも販売されています。音質傾向を簡単に表現すると音楽スタジオ用として有名なソニーの「CD-900ST」の強いハイを削ってソフトにした感じです。
ソニーのMDR-Zシリーズのように多少艶っぽい音になりますが、ハウジングが金属製なのでMDR-Z600などの樹脂製ハウジングのような変な鳴りがありません。
HD25-1と比べると原音とは明らかに違った音質で(少しだけ艶っぽく)鳴ってくれるので、ロケの声録りでは生音との違いを識別しやすく、弊社でもここ数年でよく使うようになりました。
現場での音楽ミックスにはあまり使った事がありませんが、音楽ミックスにも問題なく対応できる機種だと思います。

ある放送局のエンジニアさんから勧められて購入したのですが、購入前に聞かせていただいたのと新品購入したものではかなり音が違いました。酷使するとかなり音質が落ちる(歪んで濁る)ようですので、あやしいなぁと感じた時はユニット交換なり買い替えを検討したほうが良いと思います。イヤーパッドは交換部品が売られています。

3mほどのカールコードがついており、ステレオミニプラグとねじ込みの標準変換が付属してきます。
比較的ローの薄い軽めな音ですが、価格帯性能のバランスは良いと思います。


まだ他にも色々な機種があるのですが、長くなるのでまた次回。。
ひさしぶりのステディカム (STEADICAM JR. )
さて、VTRのネタは1回お休みで、今回はSTEADICAM(ステディカム)です。

ご存知の方も多いと思いますが、ステディカムというのは移動撮影に使う機材で、やじろべえの原理でカメラを保持する事で、歩いたり走ったりしながらでもブレの無い安定した映像を撮影することができます。けっこう慣れないと思い通りには撮れないですけど…。

原理が単純なので、今では色々なメーカーから似たような製品が数多く販売されていますが、私が持っているのはハンドヘルドカメラ用の機種で、「STEADICAM JR.」というものです。(シネマプロダクツ社時代のもの)
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小型カメラ用ですが、撮れる映像は大型カメラ用と大して変わりません。

移動撮影用の機材は、古くからレールやドアウェイドリー(ゴムタイヤで方向ハンドルの付いた台車のような形のもの)、パンサードリーなどが使われてきました。
レールは直線、円や円弧など正確な動きを何度でも再現できますが、物量が多くて設営に人員がたくさん必要なうえに微調整が大変だったり、レールが写ってしまうので地面を写せないという欠点があります。またドリーはレールと比べるとけっこう自由が利きますが、段差は通過できません。また、地面に凹凸があると揺れてしまうという欠点があります。

一方、ステディカムはレールやドリーでは不可能な人ごみの中や階段の移動など、人が歩ける場所であればほぼどこでも使用できます。レールやドリーが得意とするゆっくりとした重厚な動きには向きませんが、機敏な方向転換や浮遊するような移動感覚は他ではなかなか得られません。
人や車の往来がある場所を出演者を追従しながら縦横無尽に移動したり、クレーンが入れない屋内の階段での移動ショットなどではステディカム以外に選択肢はありません。
また、床や地面がレールやドリー、クレーンの重量に耐えられないような場合もステディカムの出番です。

(もちろん、ステディカムは万能ではなく、レールやドリー、クレーンならではの良いところもあるので、適材適所で選択することが大事です)

ステディカムの使用例 (携帯電話会社のCM) (前半15秒)

この条件ではレールは写ってしまうので使えません。ドリーでは歩道と車道の段差(スロープ)でNG。大型のクレーンでは電柱があるので動きとして無理があります。(クレーンのベース部分にレールを敷くような超大掛かりな方法をとれば可能かもしれませんが、実際の街中では無理でしょう)(12秒あたりのところで並んでいる人たちの隙間を通るところがありますが、モーションコントロールのリモートヘッド付きクレーンだったとしても危険です)
この条件はまさにステディカムの独壇場。 通常、ステディカムは抑えようとしたらもっと安定するもんなんですが、このシリーズCMでは演出としてわざと揺れを残している感じもありますね。


何年か前、某大晦日の歌番組で歌手の周りをぐるーっと回った後、カメラケーブルがひっかかってマイクスタンドが倒れた事件がありましたが、そういえば、あれもステ○ィカムでしたね…。

ステディカムの発祥は1973年にアメリカのカメラマン、ギャレット・ブラウンが不整地や群衆の中で安定した撮影をするために作った「ブラウンスタビライザー」。
当時、ブラウン氏(写真左)は錆付いたレールと重い台車を使った撮影が苦痛だったんだとか。
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(c) www.garrettbrown.com

翌1974年にシネマプロダクツ社が権利を買い取って「ステディカム」と命名。その後、1975年の「マラソンマン」、1976年の「ロッキー」、1978年の「シャイニング」などで使用され、1978年にはブラウン氏とシネマプロダクツ社がテクニカルオスカーを受賞、以後、ステディカムは映画やテレビなどで幅広く使用されるようになりました。
2000年にTiffen(アメリカを代表する写真用品メーカー)がステディカムの権利を買い取り、現在はTiffenが開発と販売を継続しています。
またブラウン氏は、ステディカムの他にも(日本ではコンサートやスポーツ中継などでも使用されている)「スカイカム」など様々な機材を開発しています。ブラウン氏は2008年にカメラマンを引退したそうです。

(ステディカムの歴史については以下を参照しました)
INTERNET ENCYCLOPEDIA OF CINEMATOGRAPHERS (NED)
The Irish Film & Television Network (IRL)


さて、私が持っているSTEADICAM JR.ですが、何を隠そう、高校生の時、16年前に購入したものです。 説明書は英語版しかなく、当時はがんばって読みました。(笑)

16年も前、しかも高校生の時に大枚をはたいてステディカムを買ったなんて…。いまさらながら、自分でもちょっと笑ってしまいます…。

ステディカムは現在も使用するカメラの大きさなどにあわせて様々な機種が販売されていますが、原理は同じですから、古いJR.でも乗せるカメラさえ新しいものにしてしまえば全く問題なし。
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もう何年も使っていなかったんですが、今度、とある仕事で「隠し球で使ってみようかな~!?」と思い立って、HDVの小型カメラ(HDR-HC1)を乗せてみました。
(使わないSTEADICAM JR.本体の液晶が開いてしまわないように輪ゴムで止めて、HC1にはクイックシューも挿んでいます。HC1は底面をフリーにしないとテープ交換が…)

16年前に買ったJR.ですが、一番大事なジンバル部分のパーツは現行品と同じようです。
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(左)現行のSTEADICAM MERLIN  (右)STEADICAM JR.

新しいのを買わなくてもOKみたいですね。(^^♪


さて、ひとつ問題が…。

大型用では重量の関係で標準仕様でセットになっているものの、購入した当時、小型カメラ用ではアームベスト(上半身に装着してステディカムを支えるサポートアームが付いてるやつ)が無かったので(たぶん)、STEADICAM JR.では全重量が手首と腕にかかります。

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16年前と比べ、カメラは軽くなっているはずなのに、昔より重いのです。
(個人の感想です)

調整のために持っていても、だるくなるのが早いです…。うーむ。

まあ、できるだけ大げさにしたくないんで、ベストが無きゃダメだとは思わないんですけどね。今回はステディカム撮影がメインじゃないんで、手持ちでエクストラをちょっとだけ撮ろうかな~。(消極的な逃げ…)


17歳の時の握力が(右)54kgで、20歳の時が(右)43kg、平均的な数値らしいですが、17歳から20歳までに11kgも低下しています。一年でおよそ3.7kg減。 ということは、32歳の現在の握力は「-1kg」という事に…。(あほか)

しかし、確実に握力は減り、体重は増え、体重は増え…。
16年て恐ろしい…。
AudinateのDanteとは?? 気になったので調べてみました。
先日のサウンドフェスタ2009で展示されていたオーストラリアのAudinate社のDanteですが、ほとんど情報が無かったので調べてみました。
ネットワークオーディオ規格の備忘録を兼ねてたりして…

多チャンネル音声伝送用のデジタル規格では、同軸ケーブル(または光ケーブル)を使用するMADIという規格が1990年代前半からありましたが、(最近になってまた注目されていますが)以前は値段の高いメーカーの製品で採用されていた例が多かったためか、それほど目にする事はありませんでした。
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(c)STUDER

LANケーブルを使用して非圧縮の音声を伝送できる規格としては、古くからあるものとしては10年ほど前、アンプメーカーのQSCが発売した「RAVE」というものがありました。当時は大規模施設などでのアンプへの音声伝送用や制御用(RS232経由のAUXデータ利用)として紹介されていた記憶がありますが、これは現在の「CobraNet」と同じプロトコルなんだそうです。(今回調べるまで別の物だと思っていました)
CobraNetでは100Mbpsの回線で20bit、fs=48kHzの音声が64ch伝送できます。

また、CobraNetと同様に有名な「EtherSound」はフランスのDigigram社が開発した規格で、オーディオパケットが一体化されているためディレイが少なく同期した伝送が可能。また、機器やデータレートによって制限がありますが、FS=48kHz、96kHz、192kHzなど異なるサンプルレートの音声データを伝送できるという特徴があるんだそうです。伝送チャネル数に関わらず、常に一定のパケットが流れるのはそのための特徴ではありますが、ネットワーク機器に対する要求が高くなったり、スループットの良くないネットワークでは使えないなど多少柔軟性には欠けるところもあるかも…。
EtherSoundは1Gbpsの規格(ES-Giga)だと24bit、fs=48kHzで双方向256ch(計512ch)までの伝送が可能なんだとか。(RS-232のAUXデータも相互伝送可能)
EtherSoundに1Gbpsの規格があったとはこれまた知りませんでした…(笑)
512chて…。オリンピックくらいでしか使わないんじゃ…。

初期はやはり設備系での採用が多く、PAやSR、その他ライブや放送番組の収録用途など、あまり仮設現場で使っている例は多くはなかったと思うのですが、デジタルミキサーなどにダイレクトに接続できるボードやリモート操作対応のHA(マイクアンプ)、PC用のボードが発売されてからは、従来のアナログマルチケーブルに取って変わる存在として徐々に認知されつつありますね。


デジタル伝送では、従来のアナログマルチケーブル(特にステージ関係)で高い頻度で悩まされる電源系統などからの電磁誘導ノイズが乗らず、長距離でも信号減衰による周波数特性の劣化もありません。  いいよなあ~。
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(c)Sharaku Corp.

アナログマルチケーブルでは、経路の都合で照明用電源ケーブルと近接して平行したり、ついでに仮設のサイリスタ調光器の横を通ったりなんかするとそれはもう大変です…(泣)


また、ケーブルが細いLANケーブル(または変換して光ケーブル)なので、従来のぶっといアナログマルチケーブルと比べると敷設・撤収がはるかに楽になるメリットもあります。
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(c) Cirrus Logic, Inc.

ただ、CobraNetやEtherSoundの機器は少々値段がお高いので、単純にアナログマルチケーブルの代わりという感覚で購入するのはかなり微妙なところがありました。 (個人の感想です)
また、番組収録などの現場では8chマルチをわりと短距離で使ったり継ぎ足して延長したり、または2本引いて8ch+8chとして使うなど運用形態が様々なので、なかなか用途に合うデジタルスネークはありませんでした。

各社、全体的に値段の高いものが多いデジタルスネークですが、(先日の記事にも書いた)ローランドの「REAC」規格では、現在は16chセンド、8chリターンの小型タイプが販売されていて、100mケーブルとHAリモコンなどを含めても35万円ほどで導入できるので、チャネル数が足りる場合は他に比べてお手ごろです。
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(c)ROLAND

ただ、他のメーカーの製品にも言えることですが、必要な場合は専用ケーブルを使ってでもステージボックス側にAC電源が無くても使える仕様にして欲しいですね。LANケーブルと電源ケーブルを長く2本引くのもスマートではないし(ACを長くひくということは必ず継ぎ手ができるわけですからそこが心配)、また、何よりステージや屋外ではステージボックス用に安心できる電源を確保するのは容易ではないのです。「雑電」しかなかったり、電源だけ経路が別でややこしくなったり…。
ステージの場合、シンセやギター・ベースアンプ用の電源があるような時は良いと思いますが、例えば屋外やクラシックコンサートなどの場合「従来は必要なかったはず」の電源が必要になるわけですから、説明やらお願いやら色々手間が増えてしまいます。 それより何より、目の届かない場所での不慮の電源断が心配ですね。

一部の海外メーカーや放送局の音声中継車のシステムでは、カメラ用の(電源ケーブル複合の)光ケーブルなんかを使って出先に給電しているところもあるんですが、光とはいかなくても、AC電源とLANの抱き合わせケーブルとかは作れないもんなんでしょうか??


さてさて、また話が大きく逸れましたが、AudinateのDanteです。
Audinate社のサイトで登録すると、スライドショー形式でのデモが見られました。

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(c)Audinate

まず、機能的には従来からあるLANケーブルを使った伝送規格とそれほど違いは無いようですが、100Mbpsでも1Gbpsでも伝送チャネル数がちょっと少ないですね。
これには理由があって、Danteでは帯域に余裕を持たせる事によって、ある程度スループットの良くないLAN環境にも対応できるようになっているそうです。

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(c)Audinate

レイテンシーの設定はけっこう大雑把な感じ。
実際、どの程度のディレイが発生するかはよく分かりませんね。

既設のLANに相乗りできるとありますが、スループットがあまり良くない場合など、状況を数値で把握する方法はあるんでしょうか? またはネットワークに他の大きな負荷がかかった場合はどうなるんでしょう…。
やはり安心のためにも相乗りは基本的にしないほうが良いですよね。

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(c)Sharaku Corp.

従来規格より圧倒的に低価格にも関わらず、STPやRSTPにも対応。ミキサー用のプラグインボードではプライマリとセカンダリの2つのLANポートがあり、冗長性も考慮されているようです。

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(c)Audinate

しかし、RSTPを搭載していてもリアルタイムの音声伝送用としては万が一の場合に瞬断する可能性はあると思いますが、リンクアグリゲーションも搭載している模様。
必ず伝送路を二重にしておく必要が出てはきますが、Danteボードのリンクアグリゲーションがどのように動作するのかは気になるところです。

また、PCでサウンドデバイスとして認識するためのドライバ(PC/MAC対応)が提供される模様。収録用の分配なども簡単そうです。

Danteボードの冗長機能とは関係ありませんが、ある程度ネットワークの性能に対して許容幅があるようなので、機会があればVPNやワイヤレスLANでもテストしてみたいですね。チャネル数が少なかったら使える可能性があるかも。

さらに、Danteでは導入(設定)が簡単であることも大きなセールスポイントのようです。従来のネットワークオーディオでは「設定が面倒で分かりにくい」「トラブルでノイズが乗る」といったものがありましたが、そういった点が解消されていると良いですね。

さて、このAudinateのDante。従来規格と比べると低価格なようですが、実際の機能・性能はどんな感じでしょう。また、どんな展開をして行くのか興味深いところです。

ヤマハのミキサー用のボードはいつごろ発売になるでしょう。MY16-ATくらいの、実売4万円強が理想的ですね~。
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