大阪の映像制作・制作技術会社 (株)写楽の社長 木内の気ままなブログです。                    (文章や写真を引用される場合はご連絡ください)
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屋外サラウンド収録のテスト~
お仕事が忙しくて全く更新できていませんでした。

今日はサラウンド収録の話です。(DAWのレポートは次回で~)


さて、ホールでのコンサートやライブでは5.1chサラウンドでの収録とMAは何度かやったことがありましたが、屋外でサラウンド収録したことがない! ということでちょっと実験してきました。

放送局の知人はドキュメンタリーのサラウンドロケでショップスのマイクをIRTクロスで録ったとのことでしたが、そんな高級マイクは持ってないので「あるもん」でいろいろやってみる事にしました。
モニターはヘッドホンで、フロントL/R、センター、リアL/Rを、L/C/Rに定位させてモニターMIXで確認。

まず初め、なるべく手軽にということでリアにステレオマイクを使ってみました。
20100801-1.jpg
AE5100×2、ATM57×1、AT825×1

ステレオの時と比べると、(センターとの分離に配慮して)フロントL/Rの角度が少し広くなりました。


その他、指向性の強いマイクを使うとどうなる? 角度は? 
20100801-2.jpg
MKH-816P×2、ATM57×1、AT815b×2

20100801-3.jpg

指向性の強すぎるマイクで5ch収録すると、それぞれで録れている音がかなり違っていて移動感や音の繋がりが悪くなる感じ。

416を5本使うサラウンド収録の記事がよく技術誌に出ていたりしますが、あれは巨大な滝など単一指向ではあまり音が違わないような音源とかに向いているんだと思います。

屋外ではIRTクロスで録る場合がけっこう多いそうですが、試行可能な場合にはセオリーにとらわれず、音源や録りたいイメージに合うようにマイクや角度は適宜変えたほうが良いと思いました。
IRTクロスはお手軽ではありますが、屋外ロケでは音源に追従してフロントを少し上・下に向けた場合など、リアが変な方向に向いてしまうので好ましくないこともたまにあるようです。


それと7.1ch用の7ch収録の実験も。
20100801-4.jpg
AE5100×2、MKH-816P×1、AT815b×2、AT825

20100801-5.jpg

7chともなると被ってばっかりでは分離が悪くなりそうだったので指向性マイクを居り混ぜてみました(笑)


今回のレコーダーは超お手軽なZOOMのR16です。
20100801-6.jpg

単3電池も入れておきましたが、DC12V→5Vの変換でIDXのEnduraで駆動。恐らく1日中使えます。

R16はファンタムが2chぶんしかないので、電池駆動可能なマイクは電池で、他はWENDTのNGS-X3をファンタムとHAとして使いました。収録チャネルの並びが変なのはファンタム供給の兼ね合いです。

ゲインが必要なサウンドスケープ収録ではR16のHAではさすがに厳しいですが、外部HAを使えばOKな感じ。


環境音収録ではマイクやHAのS/Nがけっこう大事です。音源にもよりますが、小さな音の場合はS/Nが70dB程度のマイクではそこそこノイズが目立ちますから、S/Nの良いマイクがおすすめ。

スタジオ用のラージコンデンサーは安いものでもS/Nが良いものが多いですが、風と湿気にはめっぽう弱いので屋外運用はけっこう難しいです。風防を外して録れるのは完全に無風の時だけ。
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個人的には音質の良いラージダイヤフラムのマイクで屋外サラウンド収録をやってみたいところですが、風対策や足場の悪い場所への徒歩移動は大変。
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不整地ではマイクスタンドではなくて写真用の三脚の方が使いやすいです。
あとはゲインがかなり上がっていると息を殺すにも限界があるのでマルチケーブルで延長した方が楽だと思いました。


ラージで5本は大変ですが、今回の実験で2本使ったオーディオテクニカのAE5100が良かった(ラージと比べると若干ディテールが整理される傾向ですが)ので、コスト的にも機動性としてもAE5100を増やすのが良さそうだと思いました。

http://www.audio-technica.co.jp/proaudio/instrument/ae5100/ae5100.html
なんかドラム用マイクみたいな紹介ですが、サウンドスケープ用としても良かったですよ!

XYのステレオマイクは手軽なのでよく使っていましたが、音源によって角度を変えたりできないのでけっこう制約があります。BP4025にも興味があるんですが、自由度の高いAE5100かな。
それと、MSマイクは定位がはっきりしすぎるのでロケでは嫌いです。ドラムトップや近距離で使うCMS-2は好きですけど、USM-69はXYにする派。


というわけで、屋外サラウンドのテスト収録でした~。


映像制作/音響制作/制作技術
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USTREAMで生放送のテスト
みなさまGWはいかがお過ごしですか? 私は毎年恒例でお仕事です。


さて、この忙しい最中にやらんでも…とは思ったんですが、「疑問点を残したまま放置しない」という私自身の方針のもと(笑)、以前から気になっていたUSTREAMのテストをしました。

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私がインターネットを始めたのが1996年。当時は14.4kbpsのアナログモデムで、インターネットの家庭への普及率は1~2%。まだ多くの人がインターネットを知らない時代でした。

また、私とインターネット映像配信の繋がりは古くて、1998年頃には56kbpsのストリーミング映像中継でカメラマンをしたことがあります。とても小さい画像サイズでフレームレートも低かったので、見やすいように色々と考えて工夫した記憶があります。

その後、放送番組やVP制作などと並行して黎明期のインターネットストリーミング中継や映像を用いたEラーニングコンテンツ制作の仕事を色々と経験しました。

CD-ROMへ映像収録する場合やISDN回線経由など、パソコン用ビデオの画質が悪かった時代、見やすい撮り方や編集の間合い、圧縮エンコーダーの設定や音声レベルなど、ずいぶん研究して努力してきました。当時は同じ方式でも設定が各社各様で、画質や音質の優劣の差がとても大きかった時代でした。

現在でもインターネットストリーミングでは放送規格や番組交換基準のような運用上の統一基準が存在していませんが、視聴環境の調査を含めた黎明期からのノウハウの蓄積は今でも役に立つことが多いです。
基本的に弊社の運用基準は公開していませんが、個人的な関係がもとで、某放送局さんのWeb映像配信の運用規定として弊社の運用基準の一部を採用していただいています。(技術的には大した内容ではないですけどねw)

また、IP伝送がサービスとして提供され放送局での使用が一般化する以前、ライブストリーミングをラジオ(地上波)の生特番の伝送(中継先→受けスタジオ)の予備予備回線として利用した事があります。
(メインはスタジオと中継先での掛け合いが可能なNTTの臨時専用回線を使用する中継用の音声コーデックを使用しましたが、場所の関係で臨電の回線状況が安定しない場合はバッファーが長いぶんWME経由のほうが一方向の伝送路としては安定していた事もありました)

その後、ADSLが一般的になり、WindowsMediaやFLASHなどで映像とデータをリンクさせたりする複雑なエンコードが出来るようになってきた頃から映像制作会社と専門のWeb制作会社が分業するようになったように思いますが、画質に関わるエンコーダーの設定は、現在でも映像制作会社のほうがノウハウを持っている場合が多いですね。

ただ、映像ファイル圧縮のノウハウは、一般的なプロの映像制作現場の技術だけではカバーできない要素がけっこう重要なので、現在でも映像制作会社によってエンコードの得手不得手の差は大きいようです。うちは得意ですよw


現在では携帯電話でも動画は珍しくなく、YouTubeやVimeoでインターネット動画はHDが当たり前になっています。
また同時再生数や転送量が莫大でなければ、専用の映像配信サーバーを使わなくても自社サイトに映像ファイルを置くだけで映像配信が可能です。

しかし、実はごく最近まで「生放送」となるとちょっと敷居が高かったんです。

ごく簡単に説明すると、WindowsMediaEncoder(マイクロソフトが配布している無料エンコードソフト)では、設定次第でエンコードしているPCからインターネット経由で直接生放送が出来るんですが、映像入力に使えるキャプチャデバイスが限られていたり、WindowsMediaServer(配信サーバー)を経由させないと同時に多数の視聴者には対応できない問題がありました。
また、リアルメディアでは接続数に応じたサーバー契約が必要で費用がかさむデメリットかありました。

インターネットで映像の「生放送」をしようとした場合、どうしても配信サーバーが必要になるんです。

無料のサービスでは配信トラブルがあってもいつ会社が消えてなくなっても文句は言えないので(笑)基本的にお仕事ベースでは使えませんが、無料ではなくリーズナブルな価格で業務にも使える有料配信サーバーはこれまでほとんど存在していなかったので、USTREAMの登場はライブストリーミングの業界に変革をもたらすかもしれません。ニコ動も同様ですね。


というわけで、USTREAMでどの程度の生放送ができるのか実験してみました。

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…今日の収録現場への出発時刻が迫ってきたので端的に書きます =3

USTREAMのアカウントを登録。
パソコンにAdobeが無料配布しているFlash Media Live Encoder(Win/Mac向け両方あり。以下FMLE)をインストール。

USTREAMの画面からサーバー設定のxmlをダウンロードしてFMLEでプロファイルを読み込みます。
ごく簡単な設定で配信サーバー(Flash Media Server)への接続が出来ました。

配信映像のサイズやビットレートはFMLE側の設定が優先されます。
今回はH.264ではなく、より多くの人が視聴しやすいVP6で色々なサイズ、ビットレート、画面アスペクトのテストしました。

色々テストしつつ、最長で連続3時間ほど継続しましたが、一時的にコマ落ちが発生したものの、適切な画像サイズやビットレートに設定していればリンク切れや接続のリセットは起こりませんでした。配信サーバーの状況にもよると思いますが、安定していますね。

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さすが圧縮効率の良いVP6。同じビットレートでも他のコーデックより見た目が良いです。

WindowsMediaではライブストリーミングで一度も切れたりしていないのにいつの間にかディレイが増大していって1分以上になることがありましたが、今回、Flash videoのライブストリーミング配信で確認できたのは数秒から10秒程度のディレイでした。


そして、私にとってはここが必須の部分ですが、USTREAMではFMLEが認識するビデオキャプチャデバイスを使用すれば、WebカメラやUSBカメラだけでなく、外部から入力した映像と音声を配信できます。WMEより対応できるキャプチャデバイスが多いようですね。

弊社のような映像制作の制作技術会社が関われば、マルチカメラのスイッチング映像(テロップ付き)とミキサーからの音声入力で、放送番組のような生放送が可能になります。

実際の配信映像。設定次第ではけっこう綺麗です。
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(圧縮による映像の破綻やコマ落ちを確認する動くカラーバー)

映像はH.264かVP6、音声はmp3だとステレオにしてサンプリング周波数やビットレートも自由に設定できるので、音楽ライブなどの映像配信で音質を重視したりする事も可能です。

低予算でのイベント中継や、長時間の学会などの中継に便利そうですね。
同時接続クライアント数や利用時間帯による安定性など、さらに確認と検証を続けて行こうと思っています。

ライブストリーミング放送も(方式を問わず)弊社におまかせあれ!


映像制作/音響制作/制作技術
株式会社 写楽 www.sha-raku.co.jp



5/7追記。

翌日、H.264による試験放送を連続6時間行ないました。
一度も切れず、問題は何も起こりませんでした。

Flash Media Live Encoder、Flash Media Serverともに安定しています。

USTREAMスバラシイですね。
音楽ライブでカメラのアラーム音…
プロンプター撮影で高知に行ってきました。

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うちの会社ではプロンプターを自社所有しているんですが、全国的に見ても他の撮影技術会社さんではほとんど持っていらっしゃらないので、プロンプター撮影でも全国各地からご依頼をいただいています。(沖縄だけはまだないんですけどね)


今回は瀬戸大橋経由で四国入り、大阪から高知の目的地まで380kmほどでした。普段なら阪神高速の水走から高知まで、片道の高速代が1万円を軽く越えるところですが、ETC割引で行きは6,000円以下。帰りは祝日(12/23)だったので、なんと\1,480(高知~中国道池田まで)と\700(阪神高速)でした。 遠距離だとETCの祝休日割引は大きいですね。

淡路島経由で四国入りして徳島道に乗り換えたほうが距離的には少し短かったかも知れませんが、徳島道が2車線の対面通行という話を聞いていたので瀬戸大橋経由にしました。


対面通行しかないところでは仕方ありませんが、少し前に知人から教えてもらったドライブレコーダーの映像(対向車線から車が飛んできて直撃する実際の事故。事故は02分00秒あたり)をYouTube見て以来、なるべく高速の対面通行は避けたいなあ…と思うようになりました。
衝撃ですね…この映像。


撮影終了後、クライアントさんに高知の海の幸とお酒をたくさんご馳走になりました。M社長様、ご馳走様でした。


今回のお土産はこちら。
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さぬきうどんと生そば、母恵夢の塩大福。うどんとそばはまだ食べていませんが、この塩大福はなかなかの美味でした。


高知からの帰り、いったん会社に戻ろうと思っていたんですが、他のスタッフと解散した後、機材を積んだロケ車のまま大阪市内で行なわれたライブに直行しました。お仕事ではなくて完全オフです。

個人的に、お仕事以外でライブに行くっていうのはだいぶ久しぶり。大阪~高知の往復で2日で800km近く運転していてお疲れモードではありましたが、せっかくチケットが取れていたので行ってきました。
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かなり前から好きだったアーティストの久しぶりの大阪ライブだったんですが、LIVE RECORDING SESSIONと銘打ったライブで、(単にライブをそのまま収録するというわけではなくて)ライブの中でレコーディングをしてみようという企画。どんなふうにするんだろうと興味津々でした。

ライブはサポートのアコギのギタリストが一人、アーティスト本人は歌の他に曲によってアコギやハーモニカも弾くというアコースティックライブでした。

ライブハウスは約120名収容。お仕事ではなくプライベートで行ったので、機材は遠巻きに見える範囲で確認してきました。 一般的な機種は遠巻きに見ただけでも型番は分かりますから、ジロジロ見てきたわけではないです(笑)。
映像と音響機材の両分野が分かるっていう方はそれほど多くないかもしれませんが、私の場合は仕事柄です。


FOH卓はM7CL(モニ卓兼用)でFOHのスピーカーはd&b、マルチ録りはPTだったようです。
それと、舞台関係の効果照明のことは詳しくないんですが、最近はLEDのムービングライトもけっこう使われているんですね。

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(M7CLの写真は別の仕事現場で撮影したものです)

私の座席は前から4列目のややカミテの位置。FOHのスピーカーから若干近かったせいか、SRのボーカルリバーブはLF成分を(HPFで)もう少し削ったほうが自然かなあ(贅沢言えばもっと良いリバーブのエフェクターを…)と少し感じつつも、全体的には聞きやすいミックスでライブを満喫してきました。

マイクはボーカルが綺麗に録れているなあと思ったらKMS104かKMS105。
(両機種はカーディオイドとスーパーカーディオイドの指向性違い。客席から見ただけでは外見が同じなので確認できませんでしたが、音を聞いている感じではけっこう狭い感じだったのでKMS105かな?)

ノイマンがKMS104や105を出す以前、個人的にはBETA57AやAT4054、4055が好きで、ライブ収録となるとボーカル用によく持っていって(ボーカルマイクに特にこだわりを持っていないアーティストさんに)提案していましたが(笑)、KMS104やKMS105は私も欲しいマイクの一つです。
多少離れてもすぐにBETA87Aのような細いハイ上がりにならず、C535EBのようなサ行の濁りも出にくい感じ。4054をDAWできっちり処理したような音がいとも簡単に出るような印象で、また感覚的にですがハンドタイプのコンデンサーの中では指向性が狭いこともあってハウリング耐性が良さそうにも感じられました。

その他、アコギはピックアップと451(おそらく現行の451B)、アンビエントには414(LEDが点灯する現行バージョン)が2本立っていました。


ライブでは「レコーディングセッション」の時間が特別に設けられ、初披露の曲も含め途中で間違えると止まったり、P(プロデューサー)判断でリテイクがあったりと、聞いている側が手に汗握ってしまう公開レコーディングでした。

個人的には「リテイクだな」と思ったテイクがP判断でOKだったり、「良かった」と感じたテイクがP判断でリテイクになったり「感覚の違いって面白いなあ」と思っていました。
私自身は完全オフで行ったわけで、OK/NGの判断はしなくてよいんですが(笑)、やっぱりレコーディングしていると言われるといつのまにか仕事モードで聞いてしまいますよね(笑)。

でも、時間が押して仕方なかったのと、アーティストの負担軽減もあったと思うんですが、とりあえずテイク1ではちょっと間違えても途中で止めずに最後まで通しで聞かせて欲しかった…。
それと、曲中はPの指示ばかり気にせず、もっとオーディエンスのほうを見て(ちょっとこざかしい言い方をすれば、オーディエンスを信じて)歌ってくれればなあ…と、ちょっとだけ思いました。(それも演出だったのかな?)


その他、曲によっては歌詞カードが配布されていて、オーディエンスも何回か練習した後に部分的に一緒に歌ったり、即席で練習してアーティストとオーディエンスがハモったり。

女性のオーディエンスが多かったので(恥ずかしさもあって)私自身はなかなか声が出せませんでしたけど、懐かしい曲が聞けて嬉しかったし、楽しかったですね。

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しかし、個人的に不快感を感じてしまったのは(どこの誰だか知りませんが)ビデオ撮影の業者…。
ライブの本番中にカメラのプープー音(TAPE NEAR ENDまたはLOW BATTで鳴るカメラの警告音)が会場内に響き渡っていました。

音楽ライブ(しかもアコースティックライブ)の撮影でカメラのアラームボリュームを絞らずに、会場内でプープー鳴らしっぱなしっていうのはあまりにも無神経ですよね。


私も昔、同じ機種のカメラを使っていましたから、カメラ自体の問題ではなくカメラマンが警告音を絞っていないという人為的な問題だと断言しておきます。
カメラはBVW一体型でしたが、ベーカムの一体型はいまや捨て値で転がっていますから、実は不慣れな素人さんだったのかも知れません…。
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(同型機種の写真)アラーム音量と収録音声モニター音量のツマミ

2時間30分のライブをいまさらのベーカム一体型(最長30分テープ)と固定のPDを最後列のセンターに並べて撮るという選択もイマイチですが、カメラにXLRで音声入力をしておきながらプープー音が外に出るっていうことはイヤフォン確認もしていないっていうことですね。
マルチから外部にVTRを接続していたとしたらバッテリー警告だった可能性もありますが、長時間のライブをバッテリーのみで撮影するという選択も無い話です。

何れにせよタリー(ファインダー内とバックタリー)とアラームのLEDも点滅するわけですから、無人カメラだったとしてもアラーム音を鳴るようにしておく必然性は全く無いわけです。どうしてもアラームを音で聞きたいならイヤフォンでもつないでおくべきでしょう。


前から4列目に座っていた私が会場の最後方にあるカメラのプープー音(警告音)が気になって振り返ってしまったくらいですから、アラーム音量は意識的にけっこう大きくしてあったと思います。

アンビの414は私よりずっとカメラに近い位置にありましたから、しっかり拾っているでしょうね。

うちがもし撮影で入っていたらあり得ない事です。
まったく、とんでもない業者がいるもんで…。驚きですね。


完全オフで行ったのに、プープー音のせいでちょっと冷めちゃいました。

まあ、私の場合、ソニーの放送・業務用のカメラのアラームはいつも仕事中に聞いているわけですから、思わずドキッとしたというのもあります(笑)。


しかし、全体的にはオーディエンスも一緒になってレコーディングに参加していると感じることができる今回のLIVE RECORDING SESSIONはとても面白い企画だと思いました。

一体感を感じることができるこういうライブも良いですね。また行きたいです。

テレビの音量(地デジの音量)
また久々の更新です。
今日はテレビ放送の音量のネタです。

一週間ほど前、アメリカの議会で音量が大きすぎるCMを規制するという法案が出されていましたが、日本の放送でもCMの音量が大きいという状況は似ていますね。

アナログ放送の時代から「CMになると音量が大きすぎる」という一般の方からの質問や苦情は各局に寄せられていたと思います。ラジオ局員だった当時、私も電話対応で説明した記憶があります。
最近、私の周囲では、(エンジニアではない一般の方から)テレビがデジタルになってからはCMの音量のみならず「チャンネルによって番組が聞き取りにくい」とか「しょっちゅうリモコンで音量を変えている」という話が聞かれます。
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米議会でやかましいCMの規制法案が出されているというニュースを見た後、ネット上で検索してみると日本国内でも同じ疑問を感じている方は私の周囲だけでなくかなり多いようです。
ネット上のQ&Aサイトなどでは番組とCMの音量の差を「モノラル番組とステレオCMの違い」だとする回答があったりしましたが、完全に間違っているとまでは言えないものの、主な原因とはかけ離れていますね。


かなり昔、CMは「音量が大きいのも小さいのも広告の趣旨であり演出である」という観点から、放送局に納品されたCM素材は、基本的に搬入テープに記録されている基準レベル(1kHz=0VU)に合わせるだけで、本編の音量に応じての調整はしないのがお約束でした。
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※本来は基準レベルに合わせれば、CM本編も適切な音量になるはず…

しかし、広告効果を上げたいがために他より音量を大きくして目立とうとするCMが増え、みんなが負けじと対抗したためにCMの音量は全般的に大きくなってしまいました。

かなり以前から、国内の業界内でもCM音量の適正化を求める声が上がっていましたが、残念ながら浸透はしていないようです。
アメリカではCM音量を規制する法案が審議を待っている状況ですが、具体的にはどんな内容なんでしょうね。


さて、現在の国内のテレビ放送においてですが、基準に従って適切な音量で制作されている番組(番組にも色々ありますが)に対しCMの音量が大きすぎるため、多くの放送局が非公式にCMの音量を調整しています。

「これ、言っちゃって良いの?」ですが、どの程度、どのように調整しているかを関連団体や局側が代理店や制作会社などに公表している例は聞いたことがありませんが、CMが放送時に音量調整されている事は以前から業界紙などに掲載されてきた事ですので、周知の事実と言って問題はないと思います。
私が確認できる範囲では20年ほど前にはすでに行なわれており、放送局によっても対応は異なるようです。具体的には局内制作の番組を○dBアップする、CMは一律で○dBダウンする、収録レベルが○○dBを越えるものは不良素材として返品するなどの対応がとられています
…やっぱり詳しくは書けません。すいません。

しかし、ある程度調整されている現在でも「番組よりCMの音量が大きすぎる」という話はよく聞かれます。あらかじめ音量を調整されることを前提にCM納品の音量がさらに上がっていたり…という悪循環もあるかもしれませんね。


音量を確認する場合、これまでは主にVUメーターが用いられてきました。VUメーターは本来「音量感」を表示するとされるメーターなんですが、実際に音を聞いた時に感じる音量感、聴感上の音量は、スピーカーやヘッドホン、環境や聞く人の感覚によっても異なるので、VUメーターだけではなかなか判断しにくいのが実際です。
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VUメーターはもともと電話機の基準レベルを監視するために開発されたメーターで(Wikipediaより)、規格として「信号が発生してから正しいレベルを表示するまで0.3秒」かかるようになっています。言い変えれば「音が0.3秒持続していなければ正しいレベルは表示されない」ため、突発的な音に対しては正しいレベルを表示しません。

また、エンジニアによっては「VU計が振れにくいイコライジングやリミッティングをして音量を上げている」と言っている人もいるとおり、VU計はある程度小細工できてしまう側面もあります。(小細工すると音質は…ですけどね)

また、ピークメーター(PPM)はレコーダーや伝送路のクリップ(飽和)を確認するためのもので、収録などの際は必要不可欠な存在ですが、聴感上の音量を計るメーターとしてはあまり役に立ちません。(後述)
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その他、映画業界では予告篇の音量がやかましすぎるということで、聴感補正カーブが入った一定時間内の平均レベル「Leq(m)」を表示するラウドネスメーターの使用が推奨されています。
Leqについては色々と思うところがありますが、このメーターでは「突発的な大音量の前後に無音部分を作って測定値を下げる」という小細工がほとんどできないようなので良さそうですね。



さて、最近、近畿ローカルでは放送音量に関してちょっと変更があったりなかったり……。ということで、個人的に検証してみました。
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各チャンネルの色々な番組の音をデジタル接続(PCM)でDAWに収録しておき、傾向やピークを見てみたところ、なかなか興味深いサンプルがたくさんありました。

アナログ放送の時代は過変調で不要波を出さない(笑)ためにもペッタンコにしていたので、チャンネルの違いによる音量差はそれほどありませんでしたが、地デジでは各社、一部の局を除いては音量がバラバラでとても驚きました。
一つの放送局でもネット受けやローカル送出、生放送や完パケ番組、CMなど状況によって様々な音量の差が確認できました。

興味深いものがいろいろあったんですが、本物を公開する事は出来ないのでフリー音源を使って、ある状況を再現してみました。

左がピークメーター、右の上の段がVUメーター、右の下の段が先日紹介したPPMです(-20dBFS=「4」)
VUメーターの0VUが何dBFSに設定してあるかは、某あたらすぃ基準という事で…。

00m00s ネット受け番組本編
00m13s 提供コール
00m25s ローカルCM
00m43s ネット受け番組本編
01m19s ローカルCM
(分かりやすく組み合わせています。実際にはこのような短時間のうちに同様の順序で切り替わることはありません)

00m00sから00m43sまではネット受けの番組が終わってローカルのステブレが入る時の状況。
00m43sでの変化はローカル送出のスポットCMからネット受けの番組に切り替わる時の状況。
01m19sの部分はネット受け番組から提供コール無しでローカルCMに切り替わった時の状況です。

注目すべきは、CMにありがちなやかましいコンプレッションではなくて、ピークメーターです。
(CM部分のコンプレッションですが、3360○で紋切り型仕上げ!! という感じの、詰めすぎで破綻しているような古臭い仕上げを作ってみました。マルチバンド機で上手に設定すればこんなには破綻しないんですけど、こういう音質のCMって皆無とはいえないですよね)

この再現では番組本編とCMのピークの差は基本的にたった2dB。提供コールとCMのピークは同じです。
(※たまたまサンプルとして確認した-14dBFSをピークにしている番組は特殊ですが、多くの場合ピークレベルだけで見れば番組もCMもそれほど変わりはありません)

極端な再現例ではありますが、コンプレッサーとリミッターの設定で、ここまで「聴感上の音量」は変わってしまうんですね。

また、再現ではローカルCMのピークを-12dBFSとしていますが、数分後のローカルCMのピークはちょくちょく-4dBFSまで行っていました。番組とCMの組み合わせによっては、聴感上の差は再現映像以上かも。
ローカル局としてはネット受け中の「番組とCM」の聞こえのバラツキも頭が痛いところでしょうが、この某局のローカル送出レベルはどう変わってしまったんでしょう…

全てが統一されるなら良いと思いますが、ネット受けとローカルで送出基準が違っていては、CM搬入のレベルが適正化されたところで、聴感上の激しい差は解消されないのでは…? (何か試行中だったんでしょうか?)

その他、-9dBFS、-6dBFSで止めているであろう局、生番組でくしゃみをしたらクリップしてしまう局など色々な状況が確認できましたが、大阪のいわゆるV局ではよくコントロールされていて全体的にまともと言えるのは数局。
その他では一般視聴者の方が「しょっちゅうリモコンで音量を変えている」という理由がとてもよく分かる結果でした。だめじゃん。


放送前の最終段では、以前紹介したOPTIMODなどで自動的に音量調整はされるんですが、最終リミッターを自前で調整していないところもあるようですし、どちらかと言えば音を詰めて音量を上げる機材なのでもともとコンプやリミッターで限界まで詰め込まれたCMの音は(ピークレベルとしてはそれほど違いがないという事もあって)自動的にはなかなか小さくはできないんですね。(レベルが高ければAGCで下がりもしますけど、ガンガンに詰め込まれたCM素材の聞こえ方は直りませんもんね)

結局、人が判断しながらフェーダー上げ下げしないとだめなのか…。というかマスターの仕組みを変えて数系統に分けて処理すれば自動で何とかなりそうなんですけどね…。


アメリカで審議予定の法案も「音量」の評価についてはなかなか難しいところだと思います。新しい規格のラウドネスメーターに期待でしょうか…。今後を見守りたいですね。


米議会のCM音量規制法案のほか、ネットでテレビの音量について検索していたところ、数日前のある音楽番組がびっくりするようなミックスで放送されていたのがかなり話題になっていました。私もちょうどBDレコで録画していたんですが、やっぱり一般の方も違和感を感じられた方が多かったのですね…。
途中から生で見だして、えっ? またメイン卓NGとか?? と思いきや、会場が変わっても…。

何度かクリアーな拍手が突然入ったりしていたので、もしやと思ってFFTで見たら拍手はMD出しのような感じでした。「素材出し」はアリだとしても、フェードも無しで素材の途中からいきなり拍手を「パーッ」と再生開始するっていうのは驚きです。ありもん?と最初に感じたのは無音状態からいきなり全開の拍手が聞こえ出した時だったんですが、生の拍手だったとしてもいきなりアサインONは無いですね…。
肝心の曲のほうはまともに聞けたのが再生音源系のみだったのが残念でした。

卓のアサインがフリーズしたとされるのが2年前。今年は何があったんでしょうか…。どなたか知りませんけど、頑張って来年こそリベンジしてくださ~い。
バーチャル広告。位置検出。
WBC 2次ラウンド、日本対キューバ戦6-0で快勝~!! 2連覇なるか~??

WBC 2次ラウンドの中継を見ていて気になったのが、バックネットのバーチャル広告。
色々な広告が出てきますが、実際の現地はグリーンバックで、広告は中継映像に合成されています。

放送されている映像はこちらで、(画面再撮)
20090316-1

合成される前の映像はこうです。(同じフレーム) (画面再撮)
20090316-2

海外のサッカー中継では10年近く前から、MLBでも最近よく見かけるバーチャル広告では、バーチャルスタジオ(CGなどで作成した背景映像がカメラの動きに追従するシステム)などと同様に撮影された映像を専用の機材でリアルタイムに解析し、位置が変わっても自動的に合成されています。

カメラの位置検出には三脚に付けるセンサー方式と、グリッドパターン認識(位置検出用の格子模様)などがありますが、WBCの中継ではグリッド無しでも位置検出ができる方式のようですね。

弊社でも以前、バーチャルスタジオ運用のお仕事をしていた時期がありましたが、当時のシステムでは合成されて映像が出てくるまでのディレイ(遅れ)が15フレーム(0.5秒ほど)あり、位置検出が狂ってしまう事もよくあったので「生放送で使うのは大変だろうなぁ…」と思っていましたが、ちょっと離れているうちにどんどん進歩しているようですね。

この映像を解析して位置検出をする方式は元は軍事技術で、現在は日本国内のメーカー製もありますが、初期はイスラエル製がほとんど。今でもイスラエルのあるメーカーが業界内では有名です。戦闘機搭載のシステムでは1970年代からカメラ映像から位置検出して追従するシステムが使用されています。

位置検出での合成は生放送では高額なシステムが必要ですが、レンダリングベースならパソコンのフリーソフト(VoodooCameraTracker と Blender など)でもできます。興味のある方は遊んでみてください。


この位置検出、別のソフトですが弊社では8mmフィルムのテレシネ映像のジッター除去に使用した事があります。レンダリングには実時間の10倍以上かかりましたが、ガタガタ、ユラユラの映像がビシッと止まりすぎて驚きました。効果というか弊害というか、カメラの手ブレも吸収されちゃいます。
他にも自動的にダスト(ゴミや髪の毛)やスクラッチノイズを自動的に除去する処理もしたんですが、8mmフィルムの「味」がほとんどなくなってしまうほどクリーンな映像になっちゃいました。

お仕事用ではないんですが、実はデジタル一眼で自動的に1コマずつ8mmフィルムをRAW撮影する機材を(忙しいのでなかなか進んでおらず数年ごし…)をある方からの依頼もあって映写機を改造して開発?!中です。当初はHDビデオカメラでの撮影をテストしましたが、業務用の3CCDでもフィルムのラチチュードには到底かなわず、プルダウンの関係でフィルムの元のコマ数により(DVDやBDに収録するため)23.976pにしたほうが良い場合と29.97fpsにしたほうが動きが自然にできる場合がある事が分かったので、ビデオカメラでのテレシネは簡易用として割り切り、1コマずつ撮影(フレームバイフレーム撮影)するデジ一方式が本命です。
(ちなみに海外では3CCDのNTSCビデオカメラで1コマずつ8mmフィルムを撮影する機材が売られています)

まだ自動化の点で問題ありですが、デジ一方式のテスト映像では今まで見た事の無いような品質です。10メガピクセルのRAW撮りで(コマではなく)カットごとに露出や色、ガンマをバッチ処理してTIFF出力。静止画連番からHD動画化して位置検出でのジッター除去と傷消しをし、最適なプルダウンをして完成です。
どこまでクリーンにしてしまうかは意見の分かれるところではありますが、テレシネで有名なシ○テル製を使用したお気楽コース(手動傷消しなし)よりきれいに安定しちゃう感じです。

しかし、手間と時間が掛かりすぎてコストが見合わないと思うのでお仕事にする気は現段階では無いです(笑)。
 
5.1chサラウンドと2chステレオ(その2)
1/29に、弊社では「DVDには5.1chサラウンドと2chステレオ音声の両方を収録しておくべき」と考えているというお話を書きましたが、理由その(1)です。

ちょっと簡単に振り返りますが、5.1chサラウンドは6つのスピーカー、2chステレオは2つのスピーカーで音声が再生されます。

映画DVDではほとんどで、音楽ライブのDVDでもその多くで5.1chサラウンド音声が収録されており、対応するシステムを持っている家庭では、映画館やライブ会場のような迫力ある音で楽しむ事が出来ます。
20090223-1

しかし、この5.1chサラウンドで制作された音声は、そのままでは6つのスピーカーが必要なので、一般的な2chステレオのスピーカーでは正常には再生できません。

6chの音を2つのスピーカーで再生する場合にどうしているかというと、(5.1chサラウンド本来の立体的な効果は失われるものの)左右2chのスピーカー以外から出ていた音を(規定に従って音量を変えるなどしてミックスして)2つのスピーカーから出すように変換することで、後ろのスピーカーの音が消えて不自然にならないようになっているんですね。
このように、規定に従って機械的に5.1ch→2ch変換することを「ダウンミックス」と言います。

この「5.1chがあるとき~」の2chステレオですが、上記のようにDVDプレーヤーなどで「機械的にダウンミックスしたもの」と、あらかじめ「2chステレオとして5.1chとは別に人の手でミックスしたもの」がDVDに収録してある場合の2パターンがあります。

5.1chのみのDVDやBDも少なくないので、ここでは「弊社の意見」としておきたいと思いますが、機械的にダウンミックスしてできた2ch音声よりも、場面や音源に合わせて1シーンごとに人の手で2chステレオとしてミックスしたもののほうが自然で聞きやすく、音楽ライブなどでも狙った音像、良好な音質が保てる場合が多いと思います。

具体的にはダウンミックスではリア成分としてミックスしていた効果音などがやたら大きく聞こえて不自然だったり、音楽ライブでは会場の歓声がやかましすぎたり、5.1chと2chでは表現できる音像の範囲や量が違うので、リア成分の単純な減衰ミックスではなかなか思い通りにならないことがあります。
また、音楽などで低音楽器をLFEのみにアサインするような事をしてしまったら、(ダウンミックスではLFEは-∞で消えてしまうので)ダウンミックスは成立しなくなりますね。

5.1chミックスだけで2chも済まそうとしてしまうと、「ダウンミックス」との両立を重視するあまり、5.1chサラウンドの良さを生かしきれず、2chステレオとしてもあまり良くないということが起こり得ます。

「DVDには5.1chと2chステレオの両方を収録しておくべき」と考える理由のまず1つ は、機械的なダウンミックスよりも、その瞬間やシーンに合わせた人の手による2chミックスのほうが「音質的に自然である」という単純な理由です。

上記はまだ耐えられる場合もあるのですが、ダウンミックスにはもっととんでもない問題があります。
次回は家庭のプレーヤーで実際にどんなダウンミックスがされているか書きたいと思います。




デジタル放送でのダウンミックスですが、デジタル放送で行われている5.1chサラウンド放送のダウンミックスは、L/R(左/右)はそのまま、C(センター)が3dB小さくなってL/Rにミックスされます。前回の説明ではCやLFEのダウンミックスレベルも放送局側の設定によって変えられるような説明をしていましたが、正しくはCは3dB減衰で固定、LFEは-∞で固定となっています。
放送局側の送出設定で番組単位でダウンミックスレベルが可変できるのは、Ls/Rs(Lサラウンド/Rサラウンド)のみで、減衰レベルは 0dB、-3dB、-6dB、-∞ の4値(Ls/Rsとも同値)となっています。LsはLに、RsはRにミックスされてダウンミックスの2ch音声になります。

デジタル放送の5.1chサラウンドを2chステレオとして聞く場合、受信側のテレビのほとんどで規定通りにダウンミックスされるため、また、放送局の制作段階ではダウンミックスした時の音を重視してミックスしているため、とりあえず問題なく2chステレオとして成立している場合が多いと言えます。

デジタル放送では規格上は5.1chサラウンドと2chステレオの両ストリームを放送できるようになっていますが、(2chステレオより予算や人員、必要なリソースが増えるとなると制作からOKが出ないなどの状況があり)現状のサラウンド番組のほとんどでは5.1ch制作、5.1ch音声のみの放送となっています。

サラウンド寺子屋の二次会にて詳しく解説してくださったM様。ありがとうございました。



追記

その後、放送局の方から伺った話では、今は第一音声で5.1サラウンドの場合、多くの場合で第二音声では2chステレオが放送されているそうです。

ほとんどの世帯では第一音声の5.1が自動的にダウンミックスされて2chステレオとして再生されているとは思いますが、やはり自動のダウンミックスが不完全で互換性もイマイチ、機種によって状況がバラバラということが認識されてきた結果でしょうね。

ダウンミックスの弊害については放送においてもDVDにおいてもまだまだ発生している問題なので、時間を作って検証や確認をしたいと考えています。

私自身が忙しいのと、確認しなくてはならない項目や条件、環境がたくさんあるので時間はかかると思いますが、制作側と視聴機器など業界やメーカーを横断的に検証されたことが過去にはまだ無いようなので、やるならやるで色々と調べたいと思います。
メーカーなども巻き込んで仕事として共同検証する事になったりした場合、全てを公開できないかもしれませんが、その場合もできる範囲で公開したいと思います。
テレビの音量(家庭での視聴音量)
地デジになってからテレビの音が聞きづらいという話をよく聞きます。
以前、技術屋が集まったある飲み会でそんな話が出まして、その後
自宅での視聴音量を測定した事がありました。

そのときは数人にメールで報告しただけでしたが、最近、また別の集
まりでもそんな話題が出ましたので、以前測定したデータを公開しと
きたいと思います。

SPL計はPHONICのPAA3という怪しげな機種です。
ハンディタイプのRTA付きで国家検定が付いているちゃんとしたSPL
計は60万円くらいします。うちでも設備施工用に購入しようかと考え
ていたんですが、検定無しのPAA3はほぼ同機能で4万円ほど。
PAA3

検定付きではありませんから騒音測定の業務に使用する事は出来ま
せんが、PAやSR、設備のスピーカー調整なんかではとても重宝して
います。うちではこれで十分です。
画面が見づらいんですが、パソコンにつなげると見やすくなります。

PAA3では、近年の騒音測定で国際的に使用されているLeq測定は
出来ません。しかしLeqでは(回数は少ないものの問題となるような)
ピークが見逃される事があったりするので国際的にも賛否両論があ
ります。
(私も色々と思うところはあるんですが、とりあえずLeqの特徴や有
 効性については今回は割愛します)

話は戻りまして、テレビの音が聞きづらい原因としては、薄型テレビ
のスピーカーが良くないとか、地デジではアナログほどタイトにDレン
ジを潰していないなど、色々な原因が語られているのですが、まず
測定データを並べちゃいます。



(測定:2008年5月27日)

・場所…うちのリビング(RT60=0.34sec)
・時間帯…夕食後、片付けの音などが少しある状況
・テレビ…地デジ各局
・スピーカー…テレビ左右にBOSEの101を2発 (EQなし)
・距離…テレビ正面 約2.5m(上下落差なし)
・他の音源…パソコンのファン(≒2m)、家族の会話等(≒1m)
・SPL計…Phonic PAA3 (カーブ:A特性、更新速度:125ms)

んでもっで実測値は以下の通りです。

今回は分かりやすく表現するために5値平均のAVGという値を勝手に
定義しちゃいます。(Leqと似たようなことしてますが…)

AVG=125ms間隔の5値平均 dB(A)
PK =125ms更新でのピーク dB(A)
(小数点以下四捨五入)

■環境
・暗騒音
 AVG=40dB、PK=42dB

・家族の会話
 AVG=58dB、PK=65dB (1m)
 (子どもの大きい声 PK=82dB 50cm)

・くしゃみ
 PK=94.6dB (50cm)

・電話のベル
 PK=76dB (1m)

■環境+テレビ音声
・ドラマ台詞
  (会話)AVG=48dB、(怒鳴り)PK=57dB  CX「絶対彼氏」

・サッカー中継
 (ベース)AVG=48dB、(歓声)PK=55dB、(実況) PK=53dB  TBS

・ニュース
 PK=55dB NHK

・音楽番組
 (トーク)AVG=50dB、PK=54dB、(音楽)AVG=53、PK=55dB
 (ガヤ)PK=58dB、(会場拍手)AVG=57dB YTV

暗騒音が40dBでテレビのピークが58dB。数値上は有効なDレンジは
18dBしか無いのですが、実際は暗騒音とテレビの声などは周波数
自体が違っているので、差が6dB程度でも内容を聞き取る事は可能
な状況でした。

このとき、感覚的にテレビの音量は「ちょっと小さいなあ」と思ってい
ました。ちゃんと見るときはもう少し音量は大きいですが、自宅での
「ながら視聴」の平均と言っても良いと思います。

しかし、「ながら視聴」での有効Dレンジが20dBしかない、というのは
なんとも恐ろしいですね。




私もFM時代は夜な夜な試験放送の時間を無理矢理作ってもらって
orbanの設定に血道を上げ(笑)、トーク中心の番組と音楽番組(クラ
シック、POPS、ROCK系など)で設定を変えたりしていました。
(メモリー読み出しで音切れするので番組間の無音部分で手動切り
替えしたり、パラメーターを途中で変えた事も…)
(もちろん当時その権限は持ってましたので問題はないです)

※orban…多くのテレビ・ラジオ放送局が放送用に使用している音声
       リミッターのメーカー名。特にFMラジオでは各局で設定が
       大きく違い、放送される音質の違いにつながっています。
      
ひとつの結論としては、いくらorbanでもひとつの設定で全てのジャン
ルを理想的な音にするのは無理です… (特にAGCとリリースなど)

当時は自動車内での聴取環境のSPL測定はしていたのですが、家
庭内での測定は今回が初めてでした。
ちなみに、個人的に部屋で音楽を聞いているときの心地よい音量は
70dB程(ピークは75dB)でした。わりと小さめですね。

地デジでも、聞き取りづらい局と、恐らくAGC範囲を広げて小さい音
を持ち上げている感じがする局もあるのですが、やはり音楽番組を
考慮してかそれほど持ち上がってはいません。
もちろん、持ち上げすぎるのも良いとは思いません。

しっかし、測定してみて環境音とテレビ音声の音圧の差がずいぶん
小さいのに驚きました。(自動車内よりは諸々マシですけど)

この数値が全てでは決してないのですが、家庭で視聴されるコンテ
ンツをMIXする上でのひとつの参考になるかもしれません。

現状、放送でorbanを使用している局は多いと思いますが、番組に
よって設定を変える事は基本的には出来ませんから、制作時のレ
ベル管理はやはり重要です。
しかし制作時のレベル管理だけでは対処しきれない部分もあると
も思います。

家庭用のテレビでは、地デジの音量を自動的に調整する機能が付
いているものがけっこうあります。どの程度の動作をしているかは
すべては調査できていませんが、メーカー側でも地デジ(または薄
型テレビのスピーカー)が視聴環境や条件によってはそのままでは
ダメだと認識しているということでしょうね。
20090204-2
トークですら頭がヘコヘコ潰れたり、あんまり良い感じではないです。

その他、比較的古いものではパソコンのWindowsMediaPlayerの自
動音量調整(静音モード)など、ドルビーデジタルのダイアログノー
マライズなどとはまた違った、制作者の意図と関係なく自動的に音
量をいじくる再生装置は増える一方です。

テレビやプレーヤーでこういった調整をするのが一般化する前に、
作り手、送り手側で何らかの対策をとらないと余計に混乱してしま
うのではないかと思うのは私だけでしょうか。

自動調整は音質もやっぱり良くないですからね。
サラウンド寺子屋に行ってみました。
2月1日。知人から誘われて、初めてサラウンド寺子屋を聴講しました。
東京だけかと思っていたら、大阪でもたまに開催されるんだそうです。
20090201

(サラウンド寺子屋とは、1980年代にNHKでサラウンド番組の制作を始
めた国内の第一人者で、現在はジャズバーも経営している沢口さんとい
う方が主催しているエンジニアの勉強会・セミナーで、サラウンドの作り
手の集まりです。)

月刊放送技術や隔月刊のプロサウンド誌ではよく記事を読んでいたんで
すが、今回の私のように飛び入りで「聴講」することも可能だとは知りませ
んでした。知り合い同士のクローズドな集まりではないんですね。よかった。
今回は40人くらい集まっていました。

今回のメインテーマは「サラウンドCM」についてで、サラウンドの概況の
ほか、国内外の実例や課題など、実際に制作に携わった本人が経験を
語る講演もありました。
国内でのサラウンドCMの事例はまだまだ少なく、実際に制作に携わった
方のお話を伺えたのは初めてでした。
専門誌にも全ては載らない、他では聞けないお話ですね~。ふむふむ。
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トムソンの方からはmp3Dという技術についての解説がありました。
元はフラウンホーファー研究所(FhG)が開発した技術で、2ch仕様のmp3
に僅かなAUXデータ(5~8%)を加えるだけでディスクリートの5.1chを作れ
るという技術だそうです。(レートが低いとジョイントみたいに少し干渉して
いる感じはありましたけど、レートが高ければ問題ないでしょう)
数年前にFhGが発表していた、「AUXデータを加えると可逆の2ch音声に
なる」という技術と少し似ていますね。
現状ではサラウンドの単ファイルで可逆だとDTS-HDくらいしかありません
から、(ライセンス料が安い)mp3Dが可逆対応になると面白そうです。
mp3D
(Thomson Engineering Lab. Ltd. All Rights Reserved.)

パソコンでの5.1再生に関しては弊社でも以前から調べているんですが、
(mp3Dはすでに対応しているソフトも色々あるようですが)エンドユーザー
側の環境、機材、OSの設定などなど色々な問題・課題があります。
トムソンさんはPC用のサウンドデバイスを作っている会社ではないです
けど、お勧めできるお手ごろハードウェアとセットで提案してくれるとエン
ドユーザーには分かりやすいでしょうね。



サラウンド関係は毎年InterBEEでもセミナーが開催されていたので以前
から参加したいと思っていたのですが、ここ数年は同じ日・時間帯に開か
れていた立体映像のシンポジウム(ちょうどその頃に関わりがあったので)
を見に行ったりしていたので、今回サラウンド寺子屋と懇親会で色々聞い
てみて、デジタル放送でのサラウンドに関しては僕自身がプチ浦島太郎
になっていたということが分かりました。
まあ、デジタル放送っていうものが始まる前に放送局を飛び出しましたか
らね…。

で、(1回しか行ってないのにおこがましい事を言いますが)サラウンド寺
子屋で懇親会に行かないのはモグリです(笑)。講演者に質問したり裏話
を聞いたり、情報交換や意見交換、色々な経験談や工夫のお話が聞けた
りなどなど、「音」の生き字引がゴロゴロいました。
たとえば僕自身が今まで疑問に思っていて調べても分からなかった事を
一発で答えてくれたエンジニアさんがいたり、逆に僕も映像機器との兼ね
合いだとかWEB動画配信の音量なんかをちょっと話せたり。
懇親会二次会まで参加していろんなものを得て帰ってきました。

アグレッシブなエンジニアってのはやっぱり年齢はあまり関係ないんですね。
若いだけの人より経験も知識もあって、そのうえ新しい事にもチャレンジをし
ている。新しい事、知らない事を吸収しようという意識も生半可ではなくて、
常にアンテナを張っている。 そういうベテランは最強ですね。
それぞれ短い時間お話しただけでしたが、ある大阪のポスプロの方のお話
を伺っていて、僕自身が50代になってもあんなふうにアグレッシブでありた
いなあと感じました。

それから、講演のまとめで沢口さんが仰っていた「継続は力なり」。
これこそもっとも大事な事ですね。

また次回参加させていただけたら、厚顔無恥に質問攻めしたいです。(笑)
5.1chサラウンドと2chステレオ
先日、「映像送出のお仕事」で書いた5.1chサラウンドでのDVD制作について
ご質問をいただきました。

「5.1chサラウンドと2chステレオを別々に作ってDVDに収録する」という事に
関してなんですが、「5.1chを収録しといたらプレーヤーでダウンミックスして
2chにしてくれるんだから、2chステレオは要らんのでは? DVDは容量も限
られてるんだし。映像レートに振ったほうが良いのでは?」とのご質問です。

その前に5.1chサラウンドとは?ですが、5.1chサラウンドでは従来の左右の
スピーカー(L/R)の2つの他に、その中央にセンタースピーカー(C)が1つ、
それに加えて聞く人の後ろにサラウンドの左右スピーカー(Ls/Rs)が2つ、
さらに低音だけを再生して迫力を増すウーファー(LFE)が1つの全部で6つの
スピーカーが使われます。

サラウンドスピーカー配置の例 (ITU-R BS.775-1)
5.1ch
(Yamaha Europe. All rights reserved.)

計6チャネルの音声ですが、LFEは低音だけなので0.1と表記され、5.1chの
サラウンドと呼ばれています。

このほかにも色々な種類のサラウンド規格があるんですが、一般的にサラ
ウンド音声では2chステレオと比べてとても広がりのある豊かな音で表現
する事ができます。一度体験すると映画も音楽も普通のステレオでは物足
りなくなっちゃいますよ。
映画などでは戦闘機が後ろから前へ飛んでくるような音像のギミックも良く
使われていますね。

映画DVDではレンタルも含めほとんどにサラウンド音声が収録されていて、
サラウンドに対応するアンプ(デコーダー)と5.1ch用のスピーカーがあれば
家庭でも迫力のあるサラウンド音声が楽しめるようになっています。

サラウンド技術はハリウッド映画では1950年代から導入されていて、方式
も(チャネル数が違うものなどが)色々あります。

国内のテレビ放送では1980年代から専用の機材でステレオ音声にサラ
ウンド音声を混ぜ、対応する受信機でデコードすることによって4つのスピ
ーカーを鳴らすことができる「ドルビープロロジックサラウンド」の放送が一
部で行なわれてきました。
現在ではドルビープロロジック方式と同様に2ch放送にエンコードされた
音声をデコードして5.1チャネル再生ができるSRSサークルサラウンドを利
用したサラウンド番組も放送されています。

そして現在の地上/BSデジタル放送では映画DVDと同じ5.1chディスクリ
ートサラウンドでの放送が可能になっています。
では、デジタル放送の5.1chサラウンドはどのように放送されているのでし
ょう? 10年来の知り合いでサラウンドの番組制作に情熱を燃やす某民
放局のエンジニアさんに伺ってみました。

「地上デジタル放送には第一音声と第二音声があって、規格上は第一
音声と第二音声で5.1chサラウンドと2chステレオの2つを同時に放送で
きるんだけれど、現状では第一音声がサラウンドならばほとんどの場合
は第二音声は使ってないよ(2chステレオは無し)」とのことでした。
皿うどん

では5.1chサラウンド番組を左右の2つだけのスピーカーだけで聞くと
どうなってしまうのでしょう。L/R以外の残りのサラウンドスピーカーの
音は消えてしまうのでしょうか?

そこらへんはうまいこと考えられていて、スピーカーが2つのテレビでは
C、LFE、Ls、Rsが音量が下げられてL/Rのスピーカーにうまいことミッ
クスされるようにあらかじめ規格が決まっています。

どのくらいの音量でC、LFE、Ls、RsをL/Rにミックスするかは、局によっ
ては固定値のところもあるんですが、どのくらい落として混ぜてお茶を
濁す(笑)かは、基本的に制作現場のミキサーやMAエンジニアが指定
したレベルが放送局のマスター(主調整室)で設定され、制御信号とし
て電波に乗ってきます、家庭のデジタルテレビやデジタルレコーダーは
それに従って混ぜ混ぜするんですね。

この、5.1chを2chに変換してしまう事を「ダウンミックス」と言って、サラ
ウンドの豊かな音像効果は失われるものの、5.1chの音源を2chで再生
してもL/R以外の音が消えて変にならないようになっています。


そんな便利な「ダウンミックス」機能があるのに、なぜ弊社では「DVDに
は5.1chと2chの両方を入れておくべき!」と考えているのでしょう?!

ただの自己満足じゃないかって?
いえいえ、そんなこと無いんですよこれが。

前置きが長くなりましたので続きは次回…。
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